2021.07.26

掟破りの丹沢山登山テント泊

掟破りの丹沢山登山テント泊
こんにちは!コピーライター兼登山家の松浦です。
基本的に関西在住の私ですが、仕事で関東へ行くことも時々あります。いつも新幹線から超高速で通り過ぎる山々を眺めてはハァーっとため息をついていました。

このまま途中下車して山に登ることができればどんなに素晴らしいだろうと。
そんな積もる想いを胸に秘めながら、東京での仕事をこなしていましたが、ついに私はある行動にできることにしました。

仕事で関東に行き、そのついでに山に登ってしまおうと!

当然ながら新幹線代は会社持ち、つまり会社のお金で関東の山に登れてしまうわけなのです!

そんなウキウキの計画を実行に移した時の一部始終をここであなたにお話しようと、今回の記事を書きました。是非ともご一読いただければ幸いです!

それではどうぞ!

渋沢発大倉行き丹沢山バスにて

2018年5月某日。晴天。
窓からの景色は、ビルだらけの都会から自然豊かな田舎の町へと急激に移り変わっていき、同時に私は胸の高鳴りを感じています。

今私は、小田急線渋沢駅発大倉行きのバスの車中にいます。
乗客は私を含め3名。あとの2人は、見た目からすると中学生と主婦のようです。
2名とも退屈そうにスマホをポチポチ操り、バスが目的地に到着するまでの時間を持て余しているかのように見えます。
もちろん、その2名のことについては見た目以上のことは何もわかりません。ただ、確実に言えることが1つ。それは、乗客の中で私が最も緊張感とワクワクを感じているということです。

なぜか?

私がバスで向かおうとしている場所が私にとって初めて訪れる場所であり、そこを出発点にして向かう最終目的地が、丹沢山という山であるからです。
そう!私はこれから山に登ろうといているのです!

私のすぐ隣には、重さ約30kgにもなる大型のザック。本来、私の背にいるはずのザックは、バスの座席で揺られ少々居心地が悪そうです。

ふと私の左腕に目をやると、山用腕時計のプロトレックの示す時刻は15時30分。

15時30分!?

通常の私の登山スタイルは、自宅近くの駅から始発の電車に乗り込んで目的地の山の登山口に出発、概ね朝7時か8時には登山口に到着し登山開始というものです。

つまり、日帰り登山が普段の私の登山スタイルだということですね。

早朝から登山する理由はいろいろありますが、最も大きな理由は、万が一のトラブルに備えて時間にゆとりが必要だということです。テント泊の準備をしない登山、つまり日帰り登山で、山の中で夜を迎えることは極力避けなくてはなりません。

ところが、この日私は、日が落ちる間際の15時30分から山に登ろうとしている・・いやバスが目的地に到着する頃には15時45分になっているでしょう。

早朝から登るはずがこんな時間になってしまった?もちろん違います。

実は、この時間から登ることは百も承知しており、これも私が事前に立てた計画通りです。

今回の登山計画について、簡単にお話しましょう!
西野さん
今回の主催者。ネットビジネス、特にコピーライターとして一言では言い表せないほどの実績を持つ私のメンター。
住吉さん
広島在住の3人の子を持つ母。弥山登山の経験者。
岩永さん
名古屋在住。背が高くスリムなモデル体型の男性。登山未経験者。
松浦
コピーライター兼登山家。当ブログの管理者。
初めまして!と、軽く挨拶をすませ、一路フェリー乗り場へ。宮島は離島なので、フェリーに乗る必要があります。

4人それぞれ切符を購入しフェリーへと乗り込むと、まずその人の多さにビックリです。こちらをご覧ください↓
これは、宮島全体を描いたガイドマップですが、数々の名物商店や土産物屋、宿泊施設が並び、一大観光地の様相を呈していています。また、宮島には厳島というもう1つの名称があり、その名を冠した厳島神社は、松島・天の橋立と並ぶ日本三景の1つに数えられます。

そんな宮島は「せっかくの休みだからちょっと外出しようか」という人にはピッタリの観光地なわけですね。
そんな観光地である宮島、外国人旅行客の数には圧倒されます。土産物も外国人向けのものが見受けられます。

例えばこれ↓
日本人はまず買わないだろうな・・と思われる日の丸と「日本」のコラボTシャツ。店主の商売センスに脱帽です 笑
私と小説「神々の山嶺」との出会いは、原作者である夢枕獏を経由したものでした。と言っても別に原作者に直接お会いできたわけではありません。

約10年前、当時ビジネスマン向けに発行していた月刊誌「KING」で、夢枕獏氏は自身の旅行記の連載を持っていました。わずか2〜3ページの短い連載ページでしたが、その文章は知性に溢れ、ユーモアセンスに富み、人を惹きつけるに十分な魅力を持ったものでした。

[わたし]
なんでもいい!この人の著書を読んでみたい!


そんな強烈な願望を持ち、すぐにyahooで夢枕獏氏の著書を調べてみました。数々の小説タイトルがヒットしましたが、ジャンルに偏りはなく、オカルト、SF、時代物、格闘技と多岐に渡っていました。

そんな中で一際私の目を引いた小説が「神々の山嶺」だったのです。夢枕獏氏の代表作ともいうべき作品とあり、何よりも私自身が登山にのめり込み始めた頃だったということもありました。

数日後の仕事帰りに、大阪は梅田の大型書店「紀伊国屋」へと立ち寄り小説コーナーを物色するとすぐに発見、分厚い単行本の「神々の山嶺」が上下巻に別れて陳列されていたのです。

1ミリも迷いことなく、ただちに上下巻を手にしてレジへと走り、ウキウキ気分で帰路につきました。

その日はちょうど金曜日。再び出勤する日までの2日間、私は「神々の山嶺」の世界に没頭することとなったのでした。

丹沢山登山計画

今回の計画は、神奈川県の某官公庁への出張がきっかけでした。出張先での仕事内容は、官公庁の担当者との簡単な打ち合わせのみ。打ち合わせ自体はおそらく30分とかからないはずです。

「せっかく仕事で神奈川県まで行くのだから、近くの山に登ってみよう!」
そうして私は今回の登山計画を思いついたのです。

計画をフローにするとこんな感じです。

某官公庁の担当者との打ち合わせを14時までに終わらせ、その足ですぐに小田原駅へと戻る。

そこから小田急線に乗り渋谷駅に到着、渋谷駅から大倉行きのバスに乗り込む。

登山口に到着し、そこから登山開始。塔ノ岳まで歩いてそこでテント泊。

翌日、丹沢山頂へ向かい、登頂後下山。

気になるのはテント泊です。山では基本的にテント場と言われる場所でのみテントを張ることができます。しかし、事前の調査では丹沢までのルートに山小屋はあってもテント場はありません。

まあ、いざとなったら登山道から外れて人目につかないところでテントを張ればいいか!
そもそも、山に来てまで堅苦しいルールに縛られたくない!

山を前にしてかなりテンションが上がっていた私は、そんなテント泊ルールなど大して気にもせず山へと向かうのでした。
救急救命法は、講習会などに参加して実地に習得するのが早道です。代表的な講習会に、日本赤十字社の全国の支部で実施している救急法講習会があります。日常生活や社会的な災害時にも役に立つ知識です。
以前、山に”似合う”車ということで記事を書いたことがありました。

「山に”似合う”車とは?雰囲気重視の車選び」

登山をするために「便利な」ということではなく、山に合う車は何か?ということで
私がシェアした車がミニクーパーでした。

街乗りのイメージが強い車ですが、実はかつてラリーで優秀な成績を収めたこともある
悪路にも強い、とてもパワフルな車なのです。

しかも、小さいボディーにも拘らず内装は広く、登山で使う程度の荷物ならば楽々入ります。
さすがに車中泊はちょっと辛いのですが、それは外にテントを張って解決!

まるで自分の相棒のような、親友のようなミニクーパーが最も山に似合う車と思っています。

丹沢山登山口 秦野ビジターセンター

さて、バスは秦野ビジターセンターに到着。そこは丹沢山へ向かうルートの登山口でもあります。

バスを降りると、登山客と思われる方々が7名ほどおり、ベンチでのんびり座っているおじさん、登山靴を脱いでサンダルに履き替えて談笑している若者、バスの時刻表をチェックしている年配のご夫婦など様々です。

ただ彼らに共通しているのは、全員が下山後であり、これから家に帰ろうとしているところということです。現在15時50分、確かにこれから山に登ろうという時間ではありません。

これから山に登ろうとしているのは私くらいなものでしょう。

ところで、ここ秦野ビジターセンターは、ここを訪れる観光客(ほとんどが登山客)向けの情報発信施設です。

丹沢山やその周辺の山の天候、山荘、土砂崩れなどの情報をここで確認することができます。

私もここで軽く情報を確認しますが、特に目ぼしい情報はなさそうです。

ビジターセンターをもう少し見物したいところですが、もうすぐ16時。いくらテント泊を予定してるとはいえ、あまりのんびりしている時間はありません。いよいよ登山開始です!
紅葉谷コース
約700本もの紅葉やカエデを見ることができる紅葉谷公園を通るコースです。紅葉の季節には、素晴らしい景色を見ることができます。
大聖院コース
霊峰・弥山のふもとにある真言宗御室派の大本山である大聖院。宮島で最も歴史の古い寺院です。弘法大師空海が弥山を開基して以来1200年の歴史を持ち、皇室との関係も深いお寺でもあります。ここでの参拝を兼ねたコースです。
大元コース
桜の名所として知られ、厳島神社より古い歴史ある神社です。柿(かわら)葺屋根は日本で最も古いと言われ、現存する唯一のものです。ここでの参拝を兼ねたコースです。
今回の登山は、神社や寺院での参拝をメインにしたものであるので、選ぶコースは大聖院コース。

厳島神社を後にして、約5分歩くと大聖院に到着です。大聖院は概ね登山コースのスタート地点に位置します。
門の左右には大迫力の仁王像がお出迎え。いや、お出迎えと言うよりも「この聖域を汚す奴は許さん!」と、恐ろしく気合いの入った雰囲気です。この大聖院が歴史上いかに重要な寺院かということを物語っているかのようです。身の引き締まる思いで一礼して門をくぐると、その先には長い石階段がそびえ立っています。

石階段の左側をふと見下ろすと、そこには無数のお地蔵様が並んでいました。山ではところどころにお地蔵様が祀られていることはよくありますが、これだけ無数に並んでいるところは初めてみました。
しかもよくよく見ると、単なる石像ではなく、1体1体全て違う表情をしています。魂が込められたお地蔵様を具現化した姿のようにも見えて非常に興味深いものでした。

お地蔵様を横目にさらに階段を上がると、左手に釣り鐘がありました。どうやら誰でも自由に突いてもいいようです。
4人で順番に突くこととなり、それぞれ鐘突きに挑戦!鐘突き棒(撞木という)から垂れる縄を後ろに引き、振り子の原理に自身の力を加えて勢いよく釣り鐘を叩く!

ゴ〜〜〜ン・・・

独特の音色が辺り一面に響き、周囲の山々へと吸収されていきます。心なしか私の脳みそにまで音色が吸収されたかのような錯覚を覚えました。いい音色でした・・・

釣り鐘を後にし、さらに階段を上がると、大聖院の本堂である摩尼殿に到着です。

本殿の中は非常に荘厳で近寄りがたい雰囲気がありましたが、本殿手前の広場は、仏具などの露天商があり、聖と俗がいい感じに融合している様子で非常に居心地の良い空間でした。

大聖院でゆっくりと休憩をとり、階段を下りていよいよ本格的な登山開始です。おっと、その前に大聖院からの風景を一眼レフに納めたので、ご紹介します。遥か遠くまで見渡せて素晴らしい風景でした。

丹沢山山頂へ向かっていざ登山開始

さて、登山口であるビジターセンターを出発したわけですが、いきなり険しい登山道が準備されているわけではありません。登山道らしい道になるまで少しだけアスファルトの道を歩きます。道路脇には自販機も見受けられる全く普通の道路です。

しかし、そんな歩きやすい道もあっという間に終わり、そこからは砂利が敷き詰められた坂道登山道。なかなかの悪路ですが、そこがまた登山らしくていい♫そんな登山道を一歩一歩楽しみながら噛み締めながら登っていくと、多くの登山客とすれ違います。

すれ違うみなさんひとりひとりに「こんにちは!」

山での暗黙の了解か、良き慣習か、それとも山の神様がそうさせるのか・・・

山では頻繁に挨拶が飛び交います。だから、山では初対面の人とも本当に仲良くなりやすい!なぜなら一度挨拶してしまえば、初対面の人に話しかけるハードルがガクンと下がるからです。

そんな数多くの人とすれ違っては挨拶をし、気持ちよく登っていると、すれ違った人の中の1人が私に言いました。
[登山客]
これから登るのですか?

[わたし]
そうなんです。

[登山客]
へぇー 泊まりはどこの山小屋ですか?

[わたし]
いえいえ、今日はテントを張るつもりです。

[登山客]
あっ!そうなんですね!でも・・テント張れるところなんてあったかな?ま、大丈夫ですよね。お気をつけて!

[わたし]
はーい!ありがとうございます・・・

どうやら、丹沢付近の山では山小屋での宿泊がスタンダードのようです。確かにテント場は多少なりともゴミが放置されていることがあります。国立公園である丹沢は景観が命。基本的にテント泊を禁止としているのでしょう。

とはいえ、山小屋に泊まるには事前の予約は必須。予約なしでは山小屋での宿泊はできません。

ならば結局はテントを張るしかないわけです。バレないように、目立たない場所でテントを張らなければ!
固形タイプ

つまり、基本的には液体タイプを使用し、チョークバッグにはカットした固形タイプのチョークを入れておきます。

そうすることで、粉末の飛散を最小限に抑えることができ、しかもより適量のチョークを手につけることができるようになるのです。

また、固形タイプのチョークは比較的安価であるため、経済的にも優れたセットです。

丹沢山の山小屋1 見晴茶屋

若干の不安を覚えましたが、なんとかなるさ精神で心の平安を取り戻した私、早くもテントを張る場所のイメージを頭の中で作り始めたのでした。

そうして程よい上り坂の登山道を歩くこと30分、「見晴茶屋」という山小屋に到着しました。その名の通り、絶景を楽しむことができる最高のロケーションの山小屋です。
この丹沢、他の山域と比べても山小屋の数が多く、また設備もしっかりしているのですが、やはり営業時間は短く設定されています。
この「見晴茶屋」も私が到着した時間にはすでに閉店しており、誰もいませんでした。残念です。

見晴茶屋のベンチでザックを下ろして水をクイッと飲み、見晴を楽しみながら2〜3分ほど休憩します。大して疲れてもいませんでしたが、これから後5時間近く歩くので、こまめに身体を休めておく必要があるのです。

さて、見晴茶屋から少し進むとそこには、はるか上まで見渡せる傾斜の高い坂道がみえます。これぞ山登りの醍醐味!この傾斜をゆっくりと確実に登り、坂の上に到達した時のミニ達成感は本当に癖になります。

1人でニヤニヤしながらゆっくり歩を進めていくと、やはりここでも次々と登山客が降りてきます。下山中ですね。誰もが緊張したような面持ちで、慎重に下山して行きます。

登山というのは、山に登って降りるまでの活動のこと。山に登るだけでは登山とは言いません。ただ、残念ながら、下山というのは多くの登山客にとって「不要なもの」と捉えられがちです。

山の頂上を目指して坂道を登っているときは、心ウキウキ、気持ちワクワク、多少の苦しみも登り切ったときの達成感を演出するための程よいスパイスとなります。

しかし・・・下山はただの下山です。ただ家に帰るための下山。夢のような山頂でのひと時から現実へと帰るための下山。明日からまた電車に揺られてオフィスに通勤するための下山。

残念ながら、下山ってものすごい不人気です。まあ、仕方ないか 笑

しかも、山での怪我の多くは下山中に発生します。これにはいろいろと医学的理由がありますが、やはり達成感の後なので、どこか気が抜けてしまうのかもしれません。

そう思って下山していく人たちを観察すると、もちろん慎重に下山している様子が伺えますが、その表情は、どこかウキウキ感を失った夏祭のあとのようです。

もしいつか、いつでも好きな時に山に登ることができるようになったら、下山中もきっとウキウキ感を失わずにすむだろうな!なんて妄想しながら傾斜を登ること約1時間、ようやく坂の上に到着したのでした。

丹沢山の山小屋2 駒止茶屋

さて、坂の上で水筒の水をクイッと一口、腕時計の時刻を見ると17時30分。ここからさらに山道を登って約30分。次なる山小屋、駒止茶屋に到着です。
この駒止茶屋、週末営業らしく、本日金曜日は残念ながら営業はしていませんでした。全面を緑のトタンで構成されたかなり年季の入った建物ですが、手入れは行き届いているようで、扉も窓も清潔です。

そんな駒止茶屋に別れを告げ、さらに山道を登ること30分、時刻は18時を過ぎました。あたりがそろそろ暗くなり始めて、そろそろテント設営の場所を検討するタイミングです。

私はこの丹沢に登ると決めてから、テント設営の場所にはちょっとしたこだわりを持っていました。譲れない条件と言ってもいいでしょう。

それは、夜景が見渡せるところ、そして満天の星を眺めるところです。

もちろん、丹沢までの道中でそんな条件を満たす場所などいくらでもあります。要するに、周囲に木々がなく、標高の高い場所です。

ただ、一般的にはそういう場所はテント設営には不向きです。なぜなら標高の高い場所の比較的強い風もまともに受けてしまうことがあるからです。

本来ならば、強風を避けることができる周囲を木々で囲まれた場所が、最もテント設営にふさわしいと言えるでしょう。

しかし、私はあえて周囲に木々のない開けた場所にテントを設営しようと決心していました。遮るもののない漆黒の空を眺めることができ、できれば夜景を一望で切る場所ならば言うことなし。

目的の山に向かうまでの道中にそんな場所があれば、そこにテントを張るつもりでした。ただ、時刻はすでに18時45分。通常ならば、夕食の準備を始める時刻です。出来るだけ早くテントを張る場所を決めなくてはなりません。

ところが、進んでも進んでもそれらしい場所はなく、鬱蒼と生い茂った森が続くばかりでした。

丹沢山の山小屋3 堀山の家

テントを張ろうと焦リ始めた途中で立ち寄った山小屋がこの「堀山の家」です。立ち寄ったと言っても、すでに営業時間は過ぎており、ベンチに座って水を飲んだだけでした。
営業時間は過ぎていましたが、山小屋の中は灯りが灯っており、この山小屋の主人らしき人が奥様らしき人と何やら話しているところが見えました。

大学ノートを見ながら真剣に話している様子だったので、本日の売り上げか明日の予想収益について打ち合わせをしていたのかもしれません。単なる想像ですが。

「堀山の家」を過ぎても鬱蒼とした森が続き、いよいよ「ちょっと広い場所があればもうすこでテントを張るしかないかな・・・」と半分諦めかけた時、ようやく樹木の本数が極端に少ない標高まで上がることができ、テントを張れる場所の可能性が格段に上がってきました。

ふと後ろを振り返れば、眼下に広がる圧倒的な美しい夜景。テント場の条件をクリアしつつあります。とはいえ、時刻はもう19時15分。辺りは真っ暗闇の一歩手前です。

夜景は問題ありませんし、ここまで登ると漆黒の空を遮るものもありません。とはいえ、私がいる場所には無数の巨石がゴロゴロしているばかり。テントを張れそうな場所ではありません。

丹沢山の山小屋4 花立山荘

行くさきを見上げると、あと5分も登れば坂の上に到着できそうな様子です。そこまで登って少しでもスペースがあればそこでテントを張ろうと決心し、そこまで登った私。坂の上にあったものはなんと「花立山荘」という山小屋でした。
「そうか!ここにも山小屋があったっけ!?」山を登りながらここまで注意深く山地図を見ていた私ですが、うっかり山小屋を見落としていました。時刻はちょうど19時30分。もう辺りは漆黒の闇、もはや選択の余地は全くありません。花立山荘の脇の敷地を借りて、そこにテントを張ることにしました。

花立山荘は週末営業で、その日は金曜日だったため誰もいません。テントを張るには十分すぎるスペースもあり、夜景も満点の星も申し分なし。少し遅くなりましたが、なんとか全条件を満たしたテント場にたどり着くことができたのでした。

丹沢登山 テント泊の夜

ザックを下ろして、中からテント道具一式を取り出しすぐに設営。慣れない人にとっては時間のかかるメンドくさい作業ですが、私にとってテントの設営は赤子の手をひねるようなもの。しかもこの日は風もなく、絶好のテント泊の夜と言えるでしょう。

ものの5分ほどでテント設営し、さあ!いよいよ待ちに待った夕食タイムです。この日のディナーは鯖の缶詰を混ぜた炊き込みご飯とインスタント味噌汁、デザートにバナナ。食後にはバターコーヒー。これ以上ないくらいの最高の贅沢です。

手際よく夕食を調理し、ゆっくりと味わって完食。サッと片付けてしまうと後はシュラフに入って寝るだけ。しかし、私の場合、すぐには寝ません。

数時間もずっと歩きぱなしで、しかもお腹は満腹。シュラフに入って目を閉じればすぐに眠りに落ちることはわかっていましたが、この最高の夜をもっと満喫したい!という思いもありました。

そんな時の夜の過ごし方は決まっています。ウィスキーの水割りを片手に愛用のiPhoneでジャズを流し、そしてLEDの灯りで本を読む。

これほど贅沢な夜の過ごし方は他には絶対にない!と断言できます。

そうして過ごすこと約1時間。ウィスキーの効果もあり程よい睡魔に襲われた私は、ここが頃合いとばかりに本を閉じ、LEDを消してシュラフにもぐりこんだのでした・・・

丹沢登山と出発の朝

時刻は朝の4時30分。普段だとものすごい早起きですが、山の朝としては一般的です。テント泊の場合、夜は8時には寝てしまうので、必然的に朝は早く起きてしまうのです。

昨晩の私は1時間ほどジャズを聴いたり本を読んだりしていましたが、それでも9時には眠りにつきました。で、この時間に目覚めたというわけですね。

ウェットティッシュで顔を拭いて、水筒の水をゴクリと一飲み。しっかりと目覚めたところで、朝食の準備に取り掛かります。

朝の献立は、白ご飯と梅干しとインスタント味噌汁。昨晩と同様に手際よく作り終えて、サッと朝食をすます。

片付けも終えてホッと一息すると、早速登山客が私のテントの前を通ります。その手にはプロ仕様の高級カメラ。早朝の美しい朝日の写真を撮りにきたのでしょう。
[わたし]
おはようございます!早いですね!

