2021.07.26
掟破りの丹沢山登山テント泊
掟破りの丹沢山登山テント泊
こんにちは!コピーライター兼登山家の松浦です。
基本的に関西在住の私ですが、仕事で関東へ行くことも時々あります。いつも新幹線から超高速で通り過ぎる山々を眺めてはハァーっとため息をついていました。
このまま途中下車して山に登ることができればどんなに素晴らしいだろうと。
そんな積もる想いを胸に秘めながら、東京での仕事をこなしていましたが、ついに私はある行動にできることにしました。
仕事で関東に行き、そのついでに山に登ってしまおうと!
当然ながら新幹線代は会社持ち、つまり会社のお金で関東の山に登れてしまうわけなのです!
そんなウキウキの計画を実行に移した時の一部始終をここであなたにお話しようと、今回の記事を書きました。是非ともご一読いただければ幸いです!
それではどうぞ!
基本的に関西在住の私ですが、仕事で関東へ行くことも時々あります。いつも新幹線から超高速で通り過ぎる山々を眺めてはハァーっとため息をついていました。
このまま途中下車して山に登ることができればどんなに素晴らしいだろうと。
そんな積もる想いを胸に秘めながら、東京での仕事をこなしていましたが、ついに私はある行動にできることにしました。
仕事で関東に行き、そのついでに山に登ってしまおうと!
当然ながら新幹線代は会社持ち、つまり会社のお金で関東の山に登れてしまうわけなのです!
そんなウキウキの計画を実行に移した時の一部始終をここであなたにお話しようと、今回の記事を書きました。是非ともご一読いただければ幸いです!
それではどうぞ!
渋沢発大倉行き丹沢山バスにて
2018年5月某日。晴天。
窓からの景色は、ビルだらけの都会から自然豊かな田舎の町へと急激に移り変わっていき、同時に私は胸の高鳴りを感じています。 今私は、小田急線渋沢駅発大倉行きのバスの車中にいます。 乗客は私を含め3名。あとの2人は、見た目からすると中学生と主婦のようです。 2名とも退屈そうにスマホをポチポチ操り、バスが目的地に到着するまでの時間を持て余しているかのように見えます。 |
もちろん、その2名のことについては見た目以上のことは何もわかりません。ただ、確実に言えることが1つ。それは、乗客の中で私が最も緊張感とワクワクを感じているということです。
なぜか? 私がバスで向かおうとしている場所が私にとって初めて訪れる場所であり、そこを出発点にして向かう最終目的地が、丹沢山という山であるからです。 そう!私はこれから山に登ろうといているのです! 私のすぐ隣には、重さ約30kgにもなる大型のザック。本来、私の背にいるはずのザックは、バスの座席で揺られ少々居心地が悪そうです。 ふと私の左腕に目をやると、山用腕時計のプロトレックの示す時刻は15時30分。 15時30分!? 通常の私の登山スタイルは、自宅近くの駅から始発の電車に乗り込んで目的地の山の登山口に出発、概ね朝7時か8時には登山口に到着し登山開始というものです。 つまり、日帰り登山が普段の私の登山スタイルだということですね。 早朝から登山する理由はいろいろありますが、最も大きな理由は、万が一のトラブルに備えて時間にゆとりが必要だということです。テント泊の準備をしない登山、つまり日帰り登山で、山の中で夜を迎えることは極力避けなくてはなりません。 ところが、この日私は、日が落ちる間際の15時30分から山に登ろうとしている・・いやバスが目的地に到着する頃には15時45分になっているでしょう。 早朝から登るはずがこんな時間になってしまった?もちろん違います。 実は、この時間から登ることは百も承知しており、これも私が事前に立てた計画通りです。 今回の登山計画について、簡単にお話しましょう! |
西野さん
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今回の主催者。ネットビジネス、特にコピーライターとして一言では言い表せないほどの実績を持つ私のメンター。
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住吉さん
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広島在住の3人の子を持つ母。弥山登山の経験者。
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岩永さん
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名古屋在住。背が高くスリムなモデル体型の男性。登山未経験者。
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松浦
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コピーライター兼登山家。当ブログの管理者。