[カメラマン]
おはようございます!いい朝ですね!最高の写真が撮れそうです。



いい笑顔で返事してくれましたが、写真撮影に集中したい様子。それ以上の会話はご遠慮して、テントの片付けに取り掛かることにしました。

10分ほどでテントをたたみ、すべてのものをザックにしまい込んで、登山準備万端!再び丹沢山へ向けて歩き始めたのでした。

丹沢山ルートのもうひとつの目的地 塔ノ岳

花立山荘を出発した私は、まず塔ノ岳を目指しました。塔ノ岳とは、丹沢山ルートの中でも有名な山頂。ここまでの途中何度も「塔ノ岳まで〜m」という案内表示を見ました。丹沢山ではなく、塔ノ岳を目指す人も多いようです。
実は私も、昨日は塔ノ岳でテントは張るつもりでした。しかし、あたりが真っ暗になる寸前だったため止むを得ず花立山荘でテントを張ることにしたのですが・・・後ほどこの選択が正しかったことを思い知ることになります。

さて、テント泊の利点は様々ありますが、日の出を見ながら山道を歩くことができる点も大きな利点の1つです。まっさらな太陽の光を浴びながらの登山は、身も心も癒される素晴らしい体験です。

前日中にたどり着こうとして断念した塔ノ岳。テントを張った花立山荘からだと30分ほどの距離なので、すぐに到着するはず!と考えていた私ですが、実際本当に30分ほどで塔ノ岳に到着しました。

さて塔ノ岳山頂ですが、中心に塔ノ岳山頂を示す立派な石碑が構えており、その石碑を取り囲むような配置で大小様々な石がゴロゴロと転がっていました。そのすぐ奥には2階建ての立派な山小屋が建っており、その脇では、宿泊客らしき男性が眠たそうに歯磨きをしていました。なんとも生活感溢れる光景です。

そんな生活感溢れる山小屋がちょっと珍しく、しばらくその雰囲気を味わってみようと塔ノ岳山頂で一息入れることにした私。ザックを下ろしてしばらく手頃な石に腰をおろしていると、山小屋の窓が次々と空き始め、ワイワイガヤガヤと騒がしくなってきました。

どうやら多くの登山客が宿泊していたようで、次々と山小屋から人が出てきて、顔を洗ったり、背伸びしたり、ラジオ体操を始めたり、談笑したりと実に賑やか!

こんな山頂の光景も悪くない!とばかりにしばらくそんな微笑ましい雰囲気を味わっていましたが、やはり山の早朝は静けさが相応しい!とばかりに早々に塔ノ岳をあとにして、丹沢山へと向かったのでした。

ついに到着!丹沢山山頂

塔ノ岳から丹沢山までの山道は、稜線の道。細い一本道ですが、比較的平坦で歩きやすく、しかも山道の両サイドを見れば最高の絶景を楽しむことができます。

そして、丹沢山は比較的富士山が近く、稜線からも美しい富士山の姿を楽しむことができます。
そんな稜線を歩くこと約1時間ほど、ついに丹沢山山頂に到着することができたのでした!
さて今回の丹沢山山頂を目指した登山、本来ならばルートの途中途中の山小屋に宿泊すべきところを、掟破りのテント泊をしてしまった私。確かにこれほどしっかりと整備されている山道だと山小屋での宿泊が正しいとは思いますが、場合によってはテント泊も有りかな?と結論づけました。

ただし、テント泊をした形跡を一切残さないこと!これが大原則です。これさえ守れば、テント場でなくとも、どこでもテントを張ることはできると思います。

普段は日帰り登山がメインの私ですが、今回の山行で改めて「やっぱりテント泊は最高だっ!」と実感したのでした。

ハイキングツアー参加ご予約・お問い合わせ

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2021.07.26

ガイドとして経験した史上最高の登山

ガイドとして経験した史上最高の登山
こんにちは!登山家の松浦です。
この記事では、私が担当したあるガイド登山について書いてみようと思います。ガイドしたのは2人の女性。あるビジネスセミナーに参加した時に、同じチームでともにビジネスを学んだ方々です。

お2人の名前は”カトリーナ”と”ナウシカ”。海外の方ではありません。ビジネスセミナーでのニックネームです。ちなみに私は”マッチャン”と名乗っていました。

登山の楽しみ方は人ぞれぞれ。山頂に到着して大成功!と言う人もいれば、山でお湯を沸かしてカップラーメンをすすって最高!と言う人もいます。中にはあえて雨が降る中の登山を楽しむ人だっているのです。

ただ、今回私が経験したガイド登山は、どんな趣味趣向の人にも「羨ましい!」と言わせる自信がある、まさに万人が認める最高の登山でした。

これほど最高の登山を経験してしまっては、以後の登山の楽しみが半減しまうのでは?と思うほどでした。しかし、どんな最高の思い出であっても人の記憶は薄れ、そして忘れ去られてしまうもの。

今後これほど最高のガイド登山を経験できるかどうかはわかりません。だから、せめて今回のガイド登山の記憶が鮮明なうちに文章に残しておきたい!そしていつか今回のガイド登山を超えるガイド登山を経験してみたい!

そんな思いと願いを込めてこの記事を書きます。今回の記事はきっと、あなたが登山を始めるきっかけになるはずです。

登山ガイド前の待ち合わせ

とある土曜日の朝、時刻は8時。私は滋賀県のJR湖西線和邇駅にいます。

天候は晴れ。空には多少の雲がかかっているようですが、それもはるか上空の雲。雨を降らす要素はありません。

なぜ私がこの和邇駅にいるのかと言うと、登山ガイドのためです。今日は”カトリーナ”と”ナウシカ”の仲良し女性コンビを山に案内しようとしているのです。

待ち合わせ時刻は8時30分。少々早く到着しました。私は人と待ち合わせをする場合、必ず設定時刻の15分〜30分早く到着するようにしています。

早めに着いて気持ちを整えようという意味もありますが、何よりも私は人を待たせることに異常なストレスを感じてしまうのです。

普段、ほとんどストレスを感じずに楽しく面白く仕事をしている私ですが、例えば、待ち合わせの時間に遅れそうになって駅から走らなくてはならないという時、精神的・肉体的疲労は頂点に達します。

人と待ち合わせて、今から共に何かをしよう、どこかに行こうとしているにも関わらず、いきなり疲労がピークに達してしまうわけです。

相手方をを待たせることへの申し訳なさが、このストレスの原因になっているとは思います。ただ、そうでなくともやはり心にいつもゆとりは持っておきたいもの。

ということで、私は8時30分という待ち合わせの時刻よりも30分早い8時に、和邇駅のベンチに座っているというわけです。

これから一緒に山に登る”カトリーナ”と”ナウシカ”はお2人とも登山は初心者であり、お2人に背負っていただく荷物はご近所散歩程度のもの。これです↓
"
・飲み水500ml程度
・割れにくいコップ
・汗拭きタオル
・スマホ、財布などの貴重品
・それらを入れる小さなザックもしくは両手が空くバッグ"


一方私は、登山で必要な物資、食料、水などを3人分準備、それらをパンパンになるまで詰め込んだザックはなんと80Lサイズです!重量は約20kg!

20kgザックはまあまあの重量ですが、ザックの中には今回の登山を100%楽しむためのものがこれでもかと詰め込まれています。

お2人の喜ぶ姿を想像すると、ザックの重さも快感ですね!

そうこうしているうちに、まずカトリーナが到着。先にベンチに座っていた私をみて、素敵な笑顔で手を振ってくれます。
[カトリーナ]
いよいよですねっ!すっごく楽しみ♫

登山初心者だと服装を間違ってしまうことがありますが、カトリーナの服装は完璧な登山スタイル!登山でなくとも、アウトドアスタイルというものをよくご存知のようです。

しばらくカトリーナとベンチで雑談していると、ナウシカが到着。
[ナウシカ]
お待たせ〜♫

ナウシカも登山は初心者と聞いていましたが、服装は完璧!なんの文句もないスタイルで、ガイドする身としても嬉しい限りです。

こうして待ち合わせ時間の8時30分を待つまでもなく3名が揃い、ここから楽しい登山が始まります♫
西野さん
今回の主催者。ネットビジネス、特にコピーライターとして一言では言い表せないほどの実績を持つ私のメンター。
住吉さん
広島在住の3人の子を持つ母。弥山登山の経験者。
岩永さん
名古屋在住。背が高くスリムなモデル体型の男性。登山未経験者。
松浦
コピーライター兼登山家。当ブログの管理者。
初めまして!と、軽く挨拶をすませ、一路フェリー乗り場へ。宮島は離島なので、フェリーに乗る必要があります。

4人それぞれ切符を購入しフェリーへと乗り込むと、まずその人の多さにビックリです。こちらをご覧ください↓
これは、宮島全体を描いたガイドマップですが、数々の名物商店や土産物屋、宿泊施設が並び、一大観光地の様相を呈していています。また、宮島には厳島というもう1つの名称があり、その名を冠した厳島神社は、松島・天の橋立と並ぶ日本三景の1つに数えられます。

そんな宮島は「せっかくの休みだからちょっと外出しようか」という人にはピッタリの観光地なわけですね。
そんな観光地である宮島、外国人旅行客の数には圧倒されます。土産物も外国人向けのものが見受けられます。

例えばこれ↓
日本人はまず買わないだろうな・・と思われる日の丸と「日本」のコラボTシャツ。店主の商売センスに脱帽です 笑
私と小説「神々の山嶺」との出会いは、原作者である夢枕獏を経由したものでした。と言っても別に原作者に直接お会いできたわけではありません。

約10年前、当時ビジネスマン向けに発行していた月刊誌「KING」で、夢枕獏氏は自身の旅行記の連載を持っていました。わずか2〜3ページの短い連載ページでしたが、その文章は知性に溢れ、ユーモアセンスに富み、人を惹きつけるに十分な魅力を持ったものでした。

[わたし]
なんでもいい!この人の著書を読んでみたい!


そんな強烈な願望を持ち、すぐにyahooで夢枕獏氏の著書を調べてみました。数々の小説タイトルがヒットしましたが、ジャンルに偏りはなく、オカルト、SF、時代物、格闘技と多岐に渡っていました。

そんな中で一際私の目を引いた小説が「神々の山嶺」だったのです。夢枕獏氏の代表作ともいうべき作品とあり、何よりも私自身が登山にのめり込み始めた頃だったということもありました。

数日後の仕事帰りに、大阪は梅田の大型書店「紀伊国屋」へと立ち寄り小説コーナーを物色するとすぐに発見、分厚い単行本の「神々の山嶺」が上下巻に別れて陳列されていたのです。

1ミリも迷いことなく、ただちに上下巻を手にしてレジへと走り、ウキウキ気分で帰路につきました。

その日はちょうど金曜日。再び出勤する日までの2日間、私は「神々の山嶺」の世界に没頭することとなったのでした。

登山ガイドルートの紹介

さて、今回の登山ルートを紹介しておきましょう。
①JR湖西線和邇駅をスタート!そこからタクシーに乗って登山口へ。
②登山口から約2時間半〜3時間登りの後、権現山山頂(ピーク1)に到着。
③権現山山頂で昼食。
④権現山山頂からホッケ山(ピーク2)に向かって稜線を北へ約30分歩きます。
⑤ホッケ山から蓬莱山(ピーク3)に向かって稜線を約1時間歩きますが、途中、小女郎ヶ池に立ち寄ります。
⑥蓬莱山から打見山(ピーク4)までリフトで移動、そこからロープウェイで一気に下山します。
⑦バスで志賀駅へ。そこでゴールです!
救急救命法は、講習会などに参加して実地に習得するのが早道です。代表的な講習会に、日本赤十字社の全国の支部で実施している救急法講習会があります。日常生活や社会的な災害時にも役に立つ知識です。
以前、山に”似合う”車ということで記事を書いたことがありました。

「山に”似合う”車とは?雰囲気重視の車選び」

登山をするために「便利な」ということではなく、山に合う車は何か?ということで
私がシェアした車がミニクーパーでした。

街乗りのイメージが強い車ですが、実はかつてラリーで優秀な成績を収めたこともある
悪路にも強い、とてもパワフルな車なのです。

しかも、小さいボディーにも拘らず内装は広く、登山で使う程度の荷物ならば楽々入ります。
さすがに車中泊はちょっと辛いのですが、それは外にテントを張って解決!

まるで自分の相棒のような、親友のようなミニクーパーが最も山に似合う車と思っています。

登山ガイド1 和邇駅からタクシーで

さて、ここ和邇駅から登山口に向かうのですが、和邇駅から登山口までは歩くと1時間以上かかってしまいます。今回の目的は登山。一般道を1時間もかけて歩く意味はありません。

そこで、登山口まではタクシーで向かいます。

歩くと1時間以上かかる道のりもタクシーだと約5分。ここでかなりの時間短縮が可能です。
ここでタクシーを降りました。真正面に木々に囲まれた登山道が見えます。いよいよここから歩行開始です!
紅葉谷コース
約700本もの紅葉やカエデを見ることができる紅葉谷公園を通るコースです。紅葉の季節には、素晴らしい景色を見ることができます。
大聖院コース
霊峰・弥山のふもとにある真言宗御室派の大本山である大聖院。宮島で最も歴史の古い寺院です。弘法大師空海が弥山を開基して以来1200年の歴史を持ち、皇室との関係も深いお寺でもあります。ここでの参拝を兼ねたコースです。
大元コース
桜の名所として知られ、厳島神社より古い歴史ある神社です。柿(かわら)葺屋根は日本で最も古いと言われ、現存する唯一のものです。ここでの参拝を兼ねたコースです。
今回の登山は、神社や寺院での参拝をメインにしたものであるので、選ぶコースは大聖院コース。

厳島神社を後にして、約5分歩くと大聖院に到着です。大聖院は概ね登山コースのスタート地点に位置します。
門の左右には大迫力の仁王像がお出迎え。いや、お出迎えと言うよりも「この聖域を汚す奴は許さん!」と、恐ろしく気合いの入った雰囲気です。この大聖院が歴史上いかに重要な寺院かということを物語っているかのようです。身の引き締まる思いで一礼して門をくぐると、その先には長い石階段がそびえ立っています。

石階段の左側をふと見下ろすと、そこには無数のお地蔵様が並んでいました。山ではところどころにお地蔵様が祀られていることはよくありますが、これだけ無数に並んでいるところは初めてみました。
しかもよくよく見ると、単なる石像ではなく、1体1体全て違う表情をしています。魂が込められたお地蔵様を具現化した姿のようにも見えて非常に興味深いものでした。

お地蔵様を横目にさらに階段を上がると、左手に釣り鐘がありました。どうやら誰でも自由に突いてもいいようです。
4人で順番に突くこととなり、それぞれ鐘突きに挑戦!鐘突き棒(撞木という)から垂れる縄を後ろに引き、振り子の原理に自身の力を加えて勢いよく釣り鐘を叩く!

ゴ〜〜〜ン・・・

独特の音色が辺り一面に響き、周囲の山々へと吸収されていきます。心なしか私の脳みそにまで音色が吸収されたかのような錯覚を覚えました。いい音色でした・・・

釣り鐘を後にし、さらに階段を上がると、大聖院の本堂である摩尼殿に到着です。

本殿の中は非常に荘厳で近寄りがたい雰囲気がありましたが、本殿手前の広場は、仏具などの露天商があり、聖と俗がいい感じに融合している様子で非常に居心地の良い空間でした。

大聖院でゆっくりと休憩をとり、階段を下りていよいよ本格的な登山開始です。おっと、その前に大聖院からの風景を一眼レフに納めたので、ご紹介します。遥か遠くまで見渡せて素晴らしい風景でした。

登山ガイド2 権現山山頂へ

登山前に伝えるたった2つの最重要事項
登山開始前に、私はカトリーナとナウシカに2つのことをお伝えしました。

トレッキングポールを両手に持って歩くこと
歩幅をいつもの半分にして歩くこと
まずカトリーナとナウシカには、事前に私が準備していたトレッキングポールを2本ずつ持っていただきました。

トレッキングポールを使うことで、歩行時の脚の負担は驚くほど軽減される!

最近では平地でのウォーキングでも使われることがあるので、よく知られていることです。しかし、実際に使ってみると、その絶大な効果にお2人ともかなり驚いた様子。

それ以降、下山するまでお2人ともトレッキングポールを使っての登山となったのでした。

街中をウィンドゥショッピングをする時の歩き方と、登山道の歩き方は大きく異なります。

かといって、登山初心者であるお2人に登山道の歩き方を特訓することもできませんし、そんな時間もありません。そもそもきっとお2人はそんなことは求めていないはずです。

かといって、間違った歩き方でハァハァゼィゼィ言いながら必死になって登山しても楽しくありません。

そんなわけで私は、お2人に登山道を登る時の歩幅はいつもの半分とすることをお伝えしました。歩幅を半分にしてチョロチョロと歩くこと、たったそれだけのことで体への負担も半分、いやそれ以下になります。

登山の楽しみは、雄大な自然の中に身をおきながら、山からの壮大な風景を楽しむこと、そして木々や登山道の脇に咲く花を愛でることにあります。

体力にも気持ちにも余裕があってこそ、そんな登山の楽しみを満喫できるのです。

鋭い感性のカトリーナ
傾斜がきつく、石あり岩あり倒木ありの登山道ですが、まるで美しいBGMのような小鳥のさえずりや風の音の中をゆっくりと、しかし確実に歩を進めるカトリーナとナウシカ、そして私。

疲れを極限まで抑制するチョロチョロ歩きとトレッキングポールのおかげで、息切れすることなく3人で談笑しながら頂上を目指します。

私はお2人を安全に頂上へ導こうと、登山道の危険に目を光らせながら歩いていました。

そんな中カトリーナが突然立ち止まり、登山道の脇をジーっと見つめています。

何事かと思いカトリーナが見つめる先に目をやると・・・なんとも小さな可愛らしい花が咲いています。
[カトリーナ]
まあ!可愛い♫

普段登山道を歩いていても登山道の脇に咲く小さな花などに全く目もくれない、それどころか気づきもしない私ですが、よくよく見てみると小さいながらも堂々と咲き誇る姿がなんとも微笑ましい!

そんな山の新たな一面に気づかせてくれた、鋭い感性のカトリーナに感謝です!

最初の休憩ポイント
そうして登山道の脇道を存分に楽しみながら、歩くこと約30分。傾斜が続く登山道の中でも貴重なフラットな場所に到着しました。まるで階段途中の踊り場のようですが、ここが最初の休憩ポイントです。

ハァハァと軽く息切れしながらあたりを見回すと、ただフラットなだけの場所ではありません。斜面は見渡す限り木々で覆われているにもかかわらず、ここだけ木々もなく、心身ともにゆっくりとできる広場になっているのです。

広場の端には、まるで公園のベンチのような座り心地の良さそうな丸太が設置されています。

さっそくここに3人で座り、それぞれザックの中から水筒を取り出し、水を1口飲んでホッと一息。

ここまで険しく急な山道を登ってきたのですから当然体力は消耗しているはずですが、カトリーナもナウシカも全く疲れた様子がなく、むしろ登山前よりも元気なくらいです!

そんなお2人。ここまで登ったんだから素晴らしい絶景を楽しめるだろうと当たりを見回しますが、目に入るのは生い茂った木々ばかり。

残念ながら、ここは山の中腹です。身体を休めるには絶好の広場ですが、背の高い木々に囲まれているため絶景を楽しむことはできません。絶景はもう少し上までおあずけですね。

それでもここまで登ってきたというちょっとした達成感もあり、カトリーナもナウシカも実に元気!お互いの身の上話にも花が咲きます!

とはいえ、頂上まではまだ時間がかかります。話が一段落したところで、さあ!行きましょう!と声をかけ、再び歩き出します。

疲れた私たちに声援を送る鳥
ここからの登山道は、これまでと比較するとやや急で、道幅も極端に狭くなります。そのため先頭が私、真ん中がナウシカ、後ろがカトリーナという一列並びで登ることにしました。

登れば登るほど険しさを増す登山道。でもその分自然も豊かで、より強い自然エネルギーを肌で感じることができます。

ただナウシカとカトリーナの様子を見ると、明らかに先ほどよりも口数が減っている様子。さすがにキツいようです。

焦らずゆっくり登りましょう!と声をかけようとした、ちょうどそのときだったと思います。鳥の鳴き声が聞こえてきたのです。

もちろんここは山の中。鳥の鳴き声など珍しくもなんともありません。ピー、ヒョロロロゥ、クーックーッ、カァー・・・鳴き声の種類を上げればキリがありません。

ところがその時の鳴き声は、モウスコシ モウスコシと聞こえるのです!

それに最初に気づいたのはナウシカでした。
[ナウシカ]
ん?なんかモウスコシって言ってない?

もちろん鳥が人の言葉を話すはずがありませんし、鳥の鳴き声がたまたまそう聞こえるだけだということはわかっています。

しかし、その時の私たちにはまるで鳥が「もう少しだからがんばれ!」と応援してくれているかのように思えたのです。
[カトリーナ]
なんだか私たちを応援してくれているみたいね♫

[わたし]
フフフ 本当ですね♫

山は人の想像を超える世界、そんなこともあります。3人で笑っていると、なんだかカトリーナもナウシカも元気を取り戻したかのように見えたのでした。

山の美しい青空に気づいた私
さて、あなたは青空を心の底から美しいと思ったことはありますか?別に深い意味はありません。質問そのままの意味です。

恥ずかしながら、私はありませんでした。
[わたし]
空が青いのは当たり前。

そんな風に考えていました。

しかしこの日を境に、私は雲1つない突き抜けるような青空を「美しい」と感じることができるようになったのです。

それに気づかせてくれたのはカトリーナでした。
[カトリーナ]
ウワー!空の青さが本当に綺麗ねっ♫

見上げると確かに雲1つない青空が広がっています。綺麗な青色であることはわかりますが、私にとってそれは特に珍しいことではありませんでした。

なぜなら、私が類い稀な「晴れ男」だからです。

晴れ男?

"
行く先々の天気が決まって晴れになると(冗談めかして)言われる男性のこと。

同種の晴れ気質を備えたような女性は「晴れ女」と呼ばれる。

行く先々がたいてい雨天になると言われる男は「雨男」と呼ばれる。(Weblio辞書より)"


もちろん根拠はありません。普通に考えれば、1人の人間が気象状況に及ぼす影響など皆無と言っていいでしょう。

ただ、どういうわけか私が行くところは晴れることが本当に多いのです。雨の予報にもかかわらず晴れることもあるくらいです。

私の長年の登山歴の中でも、レインウェアを着用したことは両手で数えるほどしかありません。山は天候が変化しやすいと言われるにもかかわらずです。

雨の予報すら晴天に変えてしまうほどの晴れ男!!

登山ガイドとしてそんな才能を持つ私なので青い空など珍しくもなんともないのですが、改めてじっくりと雲ひとつない青空を眺めてみると、生まれたばかりの葉の鮮やかな緑と美しい青空のコンビネーションはもはや芸術です!

登山暦10年以上の私が、まさかここで青空の美しさに心を奪われてしまうなんて夢にも思いませんでした・・・

それに気づかせてくれたカトリーナに心の底から感謝です!!

さて、険しい登山道もいよいよ終盤です。登山道は相変わらず急坂ですが、周辺の木々の種類に変化が見受けられます。

高山で自生する種類のものが目立つようになってきたのです。
高山で自生する木々や草花の特徴は、比較的背の低いものが多いということです。あくまでも私の持論、経験則ですが。
[わたし]
さあ!あとすこしですよ!

ナウシカとカトリーナを励まそうと声をかけると、お2人とももはや声を出す余裕が無いようです。でも、その表情は本当に満たされ、元気一杯!といった様子。

これならば頂上までしっかりとついて来てくれる!と確信し、安心して頂上へと向かって歩を進める私。

やがて、青空と山の境界線がすぐ間近に見えてきました。そう!権現山の頂上です。私が登山前にお伝えした通りに歩幅を小さくしてゆっくりゆっくり、でも確実に頂上へと進むお2人を見守り、噛みしめるように歩きます。

そうしてついに!権現山頂上へと到着したのでした。もちろん、ナウシカもカトリーナも無事に到着!心地よい疲労感と最高の達成感、そして最高の笑顔を私に見せてくれたのでした。
固形タイプ

つまり、基本的には液体タイプを使用し、チョークバッグにはカットした固形タイプのチョークを入れておきます。

そうすることで、粉末の飛散を最小限に抑えることができ、しかもより適量のチョークを手につけることができるようになるのです。

また、固形タイプのチョークは比較的安価であるため、経済的にも優れたセットです。

登山ガイド3 絶品山料理

私の登山ガイドの目玉は、何と言っても絶品山料理!自分で絶品と言ってもなんら罪悪感を覚えないほど、山ではどんなものでも美味しく感じてしまいます。

本日のメニューはこんな感じです↓

"フルーツポンチ
カルボナーラ
五目ごはん
バターコーヒー/バターティー
"


良く言えば和洋折衷、悪く言えばデタラメなラインナップですが、これでも山の頂上からの絶景を眺めながら食べると通常の何十倍も美味しく感じます。

ザックを下ろした私は真っ先に、折りたたみ椅子を2つザックから取り出します。まずはカトリーナとナウシカに座ってもらい、酷使した脚を休めていただきます。

その間に私はミニテーブル、登山用ガスストーブ、コッヘル、コップ、ミネラルウォーター、サイダー等を取り出し、前菜の準備をします。

ミニテーブルにコップを2つ並べ、事前にカットしておいたリンゴ、キウイ、オレンジを投入します。そこにサイダーを並々と注いでフルーツポンチの完成!
お2人にフルーツポンチを味わっていただいている間に、私はパスタを茹でます。
しっかりと茹で上がったところで湯を切り、カルボナーラソースを投入!弱火で温めながらパスタとソースをじっくりと絡めます。しっかりと絡まったところで2品目のカルボナーラの完成!
3品目の五目ごはんは山用のフリーズドライ食品です。お湯を注ぐだけで完成!
4品目はバターコーヒー/バターティーです。
バターコーヒーについてはこちらをご覧ください

登山家もダイエッターも大絶賛 グラスフェッドバターで作ったコーヒーとは
[ナウシカ]
すごく美味しかった!!

[カトリーナ]
まさか山頂でこんな料理を味わえるなんて!もう最高!

自分が料理したものを「美味しい」と言ってもらえると、なんだか自分が高級料理店のシェフになったような気がして本当に嬉しいものです。

うっかり自分の分を作ることを忘れてしまった!!にもかかわらず、そんな喜びに浸ったのでした 笑

登山ガイド4 権現山頂上からホッケ山頂上へ

さて、権現山登頂を果たした、山頂で絶品山料理も食べた、あとは下山するだけ!と言いたいところですが、ここまでまだ全体の行程の半分です。

ここからホッケ山、蓬莱山の山頂を通り、ゴール地点の打見山山頂のロープウェイまで楽しい登山は続くのです。

さてホッケ山。権現山の北側に位置する山です。権現山の標高が997mであるのに対して、ホッケ山の標高は1050m。堂々たる1000m級の山です。

しかしホッケ山は、山頂を目指すぞ!と登頂の対象となることはまずありません。なぜなら、南北を権現山と蓬莱山に挟まれ、東西は木々が生い茂っているため、ホッケ山単独の登山ルートが存在しないのです。従ってホッケ山は、縦走ルートの中継ポイントとしての役割を果たすことがほとんどです。

ただ、権現山山頂とホッケ山山頂を結ぶ稜線の風景はとても美しく、歩く者を存分に楽しませてくれます。

また、進行方向右にはまるで太平洋のように、眼下に大きく広がる琵琶湖。北と南に大きく広がる琵琶湖は、1000m上空から見渡しても北端は水平線の遥か先、全貌を視界に捉えることはできません。日本一大きな湖と言われる所以です。

カトリーナとナウシカは、先ほどよりもずっと口数が少なくなっています。さすがにここまで歩くと疲れて話す余裕がない?いいえ、違います。

お2人の表情に疲れは出ていません。むしろ、足取りも軽くなっているようです。

権現山登頂までは、ひたすら傾斜のキツい登り坂。周りを見渡しても、木々が生い茂るばかり。それだけに登頂を果たしたときの達成感は格別なものがありました。

しかし今はどうか?登山道は幅こそ狭いが、傾斜は緩く比較的整備され歩きやすい。そして眼下に広がる広大な琵琶湖。きっと、カトリーナもナウシカもあまりに美しい景色を目の当たりにして感動のあまり胸がいっぱいになっているのではないかと思うのです。

登山には感動を味わう側面もある!!

登頂の達成感ばかりに気持ちが行きがちな登山ですが、そんな側面もあると改めて気づかされました。

そうして稜線を歩くこと約30分、私たちはホッケ山山頂に到着したのでした。

登山ガイド5 ホッケ山頂上から蓬莱山頂上へ

ザックを下ろし周囲を見渡すと、ホッケ山山頂は比較的荒涼としています。石と岩ばかりが目立ち、あとはわずかに草が自生するばかり。

ただ、それだけに絶景を遮るものはほとんどありません。東をみれば広大な琵琶湖、西をみれば比良山系の山々が連なる大自然の絶景を眺めることができます。

ここで5分ほど絶景を堪能し、水筒の水をクイッと一飲みして再びザックを背負ったのでした。

悲哀伝説の小女郎ヶ池
さて、ホッケ山頂上から北へやや下ると進行方向左側に池が見えます。とても小さな池ですが、そこは、1000m級の山々が連なる比良山系、いや滋賀県全体でも最も標高の高い場所に位置する池、その名を小女郎ヶ池と言います。
[あなた]
ちょっと寄り道になりますが、行ってみますか?

[ナウシカ]
うん!行こう!

決断力が素晴らしいナウシカの一言で、小女郎ヶ池に立ち寄ることにしました。
この小女郎ヶ池、古来よりある夫婦の悲哀伝説が存在するのですが、私がこの池を始めて見たときに不思議に感じたことがあります。

それは極めて閉鎖的な環境であるにもかかわらず、富栄養化が進んでいないことです。

富栄養化?

"湖沼、内海、内湾などの閉鎖性水域では生活排水、工場排水、農業肥料などが流入し、窒素、リンなどが増加する。日光を受けて藻類や植物プランクトンなどの水生植物が増殖し、これが枯死・腐敗して窒素、リンを水中に放出する。赤潮、アオコなどは、こうした富栄養化で起きる。2004年度の環境基準(BODまたはCOD)の達成率は、河川89.8%、海域75.5%、湖沼50.9%。琵琶湖、霞ケ浦、諏訪湖など代表的な湖沼で未達成。(知恵蔵より)"

つまり、魚やプランクトンの栄養源となるものが、消化しきれないほど大量に存在することによって生じる池の汚染を言います。

もちろん小女郎ヶ池に生活排水や工場排水が流れ込むことはありえませんが、それでも閉鎖された水域では富栄養化が進みやすいと言われます。

ところが小女郎ヶ池には魚やプランクトンが生息しているにもかかわらず、池の水は極めて透明です。もし真夏にここを訪れたら、ここで泳ぎたい衝動に駆られることでしょう。

おそらく自然な見た目を保ちつつ人の手による管理がなされているか、雪解け水や雨水の流入と地下水としての流出がバランスよく行われているのか、あるいは悲哀伝説の主人公である女性の神秘的な力によるものなのかもしれません。
小女郎ヶ池に立ち寄ってから本来のルートに戻った私たちは再び稜線の歩行を再開、蓬莱山頂上を目指します。

昼食や休憩を挟んではいるものの、ここまで歩きっぱなしのカトリーナとナウシカの表情にも若干の疲れが見え始めたようです。

お2人とも足取りはとてもしっかりしているものの、立ち止まって「フーゥッ」と一息つく回数が増えてきたのです。

そこで私は歩行速度をさらに抑え、小休止の回数を増やして、カトリーナとナウシカの体力の回復させつつ、疲れを出来るだけ軽減させるように努めました。

そうして歩くこと約1時間、ついに目の前に蓬莱山の山頂が見えてきたのでした。

登山ガイド6 テーマパークと化した蓬莱山頂上

蓬莱山。もちろん比良山系の一角を成す堂々たる1000m級の山ですが、そこはもう1つの顔を持ちます。

もう1つの顔。それは、びわ湖バレイという観光スポットです。

あともう1つの坂を登りきれば蓬莱山頂上に到着という場面、ようやく登り切って私たちが山の上で見たものは、登山中とは思えないほどの軽装の人々、そして多くの人工物でした。

蓬莱山に限らず、1つの山には多くの登山ルートが存在します。険しいが歩行だけで登ることができるルート、岩登りの技術を要するルート、川の流れに逆らうようにして登るルートなどなど・・・

しかし、蓬莱山にはありとあらゆる登山ルートの中でも最も簡単で、最も早く登ることができるルートが存在するのです。そのルートで登るならば、ザックも登山靴もトレッキングポールも必要ありません。

男性はジーパンとスニーカー、女性はスカートやハイヒールでも登ることができるのです。

そのルートとは・・・そう!ロープウェイです。

蓬莱山、打見山の斜面の一部は、びわ湖バレイという会社の所有となっており、冬にはスキー場、春夏秋には今回のようにレジャースポットとなり多くの人々で賑わいます。

権現山登山口から歩き続け蓬莱山山頂までたどり着いた我々は、何物にも代えがたい大いなる達成感と程よく心地よい筋肉疲労を手に入れました。

ここで今回の歩行を完結することこそが最もふさわしい。カトリーナとナウシカそして私の意見が一致し、蓬莱山頂上を今回のガイド登山のゴールとしたのでした。

後日談

登山完了した後リフトとロープウェイで一気に下山し、無事それぞれの家に帰宅した私たち。

なんのトラブルもなく、何よりもカトリーナとナウシカをJR湖西線志賀駅のホームまで送ることができたことが、登山ガイドとしての何よりの喜びです。

後日、カトリーナからメールをもらいました。

そこには、今回の登山の日がカトリーナにとって天国に一番近い日であったこと、突き抜けるような青空の中山に登ることができて人生の楽しみを見つけることができたこと、そして魂が解放される1日であったことが書かれており、登山ガイドとして涙が出るほどの喜びを感じることが出来たのです!

また、ナウシカからもお礼のメッセージと、山で撮った多くの画像と私が昼食を作っている所の動画も送っていただきました!自分自身の動画を自分で見るという経験が全くなかった私にはなんとも恥ずかしいものでしたが、最高の思い出となりました!

これを読んでいるあなたが、今回の私たちの登山をどのように感じられたかはわかりませんし、登山の目的や楽しみ方は人それぞれです。しかしそれでも今回の登山は、全く非の打ちどころのない万人が認める最高の登山であると確信しています。

今回の記事を読んで、もしあなたがこんな登山をしてみたいと思ってもらえたのであればこれほど嬉しいことはありません。

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2021.07.24

雪山登山紀行 比良山系権現山から打見山縦走

雪山登山紀行 比良山系権現山から打見山縦走
こんにちは!登山家の松浦です。
登山紀行シリーズ、今回は滋賀県は比良山系の雪山登山紀行です。

日本一の湖である琵琶湖の西側に位置する比良山系、そこは由緒正しき比叡山があり、広大なスキー場があり、そして子供から大人まで楽しめるアスレチックがある一大観光施設と言えるでしょう。

そして何より、鬱蒼と生い茂った森林、自然の岩場、天にも届くほどの巨大な山が多くの登山家を惹きつけます。

そんな比良山系、その姿は1年を通して大きく変化します。春は雪混じり新緑が山々を覆い、夏は青々と生い茂った森林の中でセミの大合唱、秋は緑と黄と赤の美しいコントラストが表現され、冬は一面真っ白の銀世界。

あなたはどの季節の山が一番好きですか?

実は私は他のどの季節よりも冬、つまり雪で覆われた山を好みます。

雪で真っ白に覆われた山は、容易に人の生命を奪うあまりにも厳しい極寒の地ですが、その人智を超越したあまりの美しさは見る者を魅了します。

まるでこの世のものではない、別次元の世界に迷い込んだような気すらしてしまうのです。

今回の雪山登山紀行は、そんな別世界に迷い込んだ私の姿、そして雪山登山の魅力を余すことなくお伝えします。

もしあなたが冬の寒さが大の苦手であったとしても、この記事を読めばあなたも雪山の魅力を感じずにはいられなくなるはずです。

それではどうぞ!

雪山登山の日の早朝

ある真冬の日の朝5時。時計のけたたましいアラームが部屋いっぱいに鳴り響き、私は目を覚ましました。

自らの体温で最高に心地よい温度が保たれた布団の中は私を眠りへの誘惑へと誘いますが、この日は雪山を登る日。私はいとも簡単に布団の甘い誘惑を打ち破り、上半身を起こしました。

家の中であるにも関わらず部屋の空気は刺すような冷たさで、窓の外はまるで真夜中のように真っ暗。

さあ!登山に出かけるゾッ!とワクワクした気持ちで目覚めたものの、いざ部屋の灯りをパチリと点けると、自分の部屋なのになんとも言えない違和感を感じます。

仕方ありません。真冬の朝5時に起きるなどあまりないことですから。なんだか部屋自体が目覚めてないような雰囲気です。

そんな雰囲気の中、素早く登山準備を整え登山服を身につけると、いよいよ登山気分が高まってきました!さらにザックを背負い、ニット帽を被り、手にピッケルを持ち、そして登山靴を装着!これで身も心も完全に登山家です。

朝早くに叩き起こしてしまった部屋を再び真っ暗にし、いざ山へ!

今回の目的地は、滋賀県は琵琶湖の西に位置する比良山系の山、権現山です。そこからホッケ山、小女郎ヶ池、蓬莱山の山頂を縦走し、最後はロープウェイで下山します。

権現山は標高こそ996mと低山に属する山ですが、斜度の高い登山道を擁するため決して油断できない山です。しかも、今回は雪山。登頂には雪山登山装備が絶対条件です。

今回私が用意した雪山登山用道具はこちら↓

ハードシェルジャケット
ピッケル
12本爪アイゼン
ニット帽
雪山用登山靴
サングラス
日焼け止め
他にもワカンやスノーシューがあれば楽に雪山を歩くことができ、ショートスキーやソリがあれば坂道の滑走も楽しむことができます。

ワカンやスノーシューについてはこちら

伝統を受け継ぎさらに進化したワカンとスノーシューの使い方

しかし、私はアイゼンでの歩行が好きなので、あえてそれらの道具を自宅に置いてきました。単純に好みの問題です。

また、私はサングラスは雪山では絶対に必要だと思っています。なぜなら、太陽の光に晒された一面銀世界の雪山は、容赦無く強烈の光を放ち、あなたの眼にダメージを与えてしまうためです。同じ理由で日焼け止めもあったほうがいいでしょう。

自宅を出発して約1時間30分、これから登ろうとする山の最寄り駅に到着しました。最寄り駅とは、JR湖西線の和邇(わに)駅です。和邇とは変わった名前の駅ですが、これは古事記、日本書紀に登場する海の怪物のことだそうです。
海の怪物?単純にワニのことじゃないのかとか、いやおそらく大きなウミヘビのことだとか様々な説はあります。
西野さん
今回の主催者。ネットビジネス、特にコピーライターとして一言では言い表せないほどの実績を持つ私のメンター。
住吉さん
広島在住の3人の子を持つ母。弥山登山の経験者。
岩永さん
名古屋在住。背が高くスリムなモデル体型の男性。登山未経験者。
松浦
コピーライター兼登山家。当ブログの管理者。
初めまして!と、軽く挨拶をすませ、一路フェリー乗り場へ。宮島は離島なので、フェリーに乗る必要があります。

4人それぞれ切符を購入しフェリーへと乗り込むと、まずその人の多さにビックリです。こちらをご覧ください↓
これは、宮島全体を描いたガイドマップですが、数々の名物商店や土産物屋、宿泊施設が並び、一大観光地の様相を呈していています。また、宮島には厳島というもう1つの名称があり、その名を冠した厳島神社は、松島・天の橋立と並ぶ日本三景の1つに数えられます。

そんな宮島は「せっかくの休みだからちょっと外出しようか」という人にはピッタリの観光地なわけですね。
そんな観光地である宮島、外国人旅行客の数には圧倒されます。土産物も外国人向けのものが見受けられます。

例えばこれ↓
日本人はまず買わないだろうな・・と思われる日の丸と「日本」のコラボTシャツ。店主の商売センスに脱帽です 笑
私と小説「神々の山嶺」との出会いは、原作者である夢枕獏を経由したものでした。と言っても別に原作者に直接お会いできたわけではありません。

約10年前、当時ビジネスマン向けに発行していた月刊誌「KING」で、夢枕獏氏は自身の旅行記の連載を持っていました。わずか2〜3ページの短い連載ページでしたが、その文章は知性に溢れ、ユーモアセンスに富み、人を惹きつけるに十分な魅力を持ったものでした。

[わたし]
なんでもいい!この人の著書を読んでみたい!


そんな強烈な願望を持ち、すぐにyahooで夢枕獏氏の著書を調べてみました。数々の小説タイトルがヒットしましたが、ジャンルに偏りはなく、オカルト、SF、時代物、格闘技と多岐に渡っていました。

そんな中で一際私の目を引いた小説が「神々の山嶺」だったのです。夢枕獏氏の代表作ともいうべき作品とあり、何よりも私自身が登山にのめり込み始めた頃だったということもありました。

数日後の仕事帰りに、大阪は梅田の大型書店「紀伊国屋」へと立ち寄り小説コーナーを物色するとすぐに発見、分厚い単行本の「神々の山嶺」が上下巻に別れて陳列されていたのです。

1ミリも迷いことなく、ただちに上下巻を手にしてレジへと走り、ウキウキ気分で帰路につきました。

その日はちょうど金曜日。再び出勤する日までの2日間、私は「神々の山嶺」の世界に没頭することとなったのでした。

瞑想も兼ねた雪山登山へのアプローチ

さて、山の最寄り駅の多くがそうであるように、この和邇駅周辺も決して賑やかなところではありません。人の往来も車の往来も民家もまばら。商店などもほとんどない。ただ、駅前には何やら開発中らしく重機が置かれていました。とはいえ、現状はいわゆる田舎町です。

で、和邇駅を出てすぐに登山が始まるのかというと、実は山の麓まではかなりの距離があります。徒歩で1時間以上の距離です。本来ならば登山口まではバスの運行ルートですが、なんと土日祝は運行していないとのことです。乗客がほとんどいないのでしょう・・・そんなわけで、山の麓まではタクシーに乗ります。節約したいところですが仕方ありません 笑

タクシーに乗ること約5分、和邇ICのすぐ西側、栗原という場所のお寺、慶福寺で降りました。農家が立ち並ぶ小さな集落の中ですが、あまりに奥に行き過ぎるとタクシーが雪に埋もれてしまうため、ここで降りました。
山地図を見るとここから30分ほどの歩きで登山口に到着するとのこと。ザックに括り付けていたピッケルを外して手に持ち、登山靴の靴紐をしっかりと締め直して、いざ登山口へと歩行を開始したのでした。

タクシーを降りた場所、慶福寺から歩いて5分少々で集落を抜け、緩やかな砂利道が続きます。道幅は車1台が十分通れるくらいで、砂利道の両サイドは鬱蒼と生い茂った森林です。
いよいよ山が近づいてきたことを印象付ける景色が続きますが、それよりも森林に積もる雪の存在が気になります。

集落を抜けたあたりから、ちらほらと残る雪には気づいていましたが、山に近づくにつれてその量は確実に増してきました。

そして、集落を抜けてから約20分ほど歩くと、ついに砂利道がシャーベット状の雪道へと変化したのです。まだ、滑って転ぶ危険はありませんが、この先の積雪量に大いに期待したのでした。

それから10分ほど歩くと、数台の車が十分駐車できる比較的広いスペースにたどり着きました。

向かって右側には登山客の物と思われるRV車が1台、その隣にはまるで鳥小屋のような、登山計画書を投入するボックスが設置されていました。そしてその上にはたっぷりと真っ白な雪。
そうです!ここまでくると、地面も森林も一面真っ白な銀世界です。

いよいよここから本格的な雪山登山だっ!!一気に気持ちが高ぶってきたのでした。

鬱蒼と生い茂った森林の中を貫く真っ白な登山道。とはいえ道路幅は広く、四輪駆動の作業車ならば通れるくらいの道です。

くるぶしまでズッポリと埋まるくらいの積雪で、辺り一面真っ白、そして本当に静かです。時折弱い風が吹き、葉に積もった雪をサーっと落とす音が聞こえますが、生命が発する音は全く聞こえません。
そんな中を何も考えずただひたすら歩く私。なんだか誰1人いない異次元の世界に私だけが取り残されたような、かといって寂しくもなく、悲しくもなくただただ歩き続ける。そんな時、私は自分の神経が普段よりもはるかに研ぎ澄まされていくのを感じるのです。

何も考えずただただひたすら歩く・・・まるで瞑想しているかのような気持ちになります。

そうして歩くこと約30分、ついに登山口に到着しました。特に「ここが登山口です」といったような看板があるわけではありません。しかし、明らかに徒歩でしか入れないようなこの先の坂道、そして車の乗り入れを完全拒否する鎖が、ここが登山口であることを物語っています。
[わたし]
さあ!ここからだ!

フーッと一息ついて気持ちを入れ替えて、車の乗り入れを拒否する鎖をひとまたぎ。権現山山頂へ向けての登山を開始したのでした。
救急救命法は、講習会などに参加して実地に習得するのが早道です。代表的な講習会に、日本赤十字社の全国の支部で実施している救急法講習会があります。日常生活や社会的な災害時にも役に立つ知識です。
以前、山に”似合う”車ということで記事を書いたことがありました。

「山に”似合う”車とは?雰囲気重視の車選び」

登山をするために「便利な」ということではなく、山に合う車は何か?ということで
私がシェアした車がミニクーパーでした。

街乗りのイメージが強い車ですが、実はかつてラリーで優秀な成績を収めたこともある
悪路にも強い、とてもパワフルな車なのです。

しかも、小さいボディーにも拘らず内装は広く、登山で使う程度の荷物ならば楽々入ります。
さすがに車中泊はちょっと辛いのですが、それは外にテントを張って解決!

まるで自分の相棒のような、親友のようなミニクーパーが最も山に似合う車と思っています。

雪山登山開始!