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初めまして!と、軽く挨拶をすませ、一路フェリー乗り場へ。宮島は離島なので、フェリーに乗る必要があります。
4人それぞれ切符を購入しフェリーへと乗り込むと、まずその人の多さにビックリです。こちらをご覧ください↓ |
これは、宮島全体を描いたガイドマップですが、数々の名物商店や土産物屋、宿泊施設が並び、一大観光地の様相を呈していています。また、宮島には厳島というもう1つの名称があり、その名を冠した厳島神社は、松島・天の橋立と並ぶ日本三景の1つに数えられます。
そんな宮島は「せっかくの休みだからちょっと外出しようか」という人にはピッタリの観光地なわけですね。 |
そんな観光地である宮島、外国人旅行客の数には圧倒されます。土産物も外国人向けのものが見受けられます。
例えばこれ↓ |
日本人はまず買わないだろうな・・と思われる日の丸と「日本」のコラボTシャツ。店主の商売センスに脱帽です 笑
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私と小説「神々の山嶺」との出会いは、原作者である夢枕獏を経由したものでした。と言っても別に原作者に直接お会いできたわけではありません。
約10年前、当時ビジネスマン向けに発行していた月刊誌「KING」で、夢枕獏氏は自身の旅行記の連載を持っていました。わずか2〜3ページの短い連載ページでしたが、その文章は知性に溢れ、ユーモアセンスに富み、人を惹きつけるに十分な魅力を持ったものでした。
そんな強烈な願望を持ち、すぐにyahooで夢枕獏氏の著書を調べてみました。数々の小説タイトルがヒットしましたが、ジャンルに偏りはなく、オカルト、SF、時代物、格闘技と多岐に渡っていました。
そんな中で一際私の目を引いた小説が「神々の山嶺」だったのです。夢枕獏氏の代表作ともいうべき作品とあり、何よりも私自身が登山にのめり込み始めた頃だったということもありました。
数日後の仕事帰りに、大阪は梅田の大型書店「紀伊国屋」へと立ち寄り小説コーナーを物色するとすぐに発見、分厚い単行本の「神々の山嶺」が上下巻に別れて陳列されていたのです。
1ミリも迷いことなく、ただちに上下巻を手にしてレジへと走り、ウキウキ気分で帰路につきました。
その日はちょうど金曜日。再び出勤する日までの2日間、私は「神々の山嶺」の世界に没頭することとなったのでした。
約10年前、当時ビジネスマン向けに発行していた月刊誌「KING」で、夢枕獏氏は自身の旅行記の連載を持っていました。わずか2〜3ページの短い連載ページでしたが、その文章は知性に溢れ、ユーモアセンスに富み、人を惹きつけるに十分な魅力を持ったものでした。
[わたし]
なんでもいい!この人の著書を読んでみたい!
なんでもいい!この人の著書を読んでみたい!
そんな強烈な願望を持ち、すぐにyahooで夢枕獏氏の著書を調べてみました。数々の小説タイトルがヒットしましたが、ジャンルに偏りはなく、オカルト、SF、時代物、格闘技と多岐に渡っていました。
そんな中で一際私の目を引いた小説が「神々の山嶺」だったのです。夢枕獏氏の代表作ともいうべき作品とあり、何よりも私自身が登山にのめり込み始めた頃だったということもありました。
数日後の仕事帰りに、大阪は梅田の大型書店「紀伊国屋」へと立ち寄り小説コーナーを物色するとすぐに発見、分厚い単行本の「神々の山嶺」が上下巻に別れて陳列されていたのです。
1ミリも迷いことなく、ただちに上下巻を手にしてレジへと走り、ウキウキ気分で帰路につきました。
その日はちょうど金曜日。再び出勤する日までの2日間、私は「神々の山嶺」の世界に没頭することとなったのでした。
丹沢山登山計画
今回の計画は、神奈川県の某官公庁への出張がきっかけでした。出張先での仕事内容は、官公庁の担当者との簡単な打ち合わせのみ。打ち合わせ自体はおそらく30分とかからないはずです。
「せっかく仕事で神奈川県まで行くのだから、近くの山に登ってみよう!」 そうして私は今回の登山計画を思いついたのです。 計画をフローにするとこんな感じです。 某官公庁の担当者との打ち合わせを14時までに終わらせ、その足ですぐに小田原駅へと戻る。 ↓ そこから小田急線に乗り渋谷駅に到着、渋谷駅から大倉行きのバスに乗り込む。 ↓ 登山口に到着し、そこから登山開始。塔ノ岳まで歩いてそこでテント泊。 ↓ 翌日、丹沢山頂へ向かい、登頂後下山。 気になるのはテント泊です。山では基本的にテント場と言われる場所でのみテントを張ることができます。しかし、事前の調査では丹沢までのルートに山小屋はあってもテント場はありません。 まあ、いざとなったら登山道から外れて人目につかないところでテントを張ればいいか! そもそも、山に来てまで堅苦しいルールに縛られたくない! 山を前にしてかなりテンションが上がっていた私は、そんなテント泊ルールなど大して気にもせず山へと向かうのでした。 |
以前、山に”似合う”車ということで記事を書いたことがありました。
↓
「山に”似合う”車とは?雰囲気重視の車選び」
登山をするために「便利な」ということではなく、山に合う車は何か?ということで