あなたは知っていますか?雪の登山道の歩行が、普通の登山道の歩行と比べると極めて体力の消耗が激しいということを。

別にここで改めてお話しすることでもないのですが、雪とは上空の水分が低温で凝結し、そのまま地上に降り注いだものです。すなわち、元は水です。

土や岩などと比べると極めて不安定な物質であり、登山道に降り積もった雪は幻想的で美しいのですが、登山靴で踏みしめることであらゆる形に姿を変え、足元の不安定さを生み出してしまうのです。

無雪時の登山道では、基本的に歩行で地面が揺らぐことはなく、地面を信頼して歩くことができます。しかし、雪が降り積もった登山道は、容易に足元が揺らいでしまうのです。

雪という不安定な地面をバランスを取り、転倒しないように登る。これが、雪の登山道の歩行が普通の登山道の歩行と比べると極めて体力の消耗が激しい理由なのです。

登山口から本格的な登山道に入った私。相変わらず辺りは生命の息吹をまるで感じさせないくらいに静かで、時折吹く微かな風の音すらはっきりと聞くことができます。

そんな中ただ人すら登山道を登る私の気持ちは本当に穏やか・・・のはずですが、実は先ほどのような穏やかさはありません。とある思考が私の頭をよぎっていたのです。
[わたし]
き、きつい・・落ち着ける場所があればそこでアイゼンを履こう。

そう!雪山登山はとにかくキツい!普段ならなんでもない登山道も、ひとたび雪が積もるととんでもなく体力を消耗させる魔の坂へと変化してしまうのです。

その魔の坂に対抗する手段、それがアイゼンです。

アイゼンについてはこちら

あなたにおすすめしたい雪山必須アイテムのアイゼン

ただし、アイゼンを装着するとその分脚への負担も増すので、できる限りアイゼンを装着しない状態で距離を稼ぎたいという思いもあります。

そんなわけで、しばらくはアイゼンを装着せず登っていましたが、登れば登るほど積雪量は増すばかり。一歩踏み出すたびに半歩分ズリ落ちてしまい距離を稼ぐことができません。いよいよアイゼンなしでの歩行に限界が見えてきました。

そこで、登山口から20分ほど登ったところで座りやすそうな岩を見つけ、そこでアイゼンを装着することにしました。

アイゼンの装着は簡単です。ザックを下ろして中からアイゼンを取り出し登山靴に装着するまで約3分。ついてに水筒の水をゴクリと飲み、ザックを背負って再び歩行を開始。

すると、アイゼンの刃がしっかりと雪面を捉え、歩行を強力にサポート!先程までの労力がまるで嘘のように解消し、一気に歩行速度のアップを実現したのでした。
紅葉谷コース
約700本もの紅葉やカエデを見ることができる紅葉谷公園を通るコースです。紅葉の季節には、素晴らしい景色を見ることができます。
大聖院コース
霊峰・弥山のふもとにある真言宗御室派の大本山である大聖院。宮島で最も歴史の古い寺院です。弘法大師空海が弥山を開基して以来1200年の歴史を持ち、皇室との関係も深いお寺でもあります。ここでの参拝を兼ねたコースです。
大元コース
桜の名所として知られ、厳島神社より古い歴史ある神社です。柿(かわら)葺屋根は日本で最も古いと言われ、現存する唯一のものです。ここでの参拝を兼ねたコースです。
今回の登山は、神社や寺院での参拝をメインにしたものであるので、選ぶコースは大聖院コース。

厳島神社を後にして、約5分歩くと大聖院に到着です。大聖院は概ね登山コースのスタート地点に位置します。
門の左右には大迫力の仁王像がお出迎え。いや、お出迎えと言うよりも「この聖域を汚す奴は許さん!」と、恐ろしく気合いの入った雰囲気です。この大聖院が歴史上いかに重要な寺院かということを物語っているかのようです。身の引き締まる思いで一礼して門をくぐると、その先には長い石階段がそびえ立っています。

石階段の左側をふと見下ろすと、そこには無数のお地蔵様が並んでいました。山ではところどころにお地蔵様が祀られていることはよくありますが、これだけ無数に並んでいるところは初めてみました。
しかもよくよく見ると、単なる石像ではなく、1体1体全て違う表情をしています。魂が込められたお地蔵様を具現化した姿のようにも見えて非常に興味深いものでした。

お地蔵様を横目にさらに階段を上がると、左手に釣り鐘がありました。どうやら誰でも自由に突いてもいいようです。
4人で順番に突くこととなり、それぞれ鐘突きに挑戦!鐘突き棒(撞木という)から垂れる縄を後ろに引き、振り子の原理に自身の力を加えて勢いよく釣り鐘を叩く!

ゴ〜〜〜ン・・・

独特の音色が辺り一面に響き、周囲の山々へと吸収されていきます。心なしか私の脳みそにまで音色が吸収されたかのような錯覚を覚えました。いい音色でした・・・

釣り鐘を後にし、さらに階段を上がると、大聖院の本堂である摩尼殿に到着です。

本殿の中は非常に荘厳で近寄りがたい雰囲気がありましたが、本殿手前の広場は、仏具などの露天商があり、聖と俗がいい感じに融合している様子で非常に居心地の良い空間でした。

大聖院でゆっくりと休憩をとり、階段を下りていよいよ本格的な登山開始です。おっと、その前に大聖院からの風景を一眼レフに納めたので、ご紹介します。遥か遠くまで見渡せて素晴らしい風景でした。

初対面の雪山登山仲間

登山道の雪がさらに深くなる中でも、アイゼンを装着することで歩行速度と歩行快適性が格段にアップし、気分よく雪山登山道を登る私。辺りは相変わらず静かで、私のアイゼンが雪をとらえるキュッキュッという心地よい音だけが響き渡ります。

上を見上げても下を見下ろしてもそこには、私しかいません。たった1人ですが、頭の中は不思議なくらいにスッキリしています。

家庭のこと、次の日の仕事のこと、帰ってからの夕飯のこと、テレビのこと、将来のこと・・・日常生活で1人になることがあると、いろんな考えが頭をよぎります。

しかし、生命の息づく音すらない圧倒的な雪山の静寂の中に1人でいると、まるで頭の中がキレイに浄化されるような感覚になるのです。私の頭の中から雑念が一掃され、ただただ山の中にいるだけ・・・平地では決して味わうことはできない感覚です。

そんな雑念のないまっさらな頭でしばらく雪山を登ると、はるか上方からアイゼンが雪を踏みしめるキュッキュッという音が聞こえてきます。どうやら私以外にも登山家がいるようです。

無理のない範囲で歩行速度あげると5分ほどで、笠をかぶった3名の登山家の姿が見えました。3名ともベテランの風格が漂う年配の登山家です。歩行速度はのんびりとしたものですが、1歩1歩まるで雪の感触を楽しむかのように歩いています。
一切の乱れがなく一定のリズムを刻むその歩き方を彼らから学ぼうと少し離れて後をついて歩こうかと思ったその時、ちょうど彼らがが休憩ポイントに到着した様子。それに遅れること約2分、私も休憩ポイントに到着し彼らとあいさつを交わしました。
[わたし]
こんにちわ!気持ちいい日ですね!

[登山家]
こんにちわ!どちらから来られたのですか?

[わたし]
大阪です。今日は和邇駅から栗原までタクシー乗ってここまで来ました。雪山にはよく登られるのですか?

[登山家]
もう年だからそんなに頻繁には登れないけど、身体の調子が良い時はよく3人で登ってるね。

[登山家]
俺たちもう70代後半だからね。

彼らの年齢を知ってビックリした私。なぜならどう見ても50代後半から60代に見えたからです。登山を趣味とする人はみんな年齢よりもはるかに若く見える!そんな私の持論に改めて確信をもった瞬間でした。

登山と年齢の関係についての記事はこちら

世界一健康的な美肌運動で若返りを実現

初対面にも関わらず、まるで旧知の友人のように言葉を交わした私たちでしたが、先を急ぎたい私は先に登ることにしました。「また山頂で!」と別れを告げ、再び雪山登山を開始したのでした。
固形タイプ

つまり、基本的には液体タイプを使用し、チョークバッグにはカットした固形タイプのチョークを入れておきます。

そうすることで、粉末の飛散を最小限に抑えることができ、しかもより適量のチョークを手につけることができるようになるのです。

また、固形タイプのチョークは比較的安価であるため、経済的にも優れたセットです。

雪山登山を困難にするフカフカの新雪

澄み切った青空に真っ白な登山道が美しく映える風景。私が雪山登山を愛する理由の1つがこの最高の風景に出会うことが出来るためです。

この最高に美しい景色を堪能できる時間のためならば、どんな犠牲も厭わない!そんな気すらしてしまうほどの貴重な時間が流れていきます・・・が、この時私は息も絶え絶えの状態でした。

私はアイゼンでの歩行が好きなため、あえてアイゼンだけを準備して挑んだ今回の雪山登山ですが、そのあまりの積雪量にワカンを準備しなかったことを悔やみました。

確かにアイゼンの12本の爪がしっかりと雪面を噛んでいるのですが、1歩踏み出す毎に膝上まで沈み込んでしまうのです。

実は、雪山登山を歩くために有効な道具はアイゼンだけではありません。特に、フカフカの新雪を歩く場合は、日本古来のワカンや欧米発祥のスノーシューが極めて有効です。今回の雪山登山はまさにそれなのです。

ワカンやスノーシューについてはこちら

伝統を受け継ぎさらに進化したワカンとスノーシューの使い方

アイゼン装着では、1歩毎の体力の消耗はあまりにも激しく、連続して10歩進むこともできません。しかも、本来の登山道がフカフカの新雪で隠れているため、身体全体のバランスを崩しやすい。いわば、単なる歩行が極端な全身運動となっている状態なのです。

とはいえ、ここまで登ったのならば目指すは頂上。「息切れしてしんどかった」などという情けない理由で下山などしたくない!

幸いにも私の手にはピッケルがあります。ピッケルで自分の位置を確保しアイゼンの12本爪を効かせながら、ほとんど両手両足を使いながらどうにか斜面を登り続け、ついに森林限界を超えることが出来たのでした。

ピッケルについてはこちら

雪山登山の最重要アイテムであるピッケルの使い方と持ち方

雪山登山を制覇へ

森林限界を超えて頂上の方向を見上げると、木々も何もない真っ平な雪面と青く澄んだ空。権現山の頂上がすぐ目の前です。私は焦る気持ちを抑えつつ、1歩1歩雪の感触を確かめるかのように登り、ついに権現山山頂へとたどり着いたのでした。

これまで何十何百もの山頂に立ってきましたが、その度にこの瞬間の高揚感、達成感を味わうことができます。どんな低山でも変わりません。この権現山でも山頂であることを示す立札が登頂を祝福してくれているかのようでした。
山頂には他にも数名の登山家がいました。記念撮影をする人、談笑する人、景色を楽しむ人、ストーブでお湯を沸かしてコーヒーを楽しむ人など・・・皆思い思いに楽しい時を過ごしていたのでした。

権現山山頂からの景色は本当に壮観でした。東を臨めば日本一の琵琶湖を一望でき、西を臨めば他の比良山系の山々を一望できる、まさに心を奪われる景色です。

山頂から山頂へ 稜線を歩く雪山登山

ホッケ山
さて、ひとしきりに権現山山頂での時間を楽しんだ私。ここからホッケ山、小女郎ヶ池、蓬莱山、打見山と続く稜線の歩行を楽しむ登山です。縦走といいます。

この縦走、山頂と山頂を結ぶ美しい稜線の景色を楽しむことができる、私が最も好きな登山です。

権現山山頂に別れを告げ、次なる山頂ホッケ山に向かって歩行開始です。

ただし、ここまで権現山山頂までの厳しい雪山登山を乗り越えたため、ホッケ山までの登山道は厳しさとは程遠いものであり、気持ちも楽でした。
5分も歩けば眼前にホッケ山山頂を望むことができ、山頂までの所要時間は約30分。雪深い登山道ではありましたが、体力にも十分余力を残してホッケ山山頂にたどり着くことができました。
小女郎ヶ池
次なる目的地は小女郎ヶ池、つまり山頂ではありません。小女郎ヶ池は滋賀県最高峰の場所に存在する池の名称です。

春夏秋の季節ならばその美しい池を存分に楽しむことができますが、この時は雪が池を覆っていたため、どこが池かすらもわかりませんでした。
ちなみにこの小女郎ヶ池という名称、実は今から数百年前に実際に起こったある悲しい事件がその由来となっているのです。

蓬莱山
さて、小女郎ヶ池を後にした私、次なる蓬莱山山頂に向けて歩行を開始します。

小女郎ヶ池から蓬莱山山頂への登山道は、ひときわ雪深い箇所を擁しており、まるで小動物を捕獲するためのワナに誤って落ちてしまったかのように、何度も脚を雪の中に沈めてしまったのでした。

そのためかなりの体力を消耗しましたが、どうにか蓬莱山頂へと到着。ここまでくると、目指すゴールまであと一息です。

気持ちにもなかりの余裕があり、山頂に吹きつける雪混じりの冷たい風も心地よく感じたのでした。

びわ湖バレイ 打見山山頂
蓬莱山の隣に位置するのが打見山、そこはびわ湖バレイというスキー場になっており、毎年多くのスキー客で賑わっています。私自身、かつて何度も遊びにきたことがありました。

スキー場があるということは、そこに登るためのロープウェイがあります。そのロープウェイに乗って一気に下山することになります。

そのびわ湖バレイには打見山という山の名称が存在し、つまりびわ湖バレイが今回の雪山登山紀行の終着点というわけです。

さて、蓬莱山から目と鼻の先のびわ湖バレイ、もう目を閉じてでも辿り着けそうですが、急な下りと登りを超えなければならず、かなりの体力を要します。

蓬莱山山頂でしっかりと休息をとって、いざゴールへと歩行を開始する私。確かに、下りも急坂で集中力を要しますが、ここまで3つの山頂を乗り越えてきた経験を生かして難なく下り終えました。

いよいよ最後の登りです。ここまでとんでもない量のカロリーを消費してきたため、身体は熱を帯びていました。横から吹き付ける雪混じりの冷たい風も心地よく、まるで最後の登りを後押ししてくれているかのようでした。

そしてついに打見山山頂を示す立て札に手を触れ、権現山から打見山縦走の山行を無事終えたのでした。

山岳保険

もしものときを考え、山岳保険に加入しましょう!
一刻を争う遭難事故ではヘリコプターでの捜索や救助などが行われますが、この救助にかかる費用をご存知でしょうか?

さまざまなケースが考えられるので、一概に「費用は〜円です」とは言えませんが、稼働1分間で1万円が相場とも言われ、何百万とも何千万とも言われています。

ヘリコプターは防災ヘリが出動した場合は、救急車と同じく自治体負担となるが、民間のヘリコプターが出動した場合は費用は本人負担となります。

また、近年の遭難事故の増加により、自治体によっては防災ヘリも本人負担にしようとする動きもあります。救急車も同様ですよね?

いざ遭難した場合は、一刻を争うので、防災ヘリや民間ヘリなどを選ぶことはできません。また遭難事故に遭遇した場合、救助にかかる費用はこれだけではなく、莫大な費用がかかると言われています。

万が一に備え、山歩き特有の事故や遭難救助の費用もカバーできる山岳保険・ハイキング保険の加入をおすすめします。

山岳・ハイキング保険には、1回ごとに掛ける短期型1年を通じて加入するタイプがあります。

年に5回以上登山するならば、保険料は年間加入タイプが割安です。

また、岩登りや雪山までを広くカバーする山岳保険と、軽登山を対象としたハイキング保険では、保障内容も保険料も異なります。

オールラウンドの山岳保険は年間7000円~10000円、ハイキング保険が年間3000円~5000円となっています。

加入にあたっては資料を入手して検討し、自分の山歩きに合った保険を選ぶとよいでしょう。

山岳・ハイキング保険取り扱い会社は下記の通りです。参考にしてください。

・やまきふ共済会
・日本費用補償少額短期保険
・日本山岳救助機構合同会社(jRO)
・日本勤労者山岳連盟 労山特別基金
・モンベル アウトドア保険

膝痛みと若返り

一般に登山の季節は無雪時と積雪時に大きく分けることができます。無雪時とはもちろん春夏秋の雪のない季節、積雪時とは雪が積もる冬です。

登山愛好家はそれぞれ好きな季節に登山し、その季節の大自然を大いに楽しみます。

中には季節にこだわりはなく、どんな季節でもとにかく登山を楽しみたいという人もいます。そう、私のように。

ただ、登山愛好家の中でも特に多いのが、積雪時は登山しないという人です。確かに極寒の中の登山は、いろいろな点でハードルが高いことはいうまでもありません。

しかし、私はそんなハードルを乗り越えてでも、積雪時の登山に挑戦する価値は十分あると思うのです。

積雪時は登山しない、そんなあなたがこの記事をきっかけにほんの少しでも持っていただけたなら・・・こんなに嬉しいことはありません。

ハイキングツアー参加ご予約・お問い合わせ

ハイキングツアーへの参加に関するご相談はお気軽にご連絡ください。
2021.07.20

冬の六甲山 登山紀行

冬の六甲山 登山紀行
こんにちは!登山家の松浦です。
今回は、冬の六甲山に登ったときの紀行文を書いていようと思います。

実は、最後に六甲山に登ったのは小学生の頃、なんと30年近く前です!いやいや、よく覚えてたな!というくらい前の話です。

そんなわけで、ほとんど登ったことがないくらいの六甲山登山

ところで、私にしては珍しく今回は単独行ではありません。同じ山岳会に所属する同じ年の市川さんという方と一緒に登ります。

市川さんは六甲山の登山は何度か経験があるということで、彼に先導してもらうことにしました。

いつも通りの日帰り登山ですが、出会いあり、新たな発見あり、そして登頂の喜びありと三拍子揃った素晴らしいものでした!

これを読んだあなたが少しでも六甲山登山に興味を持ち、登ってみようかな?って思っていただけたなら、本当に嬉しく思います!

それではどうぞ!

六甲山登山1 芦屋の街の散策から

ある冬の日の午前8時、私は阪急の芦屋川駅にいました。もちろん、登山をするためです。

改札を無事通過し、あたりをキョロキョロしているとある男性に声をかけられます。

いつもは単独行ばかりの私ですが、今回は2人でのパーティー登山です。

パートナーは、私と同じ山岳会、しかも同じ年齢の市川さん。会社員として忙しい毎日を送る中でも頻繁に山に入る一方、アマチュアフルート奏者でもある彼。こんな風に生きていけたら最高に楽しいだろうなと思わせてくれる人です。私も見習いたいくらいです。

さて今回の登山、目指す頂上は六甲山です。関西に住む人ならば、この山を知らない人はいないでしょう。阪神タイガースの応援歌六甲おろしでおなじみの山です。

ところで、六甲おろしって何?詳しくはこちらです。


"六甲山地は神戸市から西宮市の市街の背後に東西に聳え立ち風の流れを変化させる。西高東低の冬型の気圧配置となると西の明石市からの季節風は明石海峡で収束して山添いに強く吹き抜ける。或いは季節風が山頂に当たってから、加速度をつけて吹き降りるのが六甲おろしと呼ばれる北風である。"

早い話が、六甲山地からの突風のことです。この六甲おろしが神戸の街々に吹き下すのですが、酒造産業ではこの風が利用されているようです。

これまで全国各地の山に登ってきた私。感覚的には日本の山全てを制覇した!!ってくらいの気持ちですが、とんでもない。

山岳大国日本。日本には日本百名山や二百名山に数えられる有名な山から、あまり知られていない無名峯まで千以上の山が存在します。

日本の山全てを制覇するならば、それこそ人生をかけた挑戦になることは間違いありません!

登山歴だけは長い私ですが、日本にはまだまだ私の知らない山がたくさん存在するのです。

・・・とはいえ、大阪に住居を持つ私の目と鼻の先、しかもこれほど有名な山に30年近く登っていなかったとは・・・灯台下暗しとはまさにこのことです。

そう!実は六甲山登山は、小学生の時に登山好きの先生に連れられて登ったのが最後、それから今日に至るまで約30年間ご無沙汰だったのです。

それほど昔の登山ですが、真冬の山であまりにも寒くて手に痛みすら感じたこと、氷のように冷たくなったお弁当を必死の思いで完食したこと、一緒に登った友人があまりの寒さに泣き出してしまったこと、そして何より、やっとの思いでたどり着いた有馬温泉での入浴が最高に気持ちよかったこと等、詳細に思い出すことができます。それほど、良くも悪くも強烈な思い出だったということかもしれません。

約30年前の登山、もちろんルートもしっかりと覚えている・・・はずもなく、今回は六甲山登山のベテラン、市川さんに先導をお願いすることにしました。

さて、そんな六甲山登山、芦屋川駅を出発してまずは、のんびりと芦屋の街を散策といった風情です。そこそこ交通量は多いものの、どこかのんびりとした芦屋の街。住むには最適な街です。

山に入る手前の最後のコンビニで用を済ませ、しばらく歩くと上り坂に差し掛かかります。

いよいよ登山の雰囲気が出てきた!といってもまだまだ道はアスファルト、周りには・・・超高級住宅がズラーリと立ち並ぶ。そう!ご存知の方も多いと思いますが、芦屋は日本でも有数の高級住宅街が立ち並ぶ地域でもあるのです。

それにしても、まるで公共施設のような巨大な個人宅、駐車場には普段滅多にお目にかかれない高級外車や高級スポーツカーが2台、3台駐車されています。

超高級住宅を横目にスゲー、デケー、カックイーを連発しながら一路山へと向かう私たち2人でした。
西野さん
今回の主催者。ネットビジネス、特にコピーライターとして一言では言い表せないほどの実績を持つ私のメンター。
住吉さん
広島在住の3人の子を持つ母。弥山登山の経験者。
岩永さん
名古屋在住。背が高くスリムなモデル体型の男性。登山未経験者。
松浦
コピーライター兼登山家。当ブログの管理者。
初めまして!と、軽く挨拶をすませ、一路フェリー乗り場へ。宮島は離島なので、フェリーに乗る必要があります。

4人それぞれ切符を購入しフェリーへと乗り込むと、まずその人の多さにビックリです。こちらをご覧ください↓
これは、宮島全体を描いたガイドマップですが、数々の名物商店や土産物屋、宿泊施設が並び、一大観光地の様相を呈していています。また、宮島には厳島というもう1つの名称があり、その名を冠した厳島神社は、松島・天の橋立と並ぶ日本三景の1つに数えられます。

そんな宮島は「せっかくの休みだからちょっと外出しようか」という人にはピッタリの観光地なわけですね。
そんな観光地である宮島、外国人旅行客の数には圧倒されます。土産物も外国人向けのものが見受けられます。

例えばこれ↓
日本人はまず買わないだろうな・・と思われる日の丸と「日本」のコラボTシャツ。店主の商売センスに脱帽です 笑
私と小説「神々の山嶺」との出会いは、原作者である夢枕獏を経由したものでした。と言っても別に原作者に直接お会いできたわけではありません。

約10年前、当時ビジネスマン向けに発行していた月刊誌「KING」で、夢枕獏氏は自身の旅行記の連載を持っていました。わずか2〜3ページの短い連載ページでしたが、その文章は知性に溢れ、ユーモアセンスに富み、人を惹きつけるに十分な魅力を持ったものでした。

[わたし]
なんでもいい!この人の著書を読んでみたい!


そんな強烈な願望を持ち、すぐにyahooで夢枕獏氏の著書を調べてみました。数々の小説タイトルがヒットしましたが、ジャンルに偏りはなく、オカルト、SF、時代物、格闘技と多岐に渡っていました。

そんな中で一際私の目を引いた小説が「神々の山嶺」だったのです。夢枕獏氏の代表作ともいうべき作品とあり、何よりも私自身が登山にのめり込み始めた頃だったということもありました。

数日後の仕事帰りに、大阪は梅田の大型書店「紀伊国屋」へと立ち寄り小説コーナーを物色するとすぐに発見、分厚い単行本の「神々の山嶺」が上下巻に別れて陳列されていたのです。

1ミリも迷いことなく、ただちに上下巻を手にしてレジへと走り、ウキウキ気分で帰路につきました。

その日はちょうど金曜日。再び出勤する日までの2日間、私は「神々の山嶺」の世界に没頭することとなったのでした。

六甲山登山2 滝の茶屋にて

15分ほど歩くと超高級住宅街は途切れ、代わりに少しひらけた山が姿を表しました。同時にアスファルト道も砂利道へと姿を変えます。

車1台が楽に通過できるような比較的広い道ですが、ここが街と山の境界線であり、まるでさあもうすぐ本格的な登山だ!準備はいいかい?と山が教えてくれるかのような道です。

左を向くと周囲を山に囲まれた谷深い渓流が流れ、右を向くと壮大な山壁、そして壁をくり抜いた中にはポツンとお地蔵様が祀られていました。

そんな道を登ること約10分、ロックガーデンなる看板左には大迫力の高座の滝、そして真っ正面には滝の茶屋が見えました。

六甲山山頂を目指す誰もが通る六甲山のオアシス、滝の茶屋。また、ここが登山のスタート地点でもあります。

高座の滝を眺めながらベンチに座ってのんびりと一杯!そんな最高のひとときを提供してくれる滝の茶屋ですが、私と市川さんは、ザックを下ろしてホッと一息入れるのみ。

ここまでの歩行でもかなりのエネルギーを消費したらしく、私はかなりの身体の火照りを感じていました。そこで、アウターレイヤーを一枚脱ぐと、私の全身からまるで地獄谷のようにモウモウと立ち上る湯気!