私がシェアした車がミニクーパーでした。
街乗りのイメージが強い車ですが、実はかつてラリーで優秀な成績を収めたこともある
悪路にも強い、とてもパワフルな車なのです。
しかも、小さいボディーにも拘らず内装は広く、登山で使う程度の荷物ならば楽々入ります。
さすがに車中泊はちょっと辛いのですが、それは外にテントを張って解決!
まるで自分の相棒のような、親友のようなミニクーパーが最も山に似合う車と思っています。
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「山に”似合う”車とは?雰囲気重視の車選び」
登山をするために「便利な」ということではなく、山に合う車は何か?ということで
私がシェアした車がミニクーパーでした。
街乗りのイメージが強い車ですが、実はかつてラリーで優秀な成績を収めたこともある
悪路にも強い、とてもパワフルな車なのです。
しかも、小さいボディーにも拘らず内装は広く、登山で使う程度の荷物ならば楽々入ります。
さすがに車中泊はちょっと辛いのですが、それは外にテントを張って解決!
まるで自分の相棒のような、親友のようなミニクーパーが最も山に似合う車と思っています。
丹沢山登山口 秦野ビジターセンター
さて、バスは秦野ビジターセンターに到着。そこは丹沢山へ向かうルートの登山口でもあります。
バスを降りると、登山客と思われる方々が7名ほどおり、ベンチでのんびり座っているおじさん、登山靴を脱いでサンダルに履き替えて談笑している若者、バスの時刻表をチェックしている年配のご夫婦など様々です。 ただ彼らに共通しているのは、全員が下山後であり、これから家に帰ろうとしているところということです。現在15時50分、確かにこれから山に登ろうという時間ではありません。 これから山に登ろうとしているのは私くらいなものでしょう。 ところで、ここ秦野ビジターセンターは、ここを訪れる観光客(ほとんどが登山客)向けの情報発信施設です。 丹沢山やその周辺の山の天候、山荘、土砂崩れなどの情報をここで確認することができます。 私もここで軽く情報を確認しますが、特に目ぼしい情報はなさそうです。 ビジターセンターをもう少し見物したいところですが、もうすぐ16時。いくらテント泊を予定してるとはいえ、あまりのんびりしている時間はありません。いよいよ登山開始です! |
紅葉谷コース
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約700本もの紅葉やカエデを見ることができる紅葉谷公園を通るコースです。紅葉の季節には、素晴らしい景色を見ることができます。
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大聖院コース
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霊峰・弥山のふもとにある真言宗御室派の大本山である大聖院。宮島で最も歴史の古い寺院です。弘法大師空海が弥山を開基して以来1200年の歴史を持ち、皇室との関係も深いお寺でもあります。ここでの参拝を兼ねたコースです。
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大元コース
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桜の名所として知られ、厳島神社より古い歴史ある神社です。柿(かわら)葺屋根は日本で最も古いと言われ、現存する唯一のものです。ここでの参拝を兼ねたコースです。
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今回の登山は、神社や寺院での参拝をメインにしたものであるので、選ぶコースは大聖院コース。
厳島神社を後にして、約5分歩くと大聖院に到着です。大聖院は概ね登山コースのスタート地点に位置します。 |
門の左右には大迫力の仁王像がお出迎え。いや、お出迎えと言うよりも「この聖域を汚す奴は許さん!」と、恐ろしく気合いの入った雰囲気です。この大聖院が歴史上いかに重要な寺院かということを物語っているかのようです。身の引き締まる思いで一礼して門をくぐると、その先には長い石階段がそびえ立っています。
石階段の左側をふと見下ろすと、そこには無数のお地蔵様が並んでいました。山ではところどころにお地蔵様が祀られていることはよくありますが、これだけ無数に並んでいるところは初めてみました。 |
しかもよくよく見ると、単なる石像ではなく、1体1体全て違う表情をしています。魂が込められたお地蔵様を具現化した姿のようにも見えて非常に興味深いものでした。
お地蔵様を横目にさらに階段を上がると、左手に釣り鐘がありました。どうやら誰でも自由に突いてもいいようです。 |
4人で順番に突くこととなり、それぞれ鐘突きに挑戦!鐘突き棒(撞木という)から垂れる縄を後ろに引き、振り子の原理に自身の力を加えて勢いよく釣り鐘を叩く!
ゴ〜〜〜ン・・・ 独特の音色が辺り一面に響き、周囲の山々へと吸収されていきます。心なしか私の脳みそにまで音色が吸収されたかのような錯覚を覚えました。いい音色でした・・・ 釣り鐘を後にし、さらに階段を上がると、大聖院の本堂である摩尼殿に到着です。 本殿の中は非常に荘厳で近寄りがたい雰囲気がありましたが、本殿手前の広場は、仏具などの露天商があり、聖と俗がいい感じに融合している様子で非常に居心地の良い空間でした。 大聖院でゆっくりと休憩をとり、階段を下りていよいよ本格的な登山開始です。おっと、その前に大聖院からの風景を一眼レフに納めたので、ご紹介します。遥か遠くまで見渡せて素晴らしい風景でした。 |
丹沢山山頂へ向かっていざ登山開始
さて、登山口であるビジターセンターを出発したわけですが、いきなり険しい登山道が準備されているわけではありません。登山道らしい道になるまで少しだけアスファルトの道を歩きます。道路脇には自販機も見受けられる全く普通の道路です。
しかし、そんな歩きやすい道もあっという間に終わり、そこからは砂利が敷き詰められた坂道登山道。なかなかの悪路ですが、そこがまた登山らしくていい♫そんな登山道を一歩一歩楽しみながら噛み締めながら登っていくと、多くの登山客とすれ違います。 すれ違うみなさんひとりひとりに「こんにちは!」 山での暗黙の了解か、良き慣習か、それとも山の神様がそうさせるのか・・・ 山では頻繁に挨拶が飛び交います。だから、山では初対面の人とも本当に仲良くなりやすい!なぜなら一度挨拶してしまえば、初対面の人に話しかけるハードルがガクンと下がるからです。 そんな数多くの人とすれ違っては挨拶をし、気持ちよく登っていると、すれ違った人の中の1人が私に言いました。 [登山客] これから登るのですか? [わたし] そうなんです。 [登山客] へぇー 泊まりはどこの山小屋ですか? [わたし] いえいえ、今日はテントを張るつもりです。 [登山客] あっ!そうなんですね!でも・・テント張れるところなんてあったかな?ま、大丈夫ですよね。お気をつけて! [わたし] はーい!ありがとうございます・・・ どうやら、丹沢付近の山では山小屋での宿泊がスタンダードのようです。確かにテント場は多少なりともゴミが放置されていることがあります。国立公園である丹沢は景観が命。基本的にテント泊を禁止としているのでしょう。 とはいえ、山小屋に泊まるには事前の予約は必須。予約なしでは山小屋での宿泊はできません。 ならば結局はテントを張るしかないわけです。バレないように、目立たない場所でテントを張らなければ! |
固形タイプ
つまり、基本的には液体タイプを使用し、チョークバッグにはカットした固形タイプのチョークを入れておきます。 そうすることで、粉末の飛散を最小限に抑えることができ、しかもより適量のチョークを手につけることができるようになるのです。 また、固形タイプのチョークは比較的安価であるため、経済的にも優れたセットです。 |
丹沢山の山小屋1 見晴茶屋
若干の不安を覚えましたが、なんとかなるさ精神で心の平安を取り戻した私、早くもテントを張る場所のイメージを頭の中で作り始めたのでした。
そうして程よい上り坂の登山道を歩くこと30分、「見晴茶屋」という山小屋に到着しました。その名の通り、絶景を楽しむことができる最高のロケーションの山小屋です。 |
この丹沢、他の山域と比べても山小屋の数が多く、また設備もしっかりしているのですが、やはり営業時間は短く設定されています。