身体の保温は大事ですが、火照りすぎた身体は適度にクールダウンさせなくてはなりません。そこで、汗の放出と適度な保温を同時に行うために、ミドルレイヤーを脱いでザックへ収納。代わりにアウターレイヤーを着込んで、登山をスタートさせることにしました。少し変則的なスタイルですが、これまでの経験上、ここではこれが最も快適であるはずです。

ここで準備も万全、気持ちも整えて、さあいざ登山へ!!
バターの種類
主な脂肪の成分
身体への影響
一般的なバター
動物性脂肪
(飽和脂肪酸)
身体に蓄積されやすく、太りやすい
マーガリン
植物性脂肪
(トランス脂肪酸を含む)
カロリーは低いが、トランス脂肪酸による健康被害の恐れあり
グラスフェッドバター
動物性脂肪
(不飽和脂肪酸)
脂肪をエネルギーに変換させるオメガ3脂肪酸を含み、身体に蓄積されにくい
ダイエット効果及び筋肉を増加、増強させる効果もあり
不飽和脂肪酸は植物性の油や魚の油に多く含まれている成分であり、過剰に摂取してもすぐにエネルギーとして使われやすいため、身体に蓄積しにくく太りにくい油と言われています。

特に、グラスフェッドバターの不飽和脂肪酸の種類は、体内で作ることができない必須脂肪酸の一種のオメガ3脂肪酸です。

オメガ3脂肪酸は、αリノレン酸を主成分とする必須脂肪酸の総称であり、体内でDHAやEPAに変換します。DHAやEPAは、その身体に良いとされる成分であり、サプリとしても有名です。
現代の日本人は、オメガ3脂肪酸の摂取量が少ないため、厚生労働省でも積極的な摂取を推奨している程で、こんな効果が期待できるのです。

血圧を下げる
血中の中性脂肪を減らし、血栓を防ぐ
アレルギーを抑制する
記憶力・学習能力を高める
ガンの発生や転移を抑える
認知症、痴呆症を予防する
私は、別にダイエットをしているわけではありませんが、これほど身体に良い効果を与えるグラスフェッドバター、食べない理由はありませんよね!
以前、山に”似合う”車ということで記事を書いたことがありました。

「山に”似合う”車とは?雰囲気重視の車選び」

登山をするために「便利な」ということではなく、山に合う車は何か?ということで
私がシェアした車がミニクーパーでした。

街乗りのイメージが強い車ですが、実はかつてラリーで優秀な成績を収めたこともある
悪路にも強い、とてもパワフルな車なのです。

しかも、小さいボディーにも拘らず内装は広く、登山で使う程度の荷物ならば楽々入ります。
さすがに車中泊はちょっと辛いのですが、それは外にテントを張って解決!

まるで自分の相棒のような、親友のようなミニクーパーが最も山に似合う車と思っています。

宮島弥山登山3 弥山最古の寺院 大聖院にて

滝の茶屋を抜けて石段を登ると、そこには趣のある案内表示の立て札が。登山道ではお馴染みの気の立て札ですね。

私たちの目的地は六甲山山頂。無論ルートは1つだけではありませんが、今回は風吹岩を経由します。従って、風吹岩の方へ向かいます。

すると、息つく暇もなく急な岩場に遭遇!実はここ、ロックガーデンという有名な岩場の施設で、ロッククライミングにも最適な岩場もある大人の遊び場なのです。六甲山登山のスタート地点である滝の茶屋、高座の滝もまたロックガーデンの一部です。

ロックガーデンは花崗岩という白っぽい岩で構成されており、数万年もの時間をかけて雨風の侵食で形成された自然の織りなす芸術品ともいうべき美しい姿の見せてくれます。

とはいえ、その姿にボーッと見惚れている場合ではありません。六甲山頂にたどり着くためにはここを制覇しなくてはなりません。

というわけで、いざ登攀開始!両方の脚だけでなく、両手も駆使して次々と岩場を登っていく私と市川さん。

巨大な花崗岩がいくつも折り重なって構成されている岩場ですが、決して難しい登攀ではありません。

約5分登るとまるで階段の踊り場のような、一息つくのに最適なスペースに到着。一旦ザックを下ろして、水筒の水を口に運んで水分補給。そしてふと景色に目をやると、遮るものが何もない、神戸の街と瀬戸内海を一望できる絶景があったのです。

そして何かを思い出したかのように、おもむろにザックから何かを取り出した私。そう!数ヶ月前にメルカリで購入した掘り出し物の一眼レフカメラです。
これだけの絶景をただボーッと眺めてるだけなんて勿体無いことはできません。

パシャリ パシャリ

角度を変え、向きを変えなどして、神戸の街と瀬戸内海を一望する絶景を十数枚の写真に撮り収めたのでした。

そこからさらに美しい花崗岩の岩場を登り、登山道を経て到着した地点は風吹岩。ロックガーデンの有名地点です。
そこには登山ルートの有名地点を象徴するかのような3mほどの巨大な花崗岩のオブジェ、そして鉄塔が建っていました。

鉄塔といえば、高圧電線用のものを思い浮かべます。強力な磁力が周囲に発生するため、通常は周囲にフェンスを張っていますが、ここにそんなものはありません。また、鉄塔について何ら注意書きもないところみると、かつて使用されていたものが用済みとなり、オブジェのように放置されているようにも感じました。真相は不明ですが。

私たちの他には5名ほどの登山客。談笑したり、絶景を写真に収めたり、水分補給してボーッとその場の雰囲気を楽しんだり、皆思い思いにその場での休息を楽しんでいるようです。

私も軽く水分補給した後、自慢の一眼レフでパシャパシャと絶景を撮りました。景色だけでなく、風吹岩の状況も収めようとしたその時、私はあることに気が付いたのです。

絶景を撮るには一眼レフは最適ですが、風吹岩の状況を写真に収めるには、一眼レフよりもスマホが最も適しているのです!

もちろん一眼レフでも撮ることはできます。しかし、スマホで撮る方がお手軽、しかも撮ったものを見比べても一眼レフと何ら遜色がないのです。
[わたし]
スマホの技術が一眼レフと肩を並べるとは・・・

いやいや、今冷静になって考えるとそんなことはないと思うのですが、この時はスマホの技術力に唖然としてしまったのです。

それ以降、目の前の登山道や休憩ポイントなどの近距離撮影はスマホ、絶景の撮影は一眼レフ、と使い分けることにしたのでした。
紅葉谷コース
約700本もの紅葉やカエデを見ることができる紅葉谷公園を通るコースです。紅葉の季節には、素晴らしい景色を見ることができます。
大聖院コース
霊峰・弥山のふもとにある真言宗御室派の大本山である大聖院。宮島で最も歴史の古い寺院です。弘法大師空海が弥山を開基して以来1200年の歴史を持ち、皇室との関係も深いお寺でもあります。ここでの参拝を兼ねたコースです。
大元コース
桜の名所として知られ、厳島神社より古い歴史ある神社です。柿(かわら)葺屋根は日本で最も古いと言われ、現存する唯一のものです。ここでの参拝を兼ねたコースです。
今回の登山は、神社や寺院での参拝をメインにしたものであるので、選ぶコースは大聖院コース。

厳島神社を後にして、約5分歩くと大聖院に到着です。大聖院は概ね登山コースのスタート地点に位置します。
門の左右には大迫力の仁王像がお出迎え。いや、お出迎えと言うよりも「この聖域を汚す奴は許さん!」と、恐ろしく気合いの入った雰囲気です。この大聖院が歴史上いかに重要な寺院かということを物語っているかのようです。身の引き締まる思いで一礼して門をくぐると、その先には長い石階段がそびえ立っています。

石階段の左側をふと見下ろすと、そこには無数のお地蔵様が並んでいました。山ではところどころにお地蔵様が祀られていることはよくありますが、これだけ無数に並んでいるところは初めてみました。
しかもよくよく見ると、単なる石像ではなく、1体1体全て違う表情をしています。魂が込められたお地蔵様を具現化した姿のようにも見えて非常に興味深いものでした。

お地蔵様を横目にさらに階段を上がると、左手に釣り鐘がありました。どうやら誰でも自由に突いてもいいようです。
4人で順番に突くこととなり、それぞれ鐘突きに挑戦!鐘突き棒(撞木という)から垂れる縄を後ろに引き、振り子の原理に自身の力を加えて勢いよく釣り鐘を叩く!

ゴ〜〜〜ン・・・

独特の音色が辺り一面に響き、周囲の山々へと吸収されていきます。心なしか私の脳みそにまで音色が吸収されたかのような錯覚を覚えました。いい音色でした・・・

釣り鐘を後にし、さらに階段を上がると、大聖院の本堂である摩尼殿に到着です。

本殿の中は非常に荘厳で近寄りがたい雰囲気がありましたが、本殿手前の広場は、仏具などの露天商があり、聖と俗がいい感じに融合している様子で非常に居心地の良い空間でした。

大聖院でゆっくりと休憩をとり、階段を下りていよいよ本格的な登山開始です。おっと、その前に大聖院からの風景を一眼レフに納めたので、ご紹介します。遥か遠くまで見渡せて素晴らしい風景でした。

六甲山登山4 静寂に響くカップイン

さて、風吹岩を出発した私と市川さん。登山道はなだらかで、歩行は極めて順調です。先導の市川さんの歩行ペースは、まるでプロの登山ガイドかのように速すぎず、遅すぎず、絶妙な速度を保っています。

そのおかげで歩行しながらも話は弾み、約1時間にもわたる歩行はまるで時間を感じることなく進みました。

登山道はというと、なだらかな坂道を超えた後、下り坂に差し掛かります。下り坂を降り切った地点は芦屋カンツリー倶楽部というゴルフ場があり、私たちの通過中にもプレーを楽しむ一団がいました。

1月という季節は、様々な動物が冬眠し、植物は枯れ、鳥は温暖な気候の地へと飛んでいく、ある意味死に近い季節と言えるかもしれません。

それだけに登山中に響き渡る声は極めて少なく、周囲は静寂に包まれています。そんな中突然響く登山とはかけ離れたある音が響き渡tたのです。

カランコロン

そうです!私たちが通過する登山道のすぐ右手には、ゴルフコースのグリーンとカップを示す旗が見えたのです。

その時ちょうどゴルファーがボールをカップに沈めた瞬間だったわけです。

実は私、ゴルフの経験が全くなく、当然コースを回ったこともありません。そのため、ゴルフ場のグリーンをこんな間近に見たことはありませんでしたし、ボールがカップインする音も初めて聴きました。

静寂に包まれた山に響き渡るカップインの音を聴いた時、ふと私の頭をかすめたある俳句があります。

"古池や 蛙飛び込む 水の音"

池のほとりで蛙が飛び込んだ小さな音すら響き渡るほどの静寂を唱った、後世にまで伝わる松尾芭蕉の名句を彷彿とさせる出来事でした。
固形タイプ

つまり、基本的には液体タイプを使用し、チョークバッグにはカットした固形タイプのチョークを入れておきます。

そうすることで、粉末の飛散を最小限に抑えることができ、しかもより適量のチョークを手につけることができるようになるのです。

また、固形タイプのチョークは比較的安価であるため、経済的にも優れたセットです。

六甲山登山5 突如閃いた登山後の温泉

さて、ゴルフ場を通過した私と市川さん、そこからは雨ヶ峠に向かって上り坂となります。

途中、綺麗な湧き水らしき水がチョロチョロと流れている小さな川を発見。テント泊では、こういう湧き水を汲み上げて飲み水にすることもあります。ウィスキーを綺麗な湧き水で割って飲む!これがまた最高に美味しいのです!

ところが、その小さな川に何やら注意書きらしき表示があり、それによると・・

"この谷の水は水質検査の結果、汚染がひどく飲料には適しません"

とのこと。綺麗な湧き水らしき水は、どうやらゴルフ場からの水だったようです。注意書きを設置してくれた方に感謝しながらも、何となく寂しい気持ちになってしまったのでした。

約200mほどの坂道を登り切ると雨ヶ峠に到着、そこには雨ヶ峠の東屋がありました。東屋の中央にはデカいテーブルがドンと設置されており、私と市川さんはテーブルの端にザックを下ろして一息つくことにしました。

ザックから水筒を取り出し、寒さのためキンキンに冷えた水で水分補給をしていると、テーブルの向かいには単独行らしき女性が、私たち同じように一息入れている様子に気がつきました。
[市川さん]
こんにちは!

声をかける市川さん。すると女性も「こんにちは!」と愛想よく返してくれました。

こちらの明るく愛想の良い女性は、頻繁に六甲山登山をしている方で、登山後の温泉が何よりの楽しみだとのことでした。

そうです!そういえば、今回の私たちの目的地は六甲山山頂、そこから有馬温泉に向かうルートもあるのです。

もともと私にも市川さんにも登山後に温泉に入る、という発想がありませんでした。しかし、気温5℃にも満たない冬の登山でキンキンに冷えてしまった水を飲んでいると、温泉という響きが、何とも魅力的に感じます。

この時初めて私の中に、おそらくは市川さんの中にも登山後に温泉に入るという選択肢が芽生えたのでした。

六甲山登山6 一軒茶屋と六甲山山頂

雨ヶ峠の東屋を後にして、登山を再開した私と市川さん。軽い上り坂を30分ほど登ると、何やら雪が一面うっすらと積もった駐車場のような広場に出くわしました。そこから真っ正面を見上げると、目の前に山壁がそびえ立っています。
[市川さん]
ここから後1時間ほどで一軒茶屋につきます。そこまできたらもう頂上ですよ。

と、市川さん。
[市川さん]
ただし、ここからの1時間はかなりの急坂になります。頑張りましょう!

なるほど!身体の疲れ具合から考えると、あと1時間が踏ん張り時という感覚です。

確かに身体は疲れを感じてはいるが、その疲れも心地よく、ここからのあと1時間の登りは登った後の達成感を演出する最高の試練となるはずです。

軽く一息ついたあと、いざ急坂へと踏み出す私たち。

確かにこれまでの登山道と比較すると急な坂道ではあるが、苦戦するほどではありません。ただ、ここまで登ると、白く雪化粧が施された登山道が目立ちます。

当然滑りやすい状態で、転倒の危険性も出てきます。脚の踏ん張りとバランス感覚を最大限に生かしながら、どうにか順調に歩を進める私と市川さん。

約1時間後、山壁を登りきり、ついに一軒茶屋に到着したのでした。

一軒茶屋までくると周囲は一面銀世界、雪国を彷彿とさせる世界が広がっていました。山道の歩行で身体がエネルギーを燃焼し続けているため、さほど寒さは感じません。しかし、顔にピリピリと感じる冷気が、凄まじく低い気温を物語っています。

さて、六甲山登山のルートポイントである一軒茶屋、当初私は登山のスタート地点の滝の茶屋のような茶屋を想像していました。

ところが実際は予想外に立派な施設、国道沿いにあってもおかしくない大型の喫茶店といった風貌の茶屋でした。それもそのはず、なんと一軒茶屋は車道に面したレストランだったのです。

実際に、一軒茶屋の先には片側1車線の道路が走っており、六甲山山頂はその道路の向かい側にあるとのことです。

想定していた六甲山山頂の様子と現実との隔たりに若干の戸惑いを覚えながらも、その道路を渡って、一面雪化粧の坂道を歩く私と市川さん。

すると、ここまでの登山道とは打って変わって、背に大きなザックを背負った数十人、私たちと同じ方向に歩いていくところを見たのです。

六甲山へと続く登山ルートはいくつも存在しますが、六甲山の山頂は日本でたった1つ。つまり、各ルートからの登山客がこの場所にたどり着いたわけです。

雪化粧の緩やかな坂道を50mほど歩くと、一面真っ白な大地の中にポツンとそびえ立つ、六甲山の山頂を示す立て札を発見!
六甲山最高峰931m 立て札は確かにここが山頂であることを示しています。

今ここに、私と市川さんは六甲山系最高峰の六甲山への登頂を果たしたのでした。

登頂までの所要時間は約4時間30分、上り坂あり、下り坂あり、岩場あり、清流の流れあり・・・バラエティに富んだ登山道の中、時には市川さんと互いのことについて語り合い、本当に楽しく充実した山行でした。

六甲山登山7 この世で最も美味なもの

それから、山頂を少し下った道の脇に立つ東屋で一息。私と市川さんはそれぞれ持参のストーブで湯を沸かすことにしました。

誰かが言いました。

"この世で最も美味なものは、極限まで喉が乾いた時のコップ1杯の水である"

今こそ、その状況を体感する時です。もちろん喉は乾いているわけではありませんが、代わりに私と市川さんの身体は、極限まで冷え切っていました。

冷え切った身体に立った一杯の熱々の湯は、それこそこの世で最も美味なものであり、また身体が蘇生する瞬間を感じることができるはずです。

市川さんのストーブは、より短時間での沸騰が可能なジェットボイル式です。コッヘルにキンキンに冷えた水を投入、すると水は点火してから1分も経過しないうちに沸騰していました。

市川さんはティーバックで紅茶を入れ、優雅?に午後のひと時を楽しみました。

私のストーブは一般的なものでしたが、それでも2分足らずで水は沸騰、インスタント味噌汁のもとを投入し、やはり優雅?に味噌汁を楽しんだのでした。

六甲山登山8 有馬温泉へ

六甲山山頂に別れを告げ、私と市川さんの間には再びあの話が持ち上がりました。そう!温泉です。

真冬の六甲山山頂は、まるで雪国のように圧倒的な低温の世界、私も市川さんも身体中冷え切ったいました。

そんな時に、雨ヶ峠の東屋で話した温泉の話を思い出したのです。

冷え切った身体を温めるべく温泉へ

六甲山山頂からの下山ルートはいくつかありますが、私と市川さんは何ら迷いことなく、有名な温泉地である有馬温泉へのルートを選択したのでした。

有馬温泉までは約1時間のルート、登山道はもちろん険しくはありましたが、特別困難な障害が待ち受けているわけではありません。

唯一、積雪による転倒が最大の懸念事項でしたが、脚の踏ん張りとバランス感覚を最大限に発揮することで、難なくクリア。約30分で積雪ポイントを抜け、あとはひたすら下山するだけでした。

気持ちにも余裕が出てきた私と市川さんは、互いの仕事の話、趣味の話に花が咲き、ほとんど時間を感じることなく有馬温泉へとたどり着いたのでした。

最後に

・・・以上、冬の六甲山紀行文でした。たった1日、しかも芦屋川駅を出発してから有馬温泉まで6時間ほどの山行でしたが、まるでテントで2泊したくらいの充実したものでした。

これまでの山行のほとんどを単独行でこなしていた私、本当に久しぶりに市川さんというパートナーと共に山に登りましたが、これが充実した山行となった要因の1つなのかもしれません。

同じ年齢ということもあり話が弾んだということもありますが、特筆すべきは、今回先導をお願いした市川さんの歩行ペースです。彼の歩行ペースは極めて絶妙でした。

決して速すぎず、かといって甘やかしてもくれないくらいのスピードを保った歩行、かつて八ヶ岳の赤岳を登山ガイドと共に登った時のことを思い出しました。

その時の登山ガイドは公式の資格を所持した、まさに登山ガイドのプロ。登山初心者ですら高難易度の山に登頂させてしまう技術を持った方でした。

今回の市川さんの歩行ペースは、その時の歩行を彷彿とさせるものだったのです。

充実感を得た山行は、次回の登山へのこれ以上ないモチベーションとなり得ます。私は今回の山行で、登山の魅力を再確認することができたのでした。

ところで、下山後の有馬温泉ですが・・・実は私と市川さんは温泉に入浴することはありませんでした。それには理由があります。

そもそも有馬温泉は1つの温泉施設を示す名称ではなく、周辺の観光地を示す総称となっています。この日は3連休の初日、有名な観光地である有馬温泉には観光客が押し寄せており、温泉もまた満員だったのです。

たった1つ温泉に入るというミッションを果たせなかった私と市川さんでしたが、それもまた次回へのモチベーションとし、それぞれの帰路へと着いたのでした。

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2021.07.20

登山仲間と山のエネルギーそして宮島弥山登山

登山仲間と山のエネルギーそして宮島弥山登山
こんにちは!登山家の松浦です。
今日はいきなりちょっとしたカミングアウトをしてしまいます。

実は私、登山家でありながら、ここ5年は登山をしていませんでした・・・

約5年前の大怪我以来、家族や周りの人の手前、登山が出来なかったのです。

大怪我を負った時の記事はこちら

山で負った自分史上最悪の怪我とは?前編
山で負った自分史上最大の怪我とは?後編

しかし、それから5年の月日が経過、ようやくほとぼりが冷めた?と思い、再び登山を始める決心をしたのです。

記念すべき登山家再出発の山は、広島県宮島の弥山。標高535mで低山に該当する山ですが、かつて弘法大師が開山したと言われる由緒正しき山であり、登山というよりも寺院参拝に来たような山行でした。

登山家としての再出発にふさわしい素晴らしい山でした。

登山当日は晴天に恵まれ、気温は20度。これ以上ないくらい最高のコンディションの中、素晴らしい3人の仲間と共に山頂を目指した紀行文をお届けします。

これをきっかけに、もしあなたが「弥山に登ってみようかな」と思っていただけたなら、こんな嬉しいことはありません!

それではどうぞ!

宮島弥山登山1 本島から宮島へ

平成29年11月3日。気温20度。快晴。ここは広島県のJR宮島口駅の南口。
ただのハイキングという割には少々大きめのザックとウエストポーチを身につけ、私はこれから始まる久しぶりの山行にワクワクが止まらず、駅のベンチに座ったり、立ち上がったり、ストレッチをしてみたり・・・とにかくソワソワしていました。

目指す山は、宮島にある弥山という標高535mの・・・低山に該当する山ですが、その歴史は古く、平安時代初期まで遡ります。

かつて弘法大師が開山したされる由緒正しき山である弥山は、大聖院をはじめとする数々の荘厳な寺院、西国三十三観音、十一面観世音菩薩、波切不動明王等の歴史ある像がドンと構えており、世俗と欲望にまみれた不浄な私が足を踏み入れてもいいのか、とすら思ってしまう雰囲気が漂う山です。
これまで登ってきたどの山とも異なる雰囲気の山ですが、とにかく山に登れるんだ!そんな喜びでいっぱいでした。

で、私は駅で一体何をしているのか?基本的にソロ(1人で行う登山)の山行が多い私がサッサと山に向かわず、なぜ駅のベンチでソワソワしているのか?

実は今日はソロの山行ではありません。共に山に登る3人の仲間を待っていたのです。

待ち合わせは12時。私が宮島口駅に到着した時刻は11時30分。記念すべき登山家としての再出発の日に待ち合わせに遅れる、などという最悪の事態は絶対に避けなければいけないと考え、早めに家を出発したのですが、どうやら少し早すぎたようです。

そんな時、私はあることを思い出し、おもむろにザックの中の精密機器を取り出しました。

精密機器?

そう!今日は私の登山家としての再出発記念日というだけでなく、先日ネットで格安で購入した一眼レフカメラのデビューの日でもあるのです。

こいつの名はCanon EOS Kiss X2 10年以上前のモデルですが、今でも十分通用する優秀な一眼レフカメラです。
大怪我を負ってから、山に登りたくても登れなくなった私は「山と渓谷」「PEAKS」「岳人」などの登山雑誌を次々と購入しては読み漁り、雑誌の中の山からの絶景写真を眺めてはため息ばかりついていたのです。

山に登りたいという気持ちが大きかったのはもちろんです。しかし同時に「自分でも絶景写真を撮ってみたい!」と思うようになっていました。

そんな願いがついに今日実現する!!

一眼レフを取り出した私は、もう一度ザックを背負って、一眼レフをたすき掛けに身につけてみました。

駅のガラスにうっすらと映る自分のエセカメラマンのような姿を見て、グフフと笑う気持ちの悪い私。

そんな気持ち悪い自分にすら全く気がつかないほど、私はとにかく浮かれていたのでした。

そうして迎えた12時・・・誰も来ません。まあ、ちょっと遅れているのかな?と思いつつ5分待ちましたが、それでも誰も来ません。

12時から10分を過ぎた頃、「ん?」と思い、スマホでメールを確認するとメッセージが!

「みんな広電宮島口駅にいます。」

私が待っていた駅はJR宮島口駅です。なるほど、宮島口駅はここだけじゃなかったのか・・・

慌てて駅の外に出ると、今回の主催者である西野さんがいました。

「西野さん!どうも!」

声をかけ、共に他の仲間が待つ広電宮島口駅へと向かい、ようやく全員勢ぞろい!他の2人の仲間は住吉さんと岩永さん。

今回の山行パーティーはこんな感じです。
西野さん
今回の主催者。ネットビジネス、特にコピーライターとして一言では言い表せないほどの実績を持つ私のメンター。
住吉さん
広島在住の3人の子を持つ母。弥山登山の経験者。
岩永さん
名古屋在住。背が高くスリムなモデル体型の男性。登山未経験者。
松浦
コピーライター兼登山家。当ブログの管理者。
初めまして!と、軽く挨拶をすませ、一路フェリー乗り場へ。宮島は離島なので、フェリーに乗る必要があります。

4人それぞれ切符を購入しフェリーへと乗り込むと、まずその人の多さにビックリです。こちらをご覧ください↓
これは、宮島全体を描いたガイドマップですが、数々の名物商店や土産物屋、宿泊施設が並び、一大観光地の様相を呈していています。また、宮島には厳島というもう1つの名称があり、その名を冠した厳島神社は、松島・天の橋立と並ぶ日本三景の1つに数えられます。

そんな宮島は「せっかくの休みだからちょっと外出しようか」という人にはピッタリの観光地なわけですね。
そんな観光地である宮島、外国人旅行客の数には圧倒されます。土産物も外国人向けのものが見受けられます。

例えばこれ↓
日本人はまず買わないだろうな・・と思われる日の丸と「日本」のコラボTシャツ。店主の商売センスに脱帽です 笑
私と小説「神々の山嶺」との出会いは、原作者である夢枕獏を経由したものでした。と言っても別に原作者に直接お会いできたわけではありません。

約10年前、当時ビジネスマン向けに発行していた月刊誌「KING」で、夢枕獏氏は自身の旅行記の連載を持っていました。わずか2〜3ページの短い連載ページでしたが、その文章は知性に溢れ、ユーモアセンスに富み、人を惹きつけるに十分な魅力を持ったものでした。

[わたし]
なんでもいい!この人の著書を読んでみたい!


そんな強烈な願望を持ち、すぐにyahooで夢枕獏氏の著書を調べてみました。数々の小説タイトルがヒットしましたが、ジャンルに偏りはなく、オカルト、SF、時代物、格闘技と多岐に渡っていました。

そんな中で一際私の目を引いた小説が「神々の山嶺」だったのです。夢枕獏氏の代表作ともいうべき作品とあり、何よりも私自身が登山にのめり込み始めた頃だったということもありました。

数日後の仕事帰りに、大阪は梅田の大型書店「紀伊国屋」へと立ち寄り小説コーナーを物色するとすぐに発見、分厚い単行本の「神々の山嶺」が上下巻に別れて陳列されていたのです。

1ミリも迷いことなく、ただちに上下巻を手にしてレジへと走り、ウキウキ気分で帰路につきました。

その日はちょうど金曜日。再び出勤する日までの2日間、私は「神々の山嶺」の世界に没頭することとなったのでした。

宮島弥山登山2 厳島神社でお祓い

で、フェリーを降りた私たちは、砂浜沿いの美しい海や島を愛でつつ、身を清めるために一路厳島神社へ。
海に面した立地の厳島神社は、数年前に大型台風の被害を受け甚大な被害を被ったということですが、そんな痕跡は全くなく、朱色の美しい姿で私たちを楽しませてくれました。
そして、お祓いです。申込用紙に必要事項を記入するのですが、それぞれ自分の願いを選択できるようになっているのです。例えば、学業上達 身体健全 心願成就など・・

弥山登山の数日前に健康診断を受けた私。そんな私の願いはただ1つ「身体健全」。もちろん、これから始まる弥山登山の無事も願いましたよ 笑
バターの種類
主な脂肪の成分
身体への影響
一般的なバター
動物性脂肪
(飽和脂肪酸)
身体に蓄積されやすく、太りやすい
マーガリン
植物性脂肪
(トランス脂肪酸を含む)
カロリーは低いが、トランス脂肪酸による健康被害の恐れあり
グラスフェッドバター
動物性脂肪
(不飽和脂肪酸)
脂肪をエネルギーに変換させるオメガ3脂肪酸を含み、身体に蓄積されにくい
ダイエット効果及び筋肉を増加、増強させる効果もあり
不飽和脂肪酸は植物性の油や魚の油に多く含まれている成分であり、過剰に摂取してもすぐにエネルギーとして使われやすいため、身体に蓄積しにくく太りにくい油と言われています。

特に、グラスフェッドバターの不飽和脂肪酸の種類は、体内で作ることができない必須脂肪酸の一種のオメガ3脂肪酸です。

オメガ3脂肪酸は、αリノレン酸を主成分とする必須脂肪酸の総称であり、体内でDHAやEPAに変換します。DHAやEPAは、その身体に良いとされる成分であり、サプリとしても有名です。
現代の日本人は、オメガ3脂肪酸の摂取量が少ないため、厚生労働省でも積極的な摂取を推奨している程で、こんな効果が期待できるのです。

血圧を下げる
血中の中性脂肪を減らし、血栓を防ぐ
アレルギーを抑制する
記憶力・学習能力を高める
ガンの発生や転移を抑える
認知症、痴呆症を予防する
私は、別にダイエットをしているわけではありませんが、これほど身体に良い効果を与えるグラスフェッドバター、食べない理由はありませんよね!
以前、山に”似合う”車ということで記事を書いたことがありました。

「山に”似合う”車とは?雰囲気重視の車選び」

登山をするために「便利な」ということではなく、山に合う車は何か?ということで
私がシェアした車がミニクーパーでした。

街乗りのイメージが強い車ですが、実はかつてラリーで優秀な成績を収めたこともある
悪路にも強い、とてもパワフルな車なのです。

しかも、小さいボディーにも拘らず内装は広く、登山で使う程度の荷物ならば楽々入ります。
さすがに車中泊はちょっと辛いのですが、それは外にテントを張って解決!

まるで自分の相棒のような、親友のようなミニクーパーが最も山に似合う車と思っています。

宮島弥山登山3 弥山最古の寺院 大聖院にて

由緒正しき弥山の頂上へと続く登山コースは3つあります。
紅葉谷コース
約700本もの紅葉やカエデを見ることができる紅葉谷公園を通るコースです。紅葉の季節には、素晴らしい景色を見ることができます。
大聖院コース
霊峰・弥山のふもとにある真言宗御室派の大本山である大聖院。宮島で最も歴史の古い寺院です。弘法大師空海が弥山を開基して以来1200年の歴史を持ち、皇室との関係も深いお寺でもあります。ここでの参拝を兼ねたコースです。
大元コース
桜の名所として知られ、厳島神社より古い歴史ある神社です。柿(かわら)葺屋根は日本で最も古いと言われ、現存する唯一のものです。ここでの参拝を兼ねたコースです。
今回の登山は、神社や寺院での参拝をメインにしたものであるので、選ぶコースは大聖院コース。

厳島神社を後にして、約5分歩くと大聖院に到着です。大聖院は概ね登山コースのスタート地点に位置します。
門の左右には大迫力の仁王像がお出迎え。いや、お出迎えと言うよりも「この聖域を汚す奴は許さん!」と、恐ろしく気合いの入った雰囲気です。この大聖院が歴史上いかに重要な寺院かということを物語っているかのようです。身の引き締まる思いで一礼して門をくぐると、その先には長い石階段がそびえ立っています。

石階段の左側をふと見下ろすと、そこには無数のお地蔵様が並んでいました。山ではところどころにお地蔵様が祀られていることはよくありますが、これだけ無数に並んでいるところは初めてみました。
しかもよくよく見ると、単なる石像ではなく、1体1体全て違う表情をしています。魂が込められたお地蔵様を具現化した姿のようにも見えて非常に興味深いものでした。

お地蔵様を横目にさらに階段を上がると、左手に釣り鐘がありました。どうやら誰でも自由に突いてもいいようです。
4人で順番に突くこととなり、それぞれ鐘突きに挑戦!鐘突き棒(撞木という)から垂れる縄を後ろに引き、振り子の原理に自身の力を加えて勢いよく釣り鐘を叩く!

ゴ〜〜〜ン・・・

独特の音色が辺り一面に響き、周囲の山々へと吸収されていきます。心なしか私の脳みそにまで音色が吸収されたかのような錯覚を覚えました。いい音色でした・・・

釣り鐘を後にし、さらに階段を上がると、大聖院の本堂である摩尼殿に到着です。

本殿の中は非常に荘厳で近寄りがたい雰囲気がありましたが、本殿手前の広場は、仏具などの露天商があり、聖と俗がいい感じに融合している様子で非常に居心地の良い空間でした。

大聖院でゆっくりと休憩をとり、階段を下りていよいよ本格的な登山開始です。おっと、その前に大聖院からの風景を一眼レフに納めたので、ご紹介します。遥か遠くまで見渡せて素晴らしい風景でした。

宮島弥山登山4 大聖院コースから登山開始

大聖院を後にして、いよいよ弥山頂上に向けて登山開始です!

初めはなだらかな階段コースで、まさにハイキング気分です。山ならではの美しい渓流が流れていて、私たち4人を歓迎してくれているかのようでした。
美しい渓流を横目に、ひたすら続く石階段の登山道。確かに大聖院コースは石階段が続くコースという情報を得ていましたが、ここまでひたすら石階段が続くとは思いませんでした。

一体どうやってこんな階段をここまで運び、階段を作ったのか・・・階段を作り上げた太古の職人たちに思いを馳せ、ただひたすら階段を登る私たち4人。

石階段を登りながら、私はあることに気がついたのです。

私はこれまで数々の山に挑戦し、頂上へと登ってきました。そしてその経験とネットや雑誌で勉強した知識で、このブログを立ち上げ、記事を更新してきました。

登山というジャンルに関してはそこそこの知識を持っていると自負していました。

しかし5年間のブランクを経て、今こうして再び登山をしてみると、改めて発見したことがあるのです。

それは一体何か?

それは、登山を行うには体力が必要だということです。
[あなた]
君はアホか!?

そんなこと言わないでください 苦笑
とはいえ、盲点でした。この弥山登山の日の1週間前から、私は弥山に関する情報を少しずつ集め、弥山の歴史や古来の建造物、そして登山道などについても勉強してきました。

弥山からの絶景を写真に収めようと一眼レフの準備もバッチリです。もはや何の抜かりもなく弥山登山に挑める・・・はずでした。

そんな中、唯一準備を怠ってしまったのが体力だったのです・・・

思えば登山は5年ぶり、しかもここ最近はブログの更新と本業にひたすら打ち込んでいて、運動らしい運動をほとんどしていませんでした。

そんな状態で弥山登山に挑んでしまった私、最初の休憩場所ですでに息も絶え絶えです。

ここで、水筒の水をクイッと飲んで出来るだけ体力を回復させようと努めました。

もしかしたら、私は回復が早い方なのかもしれません。割と短めの休憩でしたが、どうにか呼吸を整えることはできました。

他の3人を見てみると、西野さんはまだまだ元気一杯、住吉さんは弥山登山経験者だけあってさすがの余裕の表情、岩永さんはちょっと苦しそう・・・

特に西野さんは、休憩中にブレイクダンスでもしそうなくらい元気な様子、凄まじい体力の持ち主です。
最初の休憩地から撮った絶景ポイントです。息が上がりながらも、何とか写真は撮りました。
最初の休憩地を後にし、さらに続く石階段をひたすら登り続ける私たち4人。それにしてもどこまでも続く石階段。非常に登りやすいし、階段がある限り道迷い遭難もあり得ないでしょう。観光客、参拝客が多い弥山では、この石階段の果たす役割は計り知れません。

ただその反面、石階段は通常の登山道よりも体力の消耗が激しいという欠点もあります。

通常の登山道は、悪路であるにせよ歩幅は自分で決めることができます。歩幅を短くしてゆっくりと歩けば、長く続く登山道でも体力の消耗は最小限に抑えることができます。

ところが、石階段だと自分で歩幅を決めることはできません。階段の高さに合わせて脚を上げる必要があり、それが大きく体力を消耗させるのです。

もちろん、通常の登山道でも所々で石階段や丸太の階段はあります。ただ、そんな場所は長い登山道の中でもごく一部で、それで体力が激しく奪われるということはありません。

弥山はどうか?

頂上にたどり着いて判明したことですが、大聖院コースの約90%は石階段の登山道です。これほどしっかりと整備された登山道は日本でも稀だと思います。
[あなた]
おいおい!自分がバテたからって言い訳してんじゃねーよ!

違いますよっ 苦笑
現に、この弥山登山の1週間後、標高1100mの滋賀県は打見山に登りましたが、弥山の時ほどの体力の消耗はありませんでした。

・・・さて、登山の方は2度目の休憩地に到着、左手に美しい滝が見える心地よい休憩地です。

休憩地の柵に軽く腰掛けて呼吸を整えていると、何と前から野生の鹿が!!弥山登山の魅力の1つが、野生の鹿との触れ合いだと思います。
鹿も人を一切怖がることなく近づいてきてくれます。動物好きの私には、これはタマラない癒しです!

2度目の休憩地を後にして、さらに石階段を登る私たち4人。ここまでくると、4人のバテ具合で3つの組に分けることができます。

・余裕組・・・・・・西野さん、住吉さん
・少しバテ組・・・・岩永さん
・グロッキー組・・・松浦
余裕組の2人は、いろんな話に花を咲かせながら、時には微笑みながら階段を登っています。岩永さんは口数がかなり減ったようですが、足取りはしっかりしているようです。私はというと・・・すでにグロッキーな状態を何とか悟られまいと必死になって呼吸を整えていましたが、もはやそれも限界。

ついには
[西野さん]
松浦さん!大丈夫ですか!?

西野さんに疲れをみせて気を使わせてしまうハメに・・・登山家として地の底まで落ちた気分でした 笑
また、余裕組の住吉さんのお気遣いにもかなり助けられました。

途中、外国人の少年が1人で私たち4人を追い抜いていき、先に到着した休憩地の看板をジーッと見ている様子に出会いました。

この時、すでにグロッキーだった私。そんな時、住吉さんはその少年に話しかけて若干の休憩時間を作ってくれました。

ほんの少しの休憩時間でもありがたかった私は、この少しの休憩時間にかなり救われました。

そんなこんなで、どうにか頂上にたどり着いた私たち4人。最後には4人で1つの組、頂上到着組となったのでした。
固形タイプ

つまり、基本的には液体タイプを使用し、チョークバッグにはカットした固形タイプのチョークを入れておきます。

そうすることで、粉末の飛散を最小限に抑えることができ、しかもより適量のチョークを手につけることができるようになるのです。

また、固形タイプのチョークは比較的安価であるため、経済的にも優れたセットです。

宮島弥山登山5 弥山頂上にて

ついに頂上に立った私たち4人。登り始めから頂上に至るまでしっかりと整備された弥山だけあって、頂上にはちゃんとした展望台が設置されており、頂上であることを示す石碑もありました。
ここまで、ハアハアゼイゼイ言いながら、3人の仲間に助けられながら、どうにかたどり着いた私。

早速展望台に上がり、そこから見た景色は、ここまでの疲れを綺麗さっぱり吹き飛ばすほどの素晴らしいものでした。
弥山頂上から眺める本島の景色。海岸線を広範囲に渡ってはっきりと見渡すことができます。写真の左下に見える白い放射状のものは牡蠣の養殖場です。
太陽が西に傾きかけたところです。夕焼け手前の美しく照らされた海をパシャリと撮影。
休憩中の女子。撮るつもりはなかったのですが、何となくお気に入りの一枚です。
石の上の白いものは、実は1円玉です。撮影時も小学生らしき男の子数名が1円玉を石の上に乗せようと放り投げていました。どういう意味があるのか・・・謎です。

私たち4人はそれぞれ、ひとしきりに頂上での雰囲気、景色を楽しみました。

展望台で景色を眺めたり、石に座ってボーッとしてみたり・・・私は頂上からの景色全てを写真に収めようとしばらくの間、一眼レフのシャッターを押していました。

ひとしきりに写真を撮った後ふと後ろを振り返ると、石の上に登り遠くを眺める西野さんを発見。

その時、西野さんは感慨深げにこう言ってました。
[西野さん]
この景色、いつまでも見ていられます。

弥山の標高は535m、日本の山でも低山に該当する山です。弥山よりも高い山はいくらでもあるし、ここよりももっと遠くまで見渡せる山も日本にはたくさんあります。

しかし、弥山ほど歴史的に重要で由緒正しく、そしてエネルギーを感じさせる山は無いかもしれません。

私も弥山からの景色は、単にいい景色という以外の何かエネルギーが自分の中に吸収されていくような不思議な感覚を感じさせます。

ここまで登ってきて疲労困憊のはずなのに、自分の体内がエネルギーに満ち溢れた感覚。

これまで数々の山の頂上に立ってきた私ですが、こんな感覚は初めてです。

きっと西野さんも同じように感じたに違いありません。

頂上で思い思いに過ごすこと数十分。再び現世に帰るべく合流した私たち4人は、下山の途へついたのでした。

宮島弥山登山6 下山道中と豪華ディナー

下山の途についた私たち4人は、大聖院コースではなく大元コースを選びました。

せっかくだから、また別のコースを歩いてみたいと満場一致でこのコースで下山することとなったのですが、このコースは大聖院コースほど整備された登山道ではありません。より通常の登山道に近い印象のコースでした。

とは言っても、太陽はどんどん西の彼方へと沈んでいき、コースを楽しむ余裕はありません。

街灯など当然あるわけがない登山道、真っ暗闇になる前に下山しなければ非常に危険です。

途中休憩することなく、一気に下山した私たち4人。幸いにも、真っ暗になる前に麓の公園へとたどり着くことができたのでした。

フェリー乗り場へと歩く途中で見かけた厳島神社の大鳥居、潮が満ちる前の貴重な瞬間をカメラに収めることができました。
・・・うーん、分かりづらい・・・フラッシュを炊いたはずですが、こんな暗い写真になってしまいました。よーく見え凝らしてみていただければと思います。

そして下山後すべきこと、そう!お食事です。朝から水しか飲んでいない私たちは、とにかく空腹でした。

では何を食べるか!?普通はここで一悶着してしまうところですが、ここは広島在住の住吉さんのおすすめもあり、満場一致で穴子の店にいくことになりました。

広島といえば牡蠣の養殖が有名ですが、住吉さんによると、穴子も有名だそうです。知りませんでした・・・

JR宮島口駅前の穴子料理店に入った私たち。西野さんと住吉さんは穴子丼定食、岩永さんと私はカキフライ定食をそれぞれ注文し、舌鼓を打ったのでした。

登山の最後に

こうして宮島弥山登山は終わりを迎え、私たち4人は再びそれぞれの日常へと帰っていきます。

1人の登山の時は「ふーやっと帰り着いた」と無感動に終わりを迎えますが、4人の仲間と共に登った後の別れは、何とも寂しさを感じます。まるで夏祭りの後のようです。

西野さんは東京へ、岩永さんは名古屋へ、私は大阪へと帰るために広島駅へ。住吉さんは広島在住のため比較的近いのですが、広島駅まで見送りに来てくれました。

新幹線の改札の前、いよいよお別れの時です。1人ずつ改札に切符を入れ、新幹線に乗る準備をする西野さん、岩永さん、そして私。

改札を振り返ると、住吉さんがずっとこちらを見送ってくれていました。その姿を見て、心底こみ上げてきた思いがありました。

「またいつか、この4人で弥山に登りたい!」

たったの1日の登山でしたが、もう何日も共に過ごしたかのような本当に充実したこの日。こんな素晴らしい日をまた過ごすことができれば、最高なのにな!と思ったのでした。

それからの日々

最高に充実した弥山登山。ただ、私個人としては非常に大きな悔いの残る登山でした。

そう!準備万端で臨んだはずの弥山登山の唯一の忘れ物、体力です。

登山家として体力不足で4人パーティーの遅れをとるなど、恥以外の何物でもありません。

というわけで、それから私は自身に毎日のある課題を課しました。

これです↓

・自転車走行10km
・スクワット100回
・腕立て30回
・懸垂5回
・ストレッチ10分
[あなた]
おいおい!悔しいのはわかるけど無茶するなよ!毎日こんなにもできねーだろ!?

私も初めはそのように思っていました。しかし、今日11月18日。11月4日から始めて今日で約2週間、1日も欠かさず続けています。

また、先週の日曜日には標高1100mの滋賀県の山にも登頂してきました。

これがいつまで続くか分かりませんが、今のところ確実にあの日の忘れ物を取り戻しつつあります。

いつかまた弥山登山をすることがあったならば、今度は私が先頭を切って仲間を頂上へと導きたいと思います。

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2021.07.05

登山初心者を魅了!富士山登山の4ルート

登山初心者を魅了!富士山登山の4ルート
こんにちは!管理人の松浦です。
さあ!これから登山を始めるぞっ!という多くの人がまずどの山に登るか?

実は富士山なんです。登山未経験者のほとんどはまず富士山登頂を頭に思い浮かべます。

理由はいくつかあります。TV番組でアイドルが登頂しているところを視聴したり、年配のご夫婦が力を合わせて登頂しているところを視聴したり等々・・・

しかし、やはり一番の理由は「日本人たるもの一度は富士山に登ってみたい」ということのようです。

富士山には4つの登山ルートが設定されており、私はそのうち3ルートを経験しました。その経験から、他の山と比較して富士山はどんな魅力があるか、初心者のあなたがどのルートを選択すべきかをシェアしようと思います。

あなたの富士登山が素晴らしい経験となることを願っております!それではどうぞ!

登山初心者も惹きつける富士山の魅力

日本一の山、富士山。あなたは登ったことはありますか?
日本に点在する数百座もの山々の中でも
富士山はいろんな意味で特別な山です。

富士山登山についてはこちら↓でも触れています。
「日本人ならばぜひ一度!富士山登山」

もちろん高さは3776mで日本一、しかもたった1座であれだけの存在感を示す山も他にはありません。

また、古来より富士山は信仰の対象として崇められてきた代表的な霊峰であり、古典文学でもたびたび登場します。
有名な者としては「竹取物語」があります。
日本人ならば誰もが知るかぐや姫の物語としても有名ですが、その中にも不死の薬を焼いた山として不死山が登場し、これが後に富士山と呼ばれることになるのです。
そんな様々な意味で特別な存在である富士山。だからこそ、多くの人が一度は登ってみたいと言います。

中にはこんな人もいます。
[登山未経験者]
別に登山には興味ないよ。時間かかっちゃうし、疲れるし・・・パチンコでもしてる方がマシだよ。
でも、富士山にはたった一度だけでも登ってみたいんだよなあ!なんでだろ?


登山に興味を示さない人すらも強烈に惹きつけてしまう!富士山にはそんな不思議な魅力があるのです。

実はつまらない富士山登山?