この「見晴茶屋」も私が到着した時間にはすでに閉店しており、誰もいませんでした。残念です。 見晴茶屋のベンチでザックを下ろして水をクイッと飲み、見晴を楽しみながら2〜3分ほど休憩します。大して疲れてもいませんでしたが、これから後5時間近く歩くので、こまめに身体を休めておく必要があるのです。 さて、見晴茶屋から少し進むとそこには、はるか上まで見渡せる傾斜の高い坂道がみえます。これぞ山登りの醍醐味!この傾斜をゆっくりと確実に登り、坂の上に到達した時のミニ達成感は本当に癖になります。 1人でニヤニヤしながらゆっくり歩を進めていくと、やはりここでも次々と登山客が降りてきます。下山中ですね。誰もが緊張したような面持ちで、慎重に下山して行きます。 登山というのは、山に登って降りるまでの活動のこと。山に登るだけでは登山とは言いません。ただ、残念ながら、下山というのは多くの登山客にとって「不要なもの」と捉えられがちです。 山の頂上を目指して坂道を登っているときは、心ウキウキ、気持ちワクワク、多少の苦しみも登り切ったときの達成感を演出するための程よいスパイスとなります。 しかし・・・下山はただの下山です。ただ家に帰るための下山。夢のような山頂でのひと時から現実へと帰るための下山。明日からまた電車に揺られてオフィスに通勤するための下山。 残念ながら、下山ってものすごい不人気です。まあ、仕方ないか 笑 しかも、山での怪我の多くは下山中に発生します。これにはいろいろと医学的理由がありますが、やはり達成感の後なので、どこか気が抜けてしまうのかもしれません。 そう思って下山していく人たちを観察すると、もちろん慎重に下山している様子が伺えますが、その表情は、どこかウキウキ感を失った夏祭のあとのようです。 もしいつか、いつでも好きな時に山に登ることができるようになったら、下山中もきっとウキウキ感を失わずにすむだろうな!なんて妄想しながら傾斜を登ること約1時間、ようやく坂の上に到着したのでした。 |
丹沢山の山小屋2 駒止茶屋
さて、坂の上で水筒の水をクイッと一口、腕時計の時刻を見ると17時30分。ここからさらに山道を登って約30分。次なる山小屋、駒止茶屋に到着です。
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この駒止茶屋、週末営業らしく、本日金曜日は残念ながら営業はしていませんでした。全面を緑のトタンで構成されたかなり年季の入った建物ですが、手入れは行き届いているようで、扉も窓も清潔です。
そんな駒止茶屋に別れを告げ、さらに山道を登ること30分、時刻は18時を過ぎました。あたりがそろそろ暗くなり始めて、そろそろテント設営の場所を検討するタイミングです。 私はこの丹沢に登ると決めてから、テント設営の場所にはちょっとしたこだわりを持っていました。譲れない条件と言ってもいいでしょう。 それは、夜景が見渡せるところ、そして満天の星を眺めるところです。 もちろん、丹沢までの道中でそんな条件を満たす場所などいくらでもあります。要するに、周囲に木々がなく、標高の高い場所です。 ただ、一般的にはそういう場所はテント設営には不向きです。なぜなら標高の高い場所の比較的強い風もまともに受けてしまうことがあるからです。 本来ならば、強風を避けることができる周囲を木々で囲まれた場所が、最もテント設営にふさわしいと言えるでしょう。 しかし、私はあえて周囲に木々のない開けた場所にテントを設営しようと決心していました。遮るもののない漆黒の空を眺めることができ、できれば夜景を一望で切る場所ならば言うことなし。 目的の山に向かうまでの道中にそんな場所があれば、そこにテントを張るつもりでした。ただ、時刻はすでに18時45分。通常ならば、夕食の準備を始める時刻です。出来るだけ早くテントを張る場所を決めなくてはなりません。 ところが、進んでも進んでもそれらしい場所はなく、鬱蒼と生い茂った森が続くばかりでした。 |
丹沢山の山小屋3 堀山の家
テントを張ろうと焦リ始めた途中で立ち寄った山小屋がこの「堀山の家」です。立ち寄ったと言っても、すでに営業時間は過ぎており、ベンチに座って水を飲んだだけでした。
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営業時間は過ぎていましたが、山小屋の中は灯りが灯っており、この山小屋の主人らしき人が奥様らしき人と何やら話しているところが見えました。