実は富士山は登っていて楽しい山ではありません。
これから富士山に登るかもしれないあなたにこんなことを言うべきではないのはわかっていますが、あえて言わせていただきます。

なぜ楽しくないか?あなたもご存知のように富士山はかつて大噴火を起こしたこともある活火山です。(休火山と言われる場合もありますが、気象庁では活火山として分類されています)つまり、地表面はほぼ砂と石と岩だけで構成されてるわけです。

登山の魅力や面白さはどこにあるか?その答えは人それぞれですが、登山家の多くは生い茂った木々や草花の中、そしてアップダウンを繰り返す登山道を頂上に向かって進んでいくことに楽しみを見出します。もちろん私もです。

ところが、富士山の登山道にはそれがない。
活火山であるため、ほとんどの木々が育たず、そのため登山道に起伏がありません。
ただひたすら上り坂を頂上に向かってジグザグに登っていくのみです。

また、富士山の登山シーズンは概ね7月〜10月
特に8月になると、夏休みシーズンということもあり多くの登山家が訪れます。

それこそ「今日初めて登山に挑戦します」という登山初心者や子供からベテラン登山家まで、多くの登山家でごった返します。

特に、富士登山者全体の約50%の人が選ぶという吉田ルートは、まるでテーマパークに迷い込んだかのような騒々しさです。
都会の喧騒を離れて癒しを求めて富士山登山をするという人がいるならば、残念ながらその考えは改めるべきでしょう。

これは私の考えですが、実は富士山ほど途中で下山することが難しい山はありません。

先ほども言ったように、登山シーズンには多くの登山家が押し寄せます。つまり、登山道は登山口から頂上付近まで、人の波が途切れることがありません。

例えば、あなたが登山道の脇で一休みしていると、多くの登山家が目の前を通り過ぎます。中には60代、70代の元気な高齢者の方々もいらっしゃるのです。

そんな中、もしあなたが「もうダメだ、これ以上は一歩も歩けない!」というところまで疲れていたとしても、その目の前を自分よりはるかに高齢の方々が元気に通り過ぎていく姿を見ると、ここでギブアップしようとしている自分があまりにも情けなく思えてしまうのです。
そこで、もう一踏ん張りできればいいのですが、これ以上は絶対に登れない!と途中下山を決意してしまった時、その精神的ダメージは計り知れません。
その悔しさを発奮材料にし、次の登山へのモチベーションにするしかないのです。

そんな富士山ですが、やはり私は登山初心者であるあなたにたった一度だけでも登頂をオススメしたいのです。

なぜか?それは富士山頂からの景色があまりにも圧倒的で、あなたの価値観すら根底から覆すほどの美しさがあるためです。

残念ながら、私の拙い言葉では富士山頂からの眺めを形容することはできません。それでもなんとか言葉にしてみると、富士山の魅力は離れて見たときの大迫力と山頂からの景色、この2点に集約されます。

離れて見たときの景色は東海道新幹線に乗車すれば誰でも簡単に観ることができますが、山頂からの景色は登頂を果たした者にしか見ることはできません。

登山初心者に贈る私の富士山登山体験談

先ほども言ったように富士山頂からの景色は想像を絶する素晴らしさですが、そこに至るまでの工程は決して楽しいものではありません。

そのため、あなたには重い腰を上げていただく必要があるのですが、その重い腰を少しでも軽くするために、かつて私が登った富士山頂までのルートを、私の経験を混じえながら解説していきたいと思います。ちょっとした登山紀行文と思ってください。

富士山頂へと通じるルートは4つあります。かつて私はそのうち3つのルートを経験しました。
ここからのお話は、3つの各ルートの五合目から富士山頂に到るまでの私の経験談です。
つまらない登山を少しでも楽しく!そんな思いを込めてお話いたします。


|御殿場ルート
山小屋名
所在地
標高
連絡先
新五合目
1500m
090-8955-5076
七合四勺
3050m
090-7301-5070
七合五勺
3100m
090-8868-0341
七合九勺
3300m
090-3155-5061
数年前の7月半ば。時間は午前7時頃。
私は単独で富士山登頂を目指すべく、背に大きなザックを背負いながら御殿場口新5合目のバス停に降り立ちました。
一緒にバスを降りた人は、細身ながら頑強そうな体躯をした50代くらいの男性だけでした。

ここから富士山頂へと向かうルートは「御殿場ルート」と言い、富士山頂へと続く4つのルートの中でも最も距離が長いルートです。
しかも、山小屋が少ない。このルートを登る登山客も全体の6%です。比較的上級者向けのルートと言っていいでしょう。ここから数時間をひたすら頂上に向かって歩き続けるというわけです。

登山道は、私がこれまで経験したどんな登山道とも違っていました。まず木がない。そして頂上の方角に目を向けると、はるか彼方まで見渡せる景色。木がなく、視界を遮るものが何もないので、その開放感は圧倒的でした。

そんな開放感を存分に味わいながら、早速富士山頂へと続く第一歩を踏み出した私。「千里の道も一歩から」という言葉はよくわかってはいましたが、その圧倒的な開放感を味わってしまうと、私の踏み出した一歩があまりにもチンケに思えてしまい、これからの長い工程を肌で実感した瞬間でもありました。

あまりにもチンケな一歩を踏み出した私でしたが、そこからしばらくは快適に歩を進めました。登山開始直後の体力が有り余っている状態だかたということもありましたが、ほぼ初めて目にする壮大な景色にとにかく目を奪われっぱなしでした。

富士山という特殊な環境は人の感性をも刺激するのかもしれません。登山道の脇にふと目をやると、小さな草花が元気に咲き誇っています。

活火山に分類される富士山ですが、全く植物が育たないというわけではありません。さすがに樹木はありませんが、比較的標高の低い地点では生命力の強い草花が育つこともあるのです。

「へえ・・こんなところにも植物が育つのか」ある種の感動を覚えつつ、その草花に「フッ」と微笑みを与える私。家の庭に生えていたら、ただうっとおしいだけの雑草。
そんな雑草も富士山に生えていれば、生命たる草花。そんなちょっとしたことにも感性が刺激された私でした。
歩き始めて約1時間、まだまだ元気いっぱいですが、ちょうど山小屋にたどり着きました。
その名も「大石茶屋」
簡単な作りの山小屋でしかもかなり年季が入っている様子です。
しかし、富士山というシチュエーションの中にあると、そこはまさしく砂漠の中のオアシス
登山客からすると我が家とも言える山小屋でした。早速屋外のベンチに腰掛け水分を補給したのでした。

御殿場ルートに存在する山小屋は全部で8軒、そのうち4軒は休館中であるため、登山中に立ち寄れる山小屋は4軒です。大石茶屋でしっかりと英気を養った私ですが、次の山小屋である「わらじ館」までは3時間以上歩く必要があります。「わらじ館」にたどり着くまでは、体力はもちろんのこと気力の勝負でもあります。「大石茶屋」での休憩を終え「さあ!行くぞ!」と気合をいれて、さらに歩を進めた私でした。

歩を進めるに従い標高も上がり、登山道脇にわずかに生えていた草花もほとんど見かけなくなりました。登山道は相変わらず黒っぽい土と石に覆われ、変化がほとんどありません。途中途中で標高を示す看板はあるものの、自分が一体どのあたりを歩きあと何時間歩けば「わらじ館」に着くのか、わからなくなってきました。

一歩一歩確実に頂上に近づいているものの、近づいているという実感を感じることができず、精神的に追い込まれます。しかし、ここが踏ん張りどころ!1時間に1回、登山道脇に座り込み休憩をとりつつ、着実に歩を進めて約4時間。「わらじ館」らしき山小屋が見えてきたときは感動ものでした。

「わらじ館」その名の由来はわかりませんが、とにかく年季の入った小さな山小屋。
「大石茶屋」よりも小さめですが「わらじ館」に到着した時の喜びは「大石茶屋」到着時とは比較になりませんでした。ここでザックを降ろし、ザックに入れておいたおにぎりを手にとって一口パクリ。
私は数年経った今でも、この時食べたおにぎりの味を忘れることができません。
[わたし]
こんな美味しいおにぎりがこの世にあったなんて!

もちろん自分で握ったただのおにぎりです。
しかし、4時間以上も歩き通して空腹の感覚すら無くなっていた時のおにぎりほど美味なものはこの世に存在しない!心の底からそう思いました。

「わらじ館」で身体を休め、再び英気を養った私は頂上に向かってさらに歩を進めました。ここまできたら、頂上まであと少し!その間に2軒の山小屋もあり、文字通り山場は越えました。体力はかなり消耗していますが、そう思うと気が楽です。あとは山小屋で休憩を入れつつのんびりと頂上を目指そう!

「わらじ館」から次の山小屋「砂走館」までは楽に歩けます。標高が高いため空気が薄く、またここまでの疲れが溜まり、満身創痍で歩を進めましたが、1時間ほどで「砂走館」に到着しました。そこでもまたしっかりと休憩をとり「砂走館」から歩くことさらに1時間、頂上までの最後の山小屋「赤岩八号館」に到着しました。

「赤岩八号館」を出発した私は、一歩一歩地面を噛みしめるかのように歩を進めました。目指す頂上はもう目の前!はやる気持ちはありましたが、足がついていきませんでした・・・
そうして歩くこと約1時間30分、ついに富士山頂へとたどり着いたのでした。

所要時間は約8時間。富士山頂へのルートの中でも最長ルートであるにも拘わらず山小屋が4軒だけであり、4ルートの中でも比較的難易度の高いコースであることは間違い無いでしょう。
ただ、それだけに達成感はひとしおです。
体力に自信があるあなたにオススメのコースです!


|須走ルート
山小屋名
所在地
標高
連絡先
五合目
2000m
090-8680-0686
五合目
2000m
090-3254-5057
五合目
2230m
090-7854-7954
六合目
2450m
090-8324-6746
六合目
2700m
090-3302-4466
七合目
2960m
090-3158-6624
七合目
3200m
090-1622-1048
八合目
3350m
090-2770-3518
八合五勺
3400m
0555-22-7751
頂上
3740m
090-5858-3776
あれは確か10年ほど前の7月だったと思います。登山の素晴らしさに目覚めて、程なく私は富士山登頂を目指すことになりました。選んだ登山ルートは「須走ルート」

特段、大した理由はありません。何でもいいからとにかく手応えのある山に登りたかった、そして登山技術よりも体力が要求される山で自身を鍛え直したかったことが、富士山登頂を目指す理由でした。

須走ルートを選んだ理由は2つあります。1つは出来るだけ人が少ない登山ルートを選びたかった、もう1つはそれでいて比較的山小屋が多いルートが望ましかったということです。須走ルートで富士山頂をめざす登山客は全体の8%で、山小屋の数は11軒。ちょうどいい!

AM7:00 須走口五合目バス停を降り登山口に降り立った私は、意外な光景を目にしました。
そこそこ急な坂道でアスファルト道路、そして山小屋。何よりも木々が立っている!富士山は活火山に分類されていて、多少の草花はともかく木々が育つような環境ではない・・・と思っていたのです。そうです。須走ルートの5合目は、4つある富士山登山ルートの中でも樹林帯の中を通る珍しいルートであり、他の山と同様自然を楽しむことできるのです。

五合目には2軒の山小屋があります。菊屋と東富士山荘です。このうち私が立ち寄った山小屋は「東富士山荘」。年季の入った山小屋ですが設備は充実。特に、景気付けにと食べた「まつたけそば」は絶品でした。この他にもきのこ料理のラインナップがズラリ!
東富士山荘のご主人はきのこに詳しく「きのこ博士」と呼ばれているとのことです。そんなご主人自慢のきのこ料理。あなたも是非ご賞味あれ。
ご主人の「いってらっしゃい」の声に送られて出発。
すぐ近くには古御岳神社という神社あり、そこで登山の安全を祈願しました。

そこからいよいよ登山開始!まずは樹林帯の中を登っていきますが、実はご主人からこんなアドバイスをいただいてました。

[ご主人]
しばらく登っていくと登山道と下山道が交差している場所があります。まちがって下山道へ進まないようにして下さい。標識はたくさん立っていますが、夜間は見落としやすいので要注意です。


しばらく進むと、ご主人のアドバイスどおり何やら交差した登山道が出てきました。今は早朝。視界も明るく間違えることはありませんが、確かに夜間は危険かもしれません。

15分ぐらい歩くと樹林帯を抜け、視界が開ける場所に到着しました。休憩をとるほどではありませんが、そこでフーッと一息。樹林帯とはここで別れを告げ、そこからは潅木(低い木)に覆われた中を歩きました。

登山道は空いていてとても静か。ところで、富士山に限らず、登山道を登る時はどうしても道迷いの危険性が付きまといます。

しかし、富士山にはあまりにも多くの登山客が訪れるため、その対策も万全です。登山客が道に迷う事がないように小さな道標がいくつも用意されているのです。比較的登山客が少ない須走ルートも、もちろん例外ではありません。そのおかげで本当に心おだやかに歩く事ができました。

1時間半ほど歩くと六合目に到着し、そこには「長田山荘」が立っていました。小さな掘っ建て小屋のような山小屋ですが、登山道の雰囲気に実にマッチしています。何の文句もありません(笑)外のベンチに腰を下ろし、水筒の水をクイッと飲んでホッと一息。
ひとしきり長田山荘の雰囲気とそこからの風景を堪能した後、よっこらせっとザックを背負い、再び歩行開始。

登山道の周囲はまだ潅木の林です。ところが30分も歩くと潅木の本数が次第に減り、気がつくと潅木がほとんどなくなり、代わりに草花が生えている登山道となりました。そんな中をのんびり歩くこと約1時間。
本六合目の山小屋、「瀬戸館」に到着しました。
ん?六合目?六合目は長田山荘じゃないの?とあなたは思ったかもしれません。どうやら、この須走ルートではルート区切りの呼び名の改定があったらしいのです。詳しい事情はわかりませんが、現在瀬戸館は本六合目という位置だそうです。

その瀬戸館に到着した私。瀬戸館はやはり年季の入った掘っ建て小屋のような雰囲気ですが、長田山荘よりは若干建屋が大きいかもしれません。

ここでまた、屋外のベンチに腰を下ろし、水筒の水をクイッと飲んで一息。
ここの標高は2700m、ここまでくると生えている草花も減り、砂や石、岩が格段に多くなります。

そして遮るものが何もない頂上を見上げると、はるかかなたに頂上らしきものがキラリ!どんなにはるかかなたに見えても、視界に入る範囲はすぐ近く!登山家の感覚です 笑

瀬戸館に別れを告げ草花の登山道を歩くと、いよいよ肌寒くなってきました。

*ここで1つ注意です。
これを読んでいるあなたによく覚えておいていただきたいのは、富士山の気温です

私が登っている時期は7月半ば、季節は夏です。本来ならば、部屋でエアコンをガンガンにかけて「あつ〜」と言っているような時期なのですが、標高2700m付近の気温は20度以下です。涼しくて心地よいのは確かですが、間違ってもTシャツ1枚で富士山登山をしないようにしていただきたいと思います。必ずフリース1枚、そしてちょっとしたアウターレイヤーもあったほうがいいかもしれません。でないと、寒くて凍えてしまいます。

現に私のこの時の服装は、登山用ズボン、Tシャツ、フリース、ウインドブレーカーです。もちろんウインドブレーカーはレインウェア併用です。

瀬戸館を出発し約1時間、7合目の山小屋である「大陽館」に到着しました。実はこの大陽館、私にとって最も印象深く、そして大好きな山小屋なのです。

なぜか?大陽館には何と白くて大きな犬が飼われているのです。しかも何とも人懐っこい!きっと、この山小屋を訪れる登山客に愛想を振りまいているのでしょう。私のところにも駆け寄ってきてくれて、顔をペロペロ舐めてくれました。犬好きの私には何よりの接客です。
さて、名残惜しいのですが、大陽館のワンちゃんに別れを告げて次の山小屋を目指します。ここまでくると、山頂方向にはっきりと目指す富士山頂を見ることができます。

目指すと言っても大陽館から次の本七合目の山小屋、「見晴館」はすぐ近くで、なんと大陽館から見晴館の白い鳥居が見えているのです。ゆっくり歩いて約30分で到着。見晴館はまだ建物が新しいです。子連れ登山の場合、ここで一泊して登頂に成功したという話をよく聞きます。
見晴館から次の八合目の山小屋、「江戸屋」をめざします。この付近は登山道と下山道の共用部分が多く、砂礫がずるずる滑り、歩き難い登山道です。下山者が巻き起こす砂埃にも悩まされます。 特に目に入る砂埃には注意が必要です。

八合目の江戸屋に到着した私はあることに気がつきました人の数があまりにも多いのです。頂上に近くにつれ人が減っていくならまだしも、増えるとは一体どういうことか?

その答えはすぐに判明しました。須走ルートの八合目は、隣の吉田ルートとの合流地点なのです。吉田ルートは富士山頂を目指す人の60%以上を占める人気ルート。たったの8%の須走ルートと比較するとその差は約10倍!
わざわざ人の少ないルートを選んだのに、通勤ラッシュ時の駅のホーム並みの人混みを目の当たりにした私は、若干の戸惑いを覚えつつ、そこらへんの手頃な石に腰掛けたのでした。(ベンチは全て登山客でうまっていました・・・)

人混みを避けるようにして江戸屋を後にした私は、そこから本八合目トモエ館、胸突江戸屋を経て、八合五勺の御来光館で最後の休憩、岩だらけの登山道を1時間ほどゆっくり登って、ようやく富士山頂へとたどり着いたのでした。

4ルートからの全ての登山客が一堂に会する富士山頂。敷地面積も広いため、数店の山小屋が立ち賑わいを見せていました。まるで、平地の観光地のような雰囲気の山頂の様子ですが、そこからの景色はやはり素晴らしいものでした。

この景色を堪能するためだけでも富士山頂を目指す価値は十分にあります。
気象条件が揃えば、眼下が雲の海のように見える雲海を見ることもできます。

私が最も好きな景色はその雲海です。残念ながら、この時の天候は晴天。雲海を見ることはできませんでしたが、それでも富士山頂から見る景色は見る者全てを魅了します。

ひとしきり山頂からの景色を堪能し、ゆっくりと休憩したところで下山の途についたのでした。


|富士宮ルート
山小屋名
所在地
標高
連絡先
六合目
2493m
090-7607-2232
六合目
2500m
090-2618-2231
七合目
2780m
090-4083-2233
七合目
3010m
090-7022-2234
万年雪山荘
九合目
3460m
090-7025-2236
九合五勺
3590m
090-3158-6624
頂上
3740m
0544-26-1519
富士宮ルートは、4ルートの中で最も富士山頂までの距離が短い8.5km(往復距離)。しかも、等間隔に11件もの山小屋が立っています。登山客も全体の24%で、吉田ルートに次ぐ多さです。段差が多いという点を除けば、この富士宮ルートが最も初心者向けと言えるかもしれません。

富士山からの景色を愛でながらのんびりと歩行を楽しみたいという登山客にオススメのルートです。

5年ほど前の8月、私は富士宮口五合目のバス停にいました。富士宮ルートからの登山を楽しむためです。ここまで数多くの山を制覇してきた私。ですが、たまにはのんびりと歩行を楽しみ、山小屋を見学しながらの登山もいいな♫そんな思いから、この富士宮ルートを登ってみようと思ったのです。

そもそもなぜ、この富士宮ルートは歩行距離が短いのか?それは5合目のバス停が標高2400m地点にあり、そこから富士山頂に向けて出発することができるためです。

例えば、視界が良い日は五合目からでも測候所の白いレーダードームを見ることができます。4ルートの中でも富士宮ルートは富士山頂が最も近くに感じるルートと言えるでしょう。

早速富士山頂に向けて出発した私。気合いをいれて登り始めて間もなく「表富士五合目レストセンター」なる小さな売店兼食堂に到着しました。
[わたし]
ありゃ?もう休憩ポイント?

登り始めのエネルギー溢れるタイミングで休憩ポイントに到着してしまったのです。
もちろん、こんなところで休憩する気になどなれない私は「よし、ここからスタートだ!」と再び気合いを入れなおして歩行を続けました。

登り始め、少し急な坂を歩くことになりましたが、その後は緩やかな坂が続きました。
その緩やかな坂を約30分ほどかけてのんびり歩くと、新六合目にたどり着き「宝永山荘」という山小屋で小休止することにしました。
疲れは全くと言ってもいいくらいにありませんでしたが、今回はゆっくりと登山道や山小屋、そして景色を愛でながらの登山が目的です。
街中で喫茶店に入るかのような感覚でベンチに腰を下ろし、そこからの景色や他の登山客の様子を楽しみました。

新六合目にはもう一つ「雲海荘」という山小屋があります。そこにも立ち寄りましたが特に「宝永山荘」との優劣はありませんでした。どちらでものんびり休憩できます。

山小屋の裏手が登山道となっており、そこからまた山頂へと向かうのですが、ここから登山道が少し険しくなっていました。ここまでの登山道はいわば「序章」、ここからが「本編」といったところでしょうか。

「本編」の登山道をジグザグと登り始めて約1時間。
新七合目の「御来光山荘」に到着しました。御来光山荘は完成して間もないのか、他の山小屋と比較するとかなり真新しい建屋です。

建屋内も充実しており、休憩できる施設ももちろんのこと、B級グルメで有名な「富士宮焼きそば」を食べることもできます。焼きそばをこよなく愛する私。1mmも迷うことなく注文し、しっかり堪能しました。麺がモチッとしていて大変美味でした♫
焼きそばを堪能し、ホッと一息ついて再びザックを背負い、山頂へと向かう準備を整えた私。登山道を登り始めると、かなり多くの火山岩がゴロゴロと転がっている様子です。一つ一つは小さいのですが、うっかり蹴って下へ落としてしまうと、後に続く登山客へと当たってしまう可能性があります。岩を蹴り落とさないように注意が必要です。

約40分ほど登ると、山小屋が見えてきます。その名も「元祖七合目・山口山荘」笑
「七合目を過ぎたのだから八合目だろう!」とショックを受ける人も多いと聞きます。「うちこそ七合目の山小屋だっ!!」「いや、うちだ!!」そんな山小屋同士の確執を垣間見たような気がしたのでした。

元祖七合目?での休憩を終え、再び山頂への歩行を開始すると、そこからの登山道が岩場へと変わり、また斜度がきつくなっていました。

距離こそ長くありませんが、八合目の山小屋である「池田館」にたどり着くまで、むき出しの歩きにくい岩場を歩かなければなりませんでした。ここが富士宮ルートの正念場と言えるでしょう。

ただ、幸いなことに八合目には救護所(富士山衛生センター)があります。もちろんお世話にならないことが何よりですが、その存在が安心材料となります。
岩場を無事に越え「池田館」の八合目を過ぎると、再び砂礫の多い道に出くわしました。岩場を越えた自信からか、砂礫の道を見ると若干拍子抜けしました。

その砂礫の道をのんびりと歩くこと約40分、九合目到着しました。九合目の「万年雪山荘」は富士宮口で最大クラスの山小屋。
中を除くと食堂スペースが広くてゆったりしています。宿泊者でなくても利用できる食堂は午前3時から19時まで営業しています。有料の望遠鏡も設置されています。

この標高の高い地点でこれほどの施設に巡り合うとは思いませんでした。まさに驚愕です。

もしあなたが、この富士宮ルートからの登頂を目指すならば、ぜひともこの「万年雪山荘」に立ち寄ってください。日本で最も平地から離れた場所で、これほど設備が整った山小屋に出くわすなんて!とあなたも感動するはずです!

「万年雪山荘」を出発して約40分、山頂まで最後の山小屋である九合五勺の「胸突山荘」に到着しました。
山小屋らしい山小屋で、どこかホッとできる雰囲気のある山小屋でした。このあたりには「山頂まで30分」という看板が立っていますが、これは元気な人の場合です。高地で急斜面であるため所要時間の個人差が大きく、あまり意識しなくていいと思います。

「胸突山荘」を出発して約40分、ついに富士山頂に到着しました!
まずは浅間大社奥宮で無事に登頂できたことを感謝。主祭神は浅間大神で女性の神様です。

山頂の山小屋「頂上富士館」の御主人によると、なんと!ここで結婚式をするカップルもいるそうです。本人たちは登山が趣味同士のカップルということで納得ですが、親族や友人はどうするんだ!?ついつい気になってしまったのでした。

あなたはどのルートで富士山頂を目指しますか?