大学ノートを見ながら真剣に話している様子だったので、本日の売り上げか明日の予想収益について打ち合わせをしていたのかもしれません。単なる想像ですが。 「堀山の家」を過ぎても鬱蒼とした森が続き、いよいよ「ちょっと広い場所があればもうすこでテントを張るしかないかな・・・」と半分諦めかけた時、ようやく樹木の本数が極端に少ない標高まで上がることができ、テントを張れる場所の可能性が格段に上がってきました。 ふと後ろを振り返れば、眼下に広がる圧倒的な美しい夜景。テント場の条件をクリアしつつあります。とはいえ、時刻はもう19時15分。辺りは真っ暗闇の一歩手前です。 夜景は問題ありませんし、ここまで登ると漆黒の空を遮るものもありません。とはいえ、私がいる場所には無数の巨石がゴロゴロしているばかり。テントを張れそうな場所ではありません。 |
丹沢山の山小屋4 花立山荘
行くさきを見上げると、あと5分も登れば坂の上に到着できそうな様子です。そこまで登って少しでもスペースがあればそこでテントを張ろうと決心し、そこまで登った私。坂の上にあったものはなんと「花立山荘」という山小屋でした。
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「そうか!ここにも山小屋があったっけ!?」山を登りながらここまで注意深く山地図を見ていた私ですが、うっかり山小屋を見落としていました。時刻はちょうど19時30分。もう辺りは漆黒の闇、もはや選択の余地は全くありません。花立山荘の脇の敷地を借りて、そこにテントを張ることにしました。
花立山荘は週末営業で、その日は金曜日だったため誰もいません。テントを張るには十分すぎるスペースもあり、夜景も満点の星も申し分なし。少し遅くなりましたが、なんとか全条件を満たしたテント場にたどり着くことができたのでした。 |
丹沢登山 テント泊の夜
ザックを下ろして、中からテント道具一式を取り出しすぐに設営。慣れない人にとっては時間のかかるメンドくさい作業ですが、私にとってテントの設営は赤子の手をひねるようなもの。しかもこの日は風もなく、絶好のテント泊の夜と言えるでしょう。
ものの5分ほどでテント設営し、さあ!いよいよ待ちに待った夕食タイムです。この日のディナーは鯖の缶詰を混ぜた炊き込みご飯とインスタント味噌汁、デザートにバナナ。食後にはバターコーヒー。これ以上ないくらいの最高の贅沢です。 手際よく夕食を調理し、ゆっくりと味わって完食。サッと片付けてしまうと後はシュラフに入って寝るだけ。しかし、私の場合、すぐには寝ません。 数時間もずっと歩きぱなしで、しかもお腹は満腹。シュラフに入って目を閉じればすぐに眠りに落ちることはわかっていましたが、この最高の夜をもっと満喫したい!という思いもありました。 そんな時の夜の過ごし方は決まっています。ウィスキーの水割りを片手に愛用のiPhoneでジャズを流し、そしてLEDの灯りで本を読む。 これほど贅沢な夜の過ごし方は他には絶対にない!と断言できます。 そうして過ごすこと約1時間。ウィスキーの効果もあり程よい睡魔に襲われた私は、ここが頃合いとばかりに本を閉じ、LEDを消してシュラフにもぐりこんだのでした・・・ |
丹沢登山と出発の朝
時刻は朝の4時30分。普段だとものすごい早起きですが、山の朝としては一般的です。テント泊の場合、夜は8時には寝てしまうので、必然的に朝は早く起きてしまうのです。
昨晩の私は1時間ほどジャズを聴いたり本を読んだりしていましたが、それでも9時には眠りにつきました。で、この時間に目覚めたというわけですね。 ウェットティッシュで顔を拭いて、水筒の水をゴクリと一飲み。しっかりと目覚めたところで、朝食の準備に取り掛かります。 朝の献立は、白ご飯と梅干しとインスタント味噌汁。昨晩と同様に手際よく作り終えて、サッと朝食をすます。 片付けも終えてホッと一息すると、早速登山客が私のテントの前を通ります。その手にはプロ仕様の高級カメラ。早朝の美しい朝日の写真を撮りにきたのでしょう。 [わたし] おはようございます!早いですね! [カメラマン] おはようございます!いい朝ですね!最高の写真が撮れそうです。 いい笑顔で返事してくれましたが、写真撮影に集中したい様子。それ以上の会話はご遠慮して、テントの片付けに取り掛かることにしました。 10分ほどでテントをたたみ、すべてのものをザックにしまい込んで、登山準備万端!再び丹沢山へ向けて歩き始めたのでした。 |
丹沢山ルートのもうひとつの目的地 塔ノ岳
花立山荘を出発した私は、まず塔ノ岳を目指しました。塔ノ岳とは、丹沢山ルートの中でも有名な山頂。ここまでの途中何度も「塔ノ岳まで〜m」という案内表示を見ました。丹沢山ではなく、塔ノ岳を目指す人も多いようです。
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実は私も、昨日は塔ノ岳でテントは張るつもりでした。しかし、あたりが真っ暗になる寸前だったため止むを得ず花立山荘でテントを張ることにしたのですが・・・後ほどこの選択が正しかったことを思い知ることになります。
さて、テント泊の利点は様々ありますが、日の出を見ながら山道を歩くことができる点も大きな利点の1つです。まっさらな太陽の光を浴びながらの登山は、身も心も癒される素晴らしい体験です。 前日中にたどり着こうとして断念した塔ノ岳。テントを張った花立山荘からだと30分ほどの距離なので、すぐに到着するはず!と考えていた私ですが、実際本当に30分ほどで塔ノ岳に到着しました。 さて塔ノ岳山頂ですが、中心に塔ノ岳山頂を示す立派な石碑が構えており、その石碑を取り囲むような配置で大小様々な石がゴロゴロと転がっていました。そのすぐ奥には2階建ての立派な山小屋が建っており、その脇では、宿泊客らしき男性が眠たそうに歯磨きをしていました。なんとも生活感溢れる光景です。 そんな生活感溢れる山小屋がちょっと珍しく、しばらくその雰囲気を味わってみようと塔ノ岳山頂で一息入れることにした私。ザックを下ろしてしばらく手頃な石に腰をおろしていると、山小屋の窓が次々と空き始め、ワイワイガヤガヤと騒がしくなってきました。 どうやら多くの登山客が宿泊していたようで、次々と山小屋から人が出てきて、顔を洗ったり、背伸びしたり、ラジオ体操を始めたり、談笑したりと実に賑やか! こんな山頂の光景も悪くない!とばかりにしばらくそんな微笑ましい雰囲気を味わっていましたが、やはり山の早朝は静けさが相応しい!とばかりに早々に塔ノ岳をあとにして、丹沢山へと向かったのでした。 |
ついに到着!丹沢山山頂
塔ノ岳から丹沢山までの山道は、稜線の道。細い一本道ですが、比較的平坦で歩きやすく、しかも山道の両サイドを見れば最高の絶景を楽しむことができます。
そして、丹沢山は比較的富士山が近く、稜線からも美しい富士山の姿を楽しむことができます。 |
そんな稜線を歩くこと約1時間ほど、ついに丹沢山山頂に到着することができたのでした!
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さて今回の丹沢山山頂を目指した登山、本来ならばルートの途中途中の山小屋に宿泊すべきところを、掟破りのテント泊をしてしまった私。確かにこれほどしっかりと整備されている山道だと山小屋での宿泊が正しいとは思いますが、場合によってはテント泊も有りかな?と結論づけました。
ただし、テント泊をした形跡を一切残さないこと!これが大原則です。これさえ守れば、テント場でなくとも、どこでもテントを張ることはできると思います。 普段は日帰り登山がメインの私ですが、今回の山行で改めて「やっぱりテント泊は最高だっ!」と実感したのでした。 |