いかがでしょうか?かつて私が経験した富士山頂を目指すルート、御殿場ルート、須走ルート、富士宮についてあなたにシェアしました。
ここで改めて3ルートについてまとめましょう。


●御殿場ルート
・とにかく人が少ない(全登山客の6%)
・途中の山小屋の数が少ない(5軒)
・4ルートの中でも最長の登山ルートである(往復距離にして約17.5km)
・五合目と富士山頂の標高差が最も大きい(2300m)
・登山道のほとんどが石や岩、砂で占められる



●須走ルート
・人が少ないが(全登山客の8%)八合目で吉田ルートと合流するため、そこからは多くの登山客でごった返す
・途中の山小屋の数は11軒(不定期で休業する山小屋を含む)
・登山ルートの距離は往復距離で約13km
・五合目と富士山頂の標高差は1800mで御殿場ルートに次ぐ大きさである
・六合目までは樹林帯や潅木の中の歩行を楽しむことができる



●富士宮ルート
・人はそこそこ多い(全登山客の24%)
・途中の山小屋の数は10軒(ほぼ等間隔で立つ)
・登山ルートの距離は往復距離で約8.5km(4ルート中最短)
・五合目と富士山頂の標高差は1350m(4ルート中最小)
・比較的岩場が多いが、岩場の歩行は容易



御殿場ルート、須走ルートはとにかく人が少なく、特に御殿場ルートは、山頂までの全行程を通して人がまばらです。また、それだけに登山道の整備も行き届いていない部分が多く、体力面では登山上級者向きと言えるでしょう。

須走ルートもまた御殿場ルート同様に人がまばらですが、御殿場ルートと比較すると山小屋が多く登山道の整備は行き届いています。また、六合目あたりまでは、樹林帯や潅木の中を歩くことができ、自然を堪能できます。八合目からは、最も登山客が多い吉田ルートとの合流点となっているため一気に人が増え、そこからの登山難易度は格段に下がります。考えようによっては、疲労困憊のタイミングで登山難易度が下がるという理想的ルートであるとも言えます。

富士宮ルートは登山初心者にとっては、4ルート中最もバランスのとれたルートという印象を持ちました。適度に人が多く、単独行でも寂しさを感じることはありません。また、等間隔で山小屋があるため、休憩のリズムも取りやすくテンポよく歩行することができます。

さらに山頂を目指す以外にも山小屋での滞在を楽しみたいというあなたには富士宮ルートがオススメです。年季の入った山小屋から設備の整った山小屋まで、多種多様の山小屋を楽しむことができます。富士宮ルートは「山小屋ウォッチングを楽しむ登山」という側面を持っていると言えるでしょう!
実は、私もこの吉田ルートの登山経験はあります。しかし、それは小学生の頃の家族旅行の話であまりにも遠い過去であるため、全くと言っていいほど記憶にありません・・・そんなわけで今回の記事では、ルートの特徴のみの記述といたします。

吉田ルートを登る登山客は全体の60%を占め、五合目から山頂まで登山客で溢れています。そのため、市場の原理が働き山小屋の数も16軒と4ルートの中でも最多です。
テレビ番組でアイドルが富士山頂を目指す企画を時々見ますが、そのほとんどがこの吉田ルートです。吉田ルートについても特徴をまとめておきましょう。


・登山客の数は4ルート中最多(約60%)
・途中の山小屋の数も最多(16軒)
・登山ルートの距離は往復距離で約14km(御殿場ルートに次ぐ長さ)
・五合目と富士山頂の標高差は1450m(富士宮ルートの変わらない)
・登山客が多いため万が一の備えも万全で、4ルート中最も安全性の高いルートと言える

最後に・・・

繰り返しますが、富士山の登山は他の山と比べるとつまらない登山です。
しかしその一方で、つまらない部分を補って余りあるものが富士山にはあるということも事実です。

ともに富士山頂を目指す登山客の皆様の笑顔、小さいながらも立派な山小屋、特徴溢れる富士山登山の4ルート、そしてなにより富士山頂からの日本一の景色!!

あなたがたとえ登山の経験が全くなくても、富士山はきっとあなたを優しく迎えてくれるでしょう。機会があったらぜひ!日本一の景色を堪能して見てください!

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2021.06.30

あなたのかけがえのない財産となる山行記録

あなたのかけがえのない財産となる山行記録
こんにちは!コピーライター兼登山家の松浦です。

春を迎えたと言っても、特段代わり映えしなかった私の私生活。そんな生活に終止符を打つべく、始めたこと。それがボルダリングです。

登山技術の1つとしてどうしても身につけたかったボルダリング。なかなか一歩を踏み出せずにいましたが、あることをきっかけについにボルダリングの世界へと足を踏み入れました!

そんな私のお話です。それではどうぞ!

山行記録のススメ

一部の熱狂的な登山家が
己の限界に挑む
雪山登山の季節が終わりをつげ

初心者からベテランまで
多くの登山家が山へ足を運ぶ季節の
到来です!


標高の高い場所では
まだまだ残雪があり
雪山の様相を呈していますが

標高1000mより低い場所では
芽吹いたばかりの美しい新緑を
愛でながらのハイキングを
楽しむことができます。

そんな美しい世界をあなたにシェアすべく
過去3回に渡り長野県の上高地の素晴らしさを
記事にしてきました。
こちらです。

自然を愛するあなたには
ぜひとも上高地を訪れて頂き
その美しさを体現していただきたいと思います。

ただ、今の季節が美しいのは
何も上高地ばかりではありません。

首都圏の関東各地でも
関西でも
新緑を楽しめる山は多くあります。

「我が家からでは上高地はちょっと遠いので
比較的近場の山で新緑を楽しみたい!」


という人は
ぜひとも私にご相談ください!
あなたの自宅近くの山を
御紹介いたします。


この春を期に登山をしてみようか!
という人に
山で財産を作り出す方法をご紹介したいと思います。

それは「山行記録」です!

山行記録であなただけの登山ルートを!

「山行記録」
その名の通り、あなたの登山やハイキングの
記録をノート等に記すことです。

「何でそんな面倒なことを勧めるんだ?」
「のんびりと山を散策するだけでいいだろ?」
「写真を撮ればそれで十分だ!」

・・というあなたの声が聞こえてきそうですが 笑

はい!確かにそのとおりです。

確かに面倒かもしれません。
のんびりと山を散策すればそれだけで
自然を満喫することができますし
それこそがあなたが山を散策する理由のはずです。

気が向いた時、美しい風景を目の当たりにした時に
カメラを構えてシャッターを押せば
その時の記憶とともに、美しい山の記録を
いつまでも保存しておくことが可能です。

しかし・・・です。

残念ながら、人の記憶力には限界があります。

登山やハイキングから帰ったあと
数週間数か月の間は
その時の写真を見返せば

「この時の風景は美しかったな」
「ここで飲んだお茶はおいしかったな」

と鮮明に思い出すことができるでしょう。

そんないつまでも記憶に残しておきたい
楽しく美しい思い出も
数年の年月が流れれば
曖昧な記憶となり

ついには、写真を見返しても
ちゃんと思い出せなくなってしまうのです。

そんな時
山であなたがノートに書き記した
山行記録があれば
数年の月日が流れても、より鮮明に
その時の山行を思い出すことができるのです。


せっかくの美しい思い出です!
いつまでも残しておきたいと思いませんか?

「でも、それだけの理由でそんな面倒なことは
したくないし、そもそも一体何を書き記すんだ?」

確かに
登山初心者のあなたは
少しイメージしにくいかもしれません。

私もかつては登山の記録を書き記すことなど
思いつきもしませんでした。

しかし、今私は
かつての山行を記録してこなかったことに
猛烈に後悔しているのです・・・


2010年5月5日
これが私が初めて自分の山行を
ノートに記録した日です。

もう7年も前の山行ですが
これを見返すと
今でも鮮明にその時のことを
思い出すことができるのです!

もちろん
そこまで克明に登山道について
記しているわけではありません。

汚い字ですし
思いつくまま自由闊達に書いているので
「なんじゃこりゃ?」
という箇所もいくつかあります 笑

でも、それでいいのです!
山行記録に決まった形式はありません。
100人の登山家がいれば
100通りの山行ノートの書き方があるのです!

「とにかく思いついたまま自由に書く!」
これが基本です。

そんな自由に書き記された山行ノートを
じっくりと見返すだけで
次々とその時の記憶が蘇ってくるのです!
例えば・・

・駅から登山口への道
・登山口から山の中へと繋がる険しい山道
・その途中の休憩で腰を下ろした丸太
・中腹を過ぎたあたりの見晴らしの良い風景
・そこから見える落差の大きい滝
・頂上へと続く山の稜線の一本道・・・

そんな何もかもが!です。

もし私が
7年前に登った登山ルートを
再び登るならば
そのルートについては
他の誰よりも詳しいはずです。


当然ですよね!
1度その登山道を身をもって体験し
しかも
その山行をノートに書き記しているのですから!

つまり、もしあなたが
1度通った登山道を山行記録として
ノートに書き記しておけば

その後何年経過しようとも
あなたはその登山ルートについては
プロフェッショナルなのです!


「この登山道ならば、危険な場所も休憩場所も
ちゃんとわかるぜ!」

あなたならばそんな登山道を誰と一緒に登りますか?

登山初心者のあなたの友人や恋人
旦那様、奥様、ご両親・・・

そんなあなたの親しい人たちに
登山ガイドをしてあげてもいいかもしれません。

「あなた山に詳しいね!すごく頼りになるよ。」

山で頼られるあなたは
もうベテラン登山家の仲間入りです。

山行記録は山の財産!

もしあなたが
いずれ自分の登山経験をもとに
記事を書くことになったとすると

あなたの書き記した山行記録は
どんなにお金を積んでも決して買えない
かけがえのない財産になるのです。

あなたが山で感じるままに書いた山行記録は
世界中であなただけが持っているものです。

そして
それをもとに作成されたあなたの登山記事は
絶対にあなたにしか書くことができないのです。

確かに最初はちょっと面倒臭いかもしれません。

しかし
1度慣れてしまえば平気ですし、何度も書けば
山行記録を書く楽しさに目覚めるはずです。

あなたも是非
山であなただけのかけがえのない財産を
増やしてください!

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2021.06.29

あなたを魅了する夢の谷間!上高地

あなたを魅了する夢の谷間!上高地
こんにちは!コピーライター兼登山家の松浦です。

春を迎えたと言っても、特段代わり映えしなかった私の私生活。そんな生活に終止符を打つべく、始めたこと。それがボルダリングです。

登山技術の1つとしてどうしても身につけたかったボルダリング。なかなか一歩を踏み出せずにいましたが、あることをきっかけについにボルダリングの世界へと足を踏み入れました!

そんな私のお話です。それではどうぞ!

多くの登山家を魅了!上高地

今日は2017年4月23日。

街ゆく人々を見ると皆コートを脱ぎ
身軽なスタイルで軽快に歩いていきます。

中にはスーツのジャケットを脱ぎ
ワイシャツだけで歩く人もいます。

今は1年の中で最も気持ちの良い時期。
ウキウキしてきますよね♫

しかし、あなたがウキウキする理由は
それだけではないはずです。

そう!あと1週間でゴールデンウィークです!

私も毎年この時期は
しっかり休暇を取るために
普段の2倍の集中力で仕事を片付けます 笑

その一方で
帰宅後、どの山に登るか検討を始めます。

そして、山の道具を確認し
足りないものについては買いに行くか、あるいは
ちょっとしたものならば
自分で作ってしまいます!

そうして着々と準備を進め
ゴールデンウィーク初日を迎える
というわけなのです。

基本的に旅先は毎回違いますが
数年前のある時期
毎年同じ場所を訪れていたことがありました。

まだあまり登山に慣れていないが
3000m級の名峰が立ち並ぶある場所に
憧れを持って訪れていたのです。

その場所とは「上高地」です!
上高地についてはこちらでもシェアしましたよね!

初心者もベテランも楽しめる上高地!

上高地の特徴は
何と言ってもその地形にあります。

標高が1500mという高地であるにもかかわらず
平坦ですごく広々とした地形が広がっているのです。

周りを高山で囲まれた谷間という地形で
これだけの広い平坦地がある場所は
日本では上高地だけです。


そういった地形であるため
上高地は周囲の高山へ登るための
登山拠点として認識されています。

つまり、登山を目的として
上高地を訪れる登山家は
ここで準備を整えて山に挑戦するのです。

ベテラン登山家は
冬真っ只中の毎日雪が降る雪山と比べると
天候が安定し、積雪量が減り、さらに気温も高くなる
残雪登山を楽しみます。

この季節の上高地では
比較的気軽に
雪山登山を楽しめるというメリットがあるのです!

とはいえ
上高地を訪れる登山家の全てが
登頂を目的としているわけではありません。

もしあなたが登山初心者であったとしても
ぜひ1度上高地を訪れてみてください。

そう!ゴールデンウィークを
この上高地で過ごすのです!

極寒の冬を乗り越え
暖かい春を迎えた上高地は
一年の内、最も美しい時期を迎えていると
言っていいでしょう。

周囲にそびえる名峰を愛でながら・・
清流・梓川のせせらぎに耳を傾けながら・・
芽吹いたばかりの新緑の香を楽しみながら・・

そんな上高地でのハイキングは
きっとあなたを夢中にさせるはずです。

また、先ほども言ったように
上高地の標高は1500m。

3000m級の名峰に囲まれた谷間
とはいえ、その標高は1500m級の山の
頂上です。

登山初心者のあなたでも
ここに来ればきっと
登山気分を味わえる事でしょう!

あなたに夢を与える上高地

そして、そこから上を見上げると
四方にそびえる名峰の数々。

あなたの登山気分は一層高まり
「いずれあの山に登ってみたい!」
という気にさせてくれます。

その時、あなたの中に
1つの夢が生まれます。

上高地から見たあの名峰の頂上に立ち
そこからの景色を見る!


登山初心者のあなたにとっては
決して簡単ではありません。

しかし・・・です。

ゴールデンウィークを過ぎ
上高地を去ったあなたを待つのは
家と会社をひたすら往復する
単調でストレスだらけの毎日。

上高地で生まれた夢は
そんな毎日を過ごすあなたに
活力を与えてくれるはずです!

もしあなたが
上高地で生まれた夢を実現させたい!
と思うならば
いつでも私に連絡をください!

登山初心者が3000m級の山に
どうやって登れば良いか
どんな準備をすれば良いか
どんな服装がベストか
ザックには何を詰めていけば良いか

あなたに全てをシェアいたします!
あなたの連絡をお待ちしています!

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2021.06.29

上高地の山小屋で最高の休暇を!

上高地の山小屋で最高の休暇を!
こんにちは!コピーライター兼登山家の松浦です。

春を迎えたと言っても、特段代わり映えしなかった私の私生活。そんな生活に終止符を打つべく、始めたこと。それがボルダリングです。

登山技術の1つとしてどうしても身につけたかったボルダリング。なかなか一歩を踏み出せずにいましたが、あることをきっかけについにボルダリングの世界へと足を踏み入れました!

そんな私のお話です。それではどうぞ!

上高地の山小屋

今日は4月21日。
外を歩いてもポカポカ陽気ですが
決して暑くなく、
時折ヒュッと冷たい風が突き抜ける程度。

実に気持ちの良い季節の到来です。

こんな気持ちの良い日は

新緑豊かな山の中を
のんびりと散策してみたい!
のんびりと登山を楽しみたい!

という思いに駆られます。

今の時期
新緑の中の散策も気持ちいいですし
新緑の中の登山も素敵です。

また、意外かもしれませんが
雪山登山がしやすい時期でもあるのです。

絶好の登山シーズン!
そして、ゴールデンウィークも間近!

登山初心者のあなたも
しっかりと計画を立てて
登山道具をザックに詰め込んで
いざ山へ!

・・・と言いたいところですが

実は、登山初心者のあなたも
ベテラン登山家にも
おススメの場所があるのです。

緑豊かで、美しい川が流れていて
しかも3000m級の名峰に囲まれた
日本有数の観光地である
「上高地」です!

上高地については
以前こちらでもあなたにシェアしました。

あなたにもぜひとも訪れて頂きたい
最高の地ですが

今回は、また別の点で
あなたに上高地のおススメポイントを
シェアしたいと思います。

ここであなたにシェアするおススメポイント
それは「山小屋」です。

豪華すぎる上高地の山小屋

山小屋といっても
丸太で構成された殺風景な
小屋ではありません。

外見が丸太で構成されているような
デザインから
山小屋という呼び名がしっくりきますが

その内装は
小屋というにはあまりにも贅沢な空間です。

もちろん
山小屋それぞれレイアウトは異なりますが

概ね
小さなカウンターがあり
上品なベンチがあり
自販機があり
空調施設があり
キッチンがあり
食堂があり
ソファーがあり
談話室があり
そして、宿泊施設も完備です。

中には
多くの登山関連書が並ぶ
読書スペースを設けている
山小屋もあったりします。

登山には
テント泊で山の非日常生活を味わう
醍醐味がありますが

時には
こんな素晴らしく快適な山小屋で
素晴らしく贅沢な時間を過ごす
という体験があってもいいな
と思うのです!

山小屋を拠点に上高地を散策

そして!
この山小屋を拠点とした
周辺の山へのハイキングや日帰り登山も
大いにおススメです!

そんな素晴らしい山小屋が
上高地には
数軒立っていますが
そのほとんどが冬季営業をしていません。

雪山という環境があまりに特殊で
上高地に立つほとんどの山小屋に
その設備がないためです。

したがって
雪山登山をする登山家は
山小屋を利用せず
テントをザックに入れて
そのテントで一晩過ごすのです。

もちろん
以前紹介した八ヶ岳の赤岳鉱泉のように
冬季営業をしている山小屋もありますが。

そんな山小屋の多くが
4月から、もしくは
ゴールデンウィークを境に営業を開始します。

夏には避暑地として大人気の上高地ですが
ゴールデンウィークの時期は
多くの草木が芽吹いて
何もかもが新しい雰囲気に満ちています。

長い冬を越えて
営業を始める山小屋からは
長い眠りから覚めて
生命力に満ち溢れた草木のような
まるで新築の家のような
新鮮さを感じることができるのです!

もしあなたが
ゴールデンウィークに
この上高地を訪れるならば

生まれたての新緑
美味しい空気
壮大な山々の風景

さらに!
夜には遮るものが何もない
まるでプラネタリウムのような
満天の星を楽しむことができるはずです。

そして
そんな美しく、パワーに満ち溢れた上高地で
あなたの疲れ切った心と体は
完璧に癒されるはずなのです!

上高地の山小屋3選!!

そんな最高の地、上高地に立つ
山小屋をここであなたにシェアします。

上高地糸屋山荘
山小屋というよりは
むしろ観光ホテルというくらいの
設備の整った山小屋です。
のんびりと自然を満喫したあなたには
ここをオススメします。
http://www.nishiitoya.com

徳沢ロッヂ
上高地から歩いて2時間ほどの距離にある
山小屋です。
こちらも設備は十分に整っていますが
より山小屋らしい雰囲気も残しています。
せっかく山に来たんだから
「山小屋の雰囲気をもっと味わいたい!」
というあなたにオススメです。
http://www.m-kamikouchi.jp/tokuzawalodge/

横尾山荘
上高地の最も奥まった場所に立つ山小屋です。
すぐ隣には3000m級の名峰が立ち並び
登山家の拠点として利用されています。

より強く山の雰囲気を味わいたい
山のハイキングや日帰り登山の拠点にしたい
あなたにピッタリの山小屋です!
http://www.yokoo-sanso.co.jp

以上
3つの山小屋をあなたにシェアしましたが
他にも上高地には
素晴らしい山小屋はあります。

ぜひあなたの目的に合う山小屋を
選んでみてくださいね!

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2021.06.29

ゴールデンウィークに最高に輝く上高地!

ゴールデンウィークに最高に輝く上高地!
こんにちは!コピーライター兼登山家の松浦です。

春を迎えたと言っても、特段代わり映えしなかった私の私生活。そんな生活に終止符を打つべく、始めたこと。それがボルダリングです。

登山技術の1つとしてどうしても身につけたかったボルダリング。なかなか一歩を踏み出せずにいましたが、あることをきっかけについにボルダリングの世界へと足を踏み入れました!

そんな私のお話です。それではどうぞ!

ゴールデンウィークには上高地!

現在、2017年4月18日。
ポカポカ陽気の気持ち良い気候の中
あなたはどのようにお過ごしでしょうか?

季節は春。とは言っても
桜の季節は終わりを告げ
世の人はすでに
次のイベントに心を奪われているようです。

そう!ゴールデンウィークです!

今年のゴールデンウィークは
暦通りの祝日と土日で
5日間連続の休日となります。

あなたのゴールデンウィークの予定は
いかがですか?

もし、あなたが
「せっかくの休みだから1泊2日くらいで
山に行きたいなあ」

とお考えでしたら
自身を持ってオススメできる
最高の地をぜひ
あなたに紹介させてください!

その最高の地とは
「上高地」
長野県松本市に位置する観光地です。

そこは
四方を3000m級の名峰に囲まれ
そんな壮大な山々を下から見上げることができる
日本有数の絶景スポット!

この写真を見たことがありますか?
美しい川が流れ
壮大な山々を眺める写真。
パソコンのサンプル画像としても
使われることがある有名な写真です。

この写真の場所こそが
「上高地」なのです!

5月に上高地は最も輝く!

ゴールデンウィークの旅行先に
上高地をオススメする理由
それは・・・

・美しく澄んだ青い空
・山に程よく残る雪
・カラマツ、ニリンソウなどの美しい花が咲き出す
・寒すぎず、暑すぎない程よい気候

これだけ好条件が揃った上高地は5月の初旬
つまりゴールデンウィークの時期です。

上高地を流れる清流・梓川

上高地の素晴らしい風景は山ばかりではありません。

標高3180mの名峰、槍ヶ岳の雪解け水を源流にもつ
清流・梓川

流量は少なめで、川幅も決して大きくはありませんが
川の水は美しい青色、流れは静か
ボーッと眺めているだけで癒されます。

上高地で必要な服装、装備

もしあなたが上高地に行くなら
最も気になる点はここではないでしょうか?

・どんな服装が最も適しているのか?
・ザックには何を入れていけばいいのか?

山の麓を散策
あなたが上高地周辺の
比較的標高の低い
山の麓辺りを散策するのであれば

また
山小屋での宿泊を予定しているのであれば
服装はハイキングを想定した
軽めのもので十分です。

・ベースレイヤー(肌着)
・中間着(フリースなど)
・アウターレイヤー(レインウェア)
・パンツ(スリーシーズン用)
ザックには
「どんな登山でも必ず必要!」な装備があれば十分です。
ただし
お金は少々多めに用意しておきましょう。

登頂を目指す
もしあなたが
上高地を取り囲む周辺の山々のいずれかを
登るのであれば
雪山登山のつもりで準備する必要があります。

春とはいえ
高所にはまだまだ雪が積もっています。

気温は真冬ほど低くはありませんが
薄着で過ごせるようなものではありません。

まして、上高地の周辺の山々は
日本有数の名峰であり
標高は概ね2500m〜3000mです。

きっちり準備をして山に挑みましょう!

ゴールデンウィークは上高地で最高の思い出を!

私も何度か行ったことがありますが
5月の上高地は本当に素晴らしい気候で
心の底から良い気分に浸ることができます。

実は今年のゴールデンウィークも
訪れる予定にしています。

雪をまとった山々と緑豊かな麓
そして美しい清流・梓川を
1度に楽しめるのは
1年を通してゴールデンウィークだけです。


時間が許すのであれば
ぜひ上高地へ足を運んで見てください!

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